その頃、山本くんと長瀬は「東京アクセント教室」へやってきた。ここでは日本語のイントネーションやアクセントを専門に教えており、小森法孝先生はアナウンサーや役者として活躍中の人も数多く指導してきた。山本くんが例題文を読んでみると、小森先生の分析がはじまった…山本くんは最初から高い音を発する単語が苦手で、これは茨城県出身の人に多い特徴だという。


言葉のアクセントは幼い頃、育った地域によりほぼ決まる。各地域によってアクセントの特徴は様々だが、そもそもアクセントの概念は京都・大阪が発祥、そこから全国に伝わり「京阪式」「東京式」といった2つの流れになった。ところが茨城県などは「無アクセント地域」といわれ、その概念が上手く伝わらず型が崩壊してしまった地域。そのためアクセントが意識され辛かったのだ。


まず先生は例題文の紙にアクセントの記号を付けはじめた。アクセントを理解するには、単語1つ1つの音の高低を意識することが必要。山本くんが特に苦手なのは、「21世紀」「世界の」「位置する」「未知なる」「選手達の」「ひしひしと」といった高い音から発する単語。続いて先生の指導、音の高低を強調して発し、同時に手をかざして高低に合わせて手を上下させる。練習の際にはこの方法でゆっくり発するほうが分かりやすく、これが次第に慣れてくると普段のイントネーションも良くなってくるという。