2014年9月28日 放送内容DASH島 無人島を開拓できるか!?

無人島、開拓開始から、736日目の朝。
雨上がりの森で、作業は始まっていた。
DASH島で唯一の水源である森の古井戸から、
450mに及ぶ舟屋までの水路計画。
高さ2mでスタートした水路は、
徐々に勾配を低くした結果、わずか40mの地点で、
達也「もう水路が地べたを這ってる」
しかし、岩手県久慈で赤松材と共に有り難い物を頂いていた。
それは、圧力で水を汲み上げる50年モノの手押しポンプ。
水道が普及する昭和30年頃まで、広く全国の井戸に使われていた。
そこで、これを使い、低くなった水路の水を一旦、穴に留め、
ポンプで汲み上げてから、再び勾配をつけて流していく作戦。
だが、あまりにもポンプが劣化しているため、修理が必要。
達也「大事なのは、ピストンの皮」
それは、経験から知っていた。
4年前、福島県で見たポンプも、
汲み上げの肝となる、ピストンの部分が傷んでいた。
手押しポンプは、注射器と同じ原理で水を吸い上げる。
つまり、ピストンで引っ張り上げた水が、
開いた弁を抜けて、ピストンの上に溜まり、
そこから今度は、ピストンで水を押し出していく。
大事なのは、ポンプとピストンの密着具合。
それを密着させるのに使われているのが、ピストンに巻かれた革。
滑りが良く、水を吸うと膨張するため、パッキンの役目を担うが、
月日が経って劣化していた。
DASH村では、明雄さんの使い古した革ベルトを頂戴し、
新たなピストンに蘇らせ、村のポンプに活用した。
久慈で頂いたポンプも、長年放置していたため、ピストンの革は
縮んで劣化。これでは、水を吸い上げられない。
松岡「革ってどこにあるんだろう?」
ピストンの肝である革の部分は松岡が担当。何とか調達せねば。
さらに、ポンプの内側には大量のサビが付着。
城島「問題は中のサビやな、生活用水やから」
これでは、水に味や臭いが移ってしまう。
そこで、ブラシを使ってサビを入念に落としていく。
一方、達也は、足場丸太を切り出していた。
新たに、ピストンの木の部分も作り直す。
ポンプのサイズに合わせて、調整しなければならないが、
皮を巻き付けることを考え、キツすぎず、緩すぎずの絶妙なサイズに。
そして、そこに巻く革は…
松岡「ここのお宅にはお世話になりっぱなしだね」
探しに来たのは、森の中の民家跡。
そこでは以前、革の学生カバンやヘビ革の製品を見つけていた。
ここならば、ピストンの革の代わりが見つかるのでは。
すると、さっそく、レインコートや太めのゴムホースを発見。
さらに、皮の代用品ではないが、水汲みに使えそうな木桶も。
そして、何に使ったのかは不明だが、加工した大きめの革が。
松岡「この革、これいいじゃん!」
と、そこに合流したのは、太一と長瀬。
しかし、この3人が集まると、
太一「やべー!作業にならないパターンだ」
ろくなことがない事は自覚していた。確かに、
帆船を改良した時もふざけてばかりで作業が進まなかった…。
ともあれ持ち帰った革は適当な大きさに切って、仕上げに、
松岡「一応、殺菌しよう」
使うのは、いつもの天然の防水防腐剤。
舟屋の屋根の下地、新聞紙にも染み込ませて使った、柿渋。
渋み成分・タンニンを含み、殺菌効果も期待できる。
柿を発酵熟成させたものなので、臭いはきついはずだが、
松岡「ちょっとワインビネガーみたいな香り」
そして、革の中までそれを染み込ませたら、あとは乾燥を待つ。
一方、城島はポンプのサビを落とし続けていた。
1時間磨き続け、こびり付いていたサビはほとんど落とした。
そして達也は、ピストンの仕上げへ。
足場丸太から切り出したピストンに革を巻いた状態で
ハマらなければならないが、実際にポンプにハメてみると、
達也「これで革を巻けば丁度いい」
そして、柿渋が十分に乾いた革を、ピストンに巻く。
これが水を吸うと膨らみ、ポンプとの隙間を埋めてくれる。
その上に弁となるサブタを取り付ける。
サブタが開くことで水を取り込み、閉じることで水を押し上げる。
滑らかに動かなければならないが、ここには、
状態が良かった岩手・久慈のサブタをそのまま使う。
これで、ピストンがピッタリとハマれば完成だが、
達也「ぴったりだ」
そこで、バケツに汲んだ井戸水でテスト。
直したピストン、上手く機能するか?
レバーを上下に動かしてみると、
城島「出たー!機能してる、機能してる」
これで、水の高さを高い位置まで引き上げられそうだが、
松岡「木の上ぐらいに上げたら、そこから下げていける」
つまり、水を少しでも高く上げ、再び流すためには、
それだけ、大掛かりな装置が必要ということ。
とはいえ、まだ残暑厳しい9月。
この日は、水路づくりの手を休め、DASH島・夏の大イベント。
松岡「夏終わっちゃうよ。“リゾラバ"しようぜ!」
それは、去年の夏、砂浜で拾ったマットを海に浮かべ、
平均年齢40歳が身を寄せ合って大はしゃぎ、
足場板で作った飛び込み台は、DASH島・夏の風物詩。
本来“リゾラバ"は、「リゾート地の恋」のことだが、
松岡は、こう呼び、1年間楽しみにしていた。
しかし、この日はあいにくの曇り空。
夏の終わりをどう楽しんだものか…。
とりあえず、浜で遊び道具になりそうな漂着物を探す。
ブイやロープ、さらに丸いスイカまで調達。
スイカはさすがに、食料には厳しいか…。
すると、打ち上げられていた、150cmほどの板を発見。
松岡「板の穴にロープ通して引っ張って遊べるじゃん」
つまり、ウェイクボードのようなイメージ。
波がなくとも船で引けば、波乗り気分を味わえるマリンスポーツ。
では、ボードの板にしっかりとロープを結び付け、
その板を舟で沖まで。そこで板に乗り移る。あとは、
城島「地引網の要領で」
砂浜の4人がロープを引けば、波がなくとも板は前進。
無人島でも、波乗り体験ができるはず!
まず初めに、板に乗るのは長瀬。
波はないが、4人の力でロープを引く!
長瀬もバランスを取りながら、一気にスピードに乗ったら、
太一「長瀬、立て!」
長瀬「もっと早く(引いて)!」
だが、結局上手く立つことが出来ずに波乗り失敗。
長瀬「もうちょい引くのが早かったら立てる」
では、今度は正真正銘のサーファー・達也が挑戦。
達也「一番浮力のあるところに乗って安定させる」
確かに長瀬は、板の後ろに乗り過ぎ、
バランスが悪く、ロープの引きも弱かった。
そこで、スタッフを駆り出し、引き手は倍の8名に。
すると、さすが達也、すぐに立ち上がると、抜群の安定感。
ただの板をサーフボードのごとく乗りこなした。
達也「乗りやすいよ、この板」
松岡「ダメだ、腕がもうパンパン」
そこで、一息ついたら、先ほど見つけたスイカで、
太一「スイカ割りやろうぜ」
棒は漂着物の丸太、目隠しは城島のハチマキで。
まずは、松岡から。
棒を軸に10回まわってからスタート。
スイカまで10m、メンバーが声で導く。
が、最近イジられ気味の松岡、スイカがブイにすり替えられ、
松岡「もう!オレで遊ぶなよ!」
結局、割らせてもらえなかった松岡に代わって、今度は城島。
しかし、足腰が弱いせいか、砂の上で上手く回れず、
長瀬「ちゃんと回って!」
なぜか厳しい長瀬に、無理やり回転させられ、ふらふらに。
そして、メンバーに誘導してもらい、
なんとかスイカに照準を合わせて…いざ!
が、目の前のスイカにはかすりもせず、棒が折れるという奇跡。
太一「こんなことある?」
仕方なく、新しい棒に取り換えて、長瀬が挑む。
思い切りの良さで、グイグイ進み、あっという間にスイカの目の前。
その後は、メンバーの声に従って微調整を繰り返し、
大きく振りかぶって、叩いた!割れた!…と、
TOKIO「黄色!?」
誰もが予想していなかった、黄色い果肉のスイカ。
こうして、今年のリゾラバは奇跡の連続で幕を閉じたのだった。
そして、それは肌寒さ残る今年の3月のこと。
舟屋で、ある計画が動き出そうとしていた。
廃屋で見つけた引き違い戸に手を加え、
舟屋の雨戸代わりにしたものの、明かりの入る部分はわずか。
太一「夜になったら真っ暗だよ」
長瀬「“灯り"何かないかな」
開拓を始めて2年。拠点の舟屋に、そろそろ灯りを灯したい。
その原料となるものは、すでに見つけていた。
舟屋の裏、小島の北側を調査していた時のこと。
松岡「“椿"の花が落ちてる」
その数m崖の上には、椿の赤い花が。
調べてみれば、これはヤブツバキ。
野生のものは日当りが良い、海沿いの崖などに自生する。
冬から春にかけて花を咲かすが、椿と言えば、
城島「大切な油の資源やね」
というのも5年前、伊豆大島に渡った時のこと。
伊豆大島の名産「椿油」の製法を学んでいた。
機械で搾り出したものは、食料や化粧品と用途は様々だが、
江戸時代には、灯りの元としても使われていた。
その原料は、椿の種。
これに強い圧力をかければ、椿油が染み出てくる。
そして、去年の秋。
DASH島でも種の収穫の時期が近づいていた。
しかし、同じ場所に行ってみると、
8か月前には咲いていた花が見当たらない。
と、城島の足下に、椿の実と皮が落ちていた。
冬から春にかけて咲く椿の花は、
夏にはピンポン玉ほどの実を付け、
それが熟すと割れて、中から種が落ちる。
城島「どこかに落ちてへんかな?」
燃料の元となる種、なんとしても探さねば。
しかし、浜の石の間に埋もれたのか、種は一つも見つからず。
そこで、枝葉に隠れていくつか生る椿の実を狙う。
だが、実があるのは海に面した高さ7mの崖の上。
城島「これは登られへんもんな」
こんな時、福島・DASH村では、身近なものを投げて、
木の実を落としてきた。
この方法で、高さ7mの椿の実も獲ることができるか。
そのために城島が用意したのは、1年と2か月かけて集めた漂着物。
まずは、バケツのフタをフリスビーのように使って、
「高さ7mの椿の実をとる」と言い張る城島。
狙いは、一か所に集まって生る3つの実を一気に仕留める!
が、投げたフリスビーは、右に逸れ、実から1mほどに外れた。
そして、2投目は真っ直ぐ飛んだものの、手前の枝に接触。
わずか50cm届かなかった。
城島「いけそう、いけそう」
しかし、城島の四十肩はすでに悲鳴をあげていた。
結局、13投して一つも当らず…そこで、新たな作戦に。
今度、城島が持ってきたのが、長さ5mのハシゴと、
たびたび、城島を助けてくれた漁具「ヤス」。
カナヅチの城島が手の届かない海の底でも、
舟の上から獲物をひとつひとつ捕ることができる優れもの。
しかし、ここは不安定な石の足場、勝手が違う。
なんとか、ヤスを持ってハシゴの最上部まで登ると、
城島「あー、これなら実に届くわ」
しかし、棒の長さは4m。先が重く、四十肩にはツライ体勢だが…、
それでも実をひとつずつ、着実に掴んでいく。
そうして、2時間…地道に集めた種は、29粒。
これでどれほどの椿油が取れるのか。
城島「もうちょっと欲しいなあ、燃料やし」
しかし、ここにはもう実が残っていない。
そこで、島の南側の岩場へ移動。
椿が好む海沿いの崖を探すと、いくつも椿の種が落ちていた。
しかし、それだけでは少ない。実が生っている12m上の崖を登る。
決死の思いで、断崖を這いながら椿の木に近づき、
ヤスで確実に、ひとつずつ実を取っていく。
この岩場で獲れた種は36粒。
こうして、のべ10日間、城島は島の周りを探し続けた。
そして、かき集めた種は、102粒。
次の作業は、椿油の質が決まる大事な工程。
種を約10日間干すことで、
中の水分が蒸発し、純度の高い油が搾れる。
松岡「種の下にトタン板を敷けば光が集まるんじゃない?」
つまり、太陽の光でトタンが温まり、
上からも下からも、乾燥を助ける状態に。
それからしばらく、DASH島は秋晴れの日が続いた。
そして、空気が乾燥した冬を待ち、いよいよ搾りの工程へ。
肝心の中身はどうか。剥いてみると、
松岡「アーモンドみたい」
ならば、貴重な種だが一口だけかじってみる。
城島「ん…後から渋味がきたー!」
それもそのはず、椿の種には渋味成分・サポニンが豊富。
とはいえ、乾燥しているのは確認できた。
次は、種を砕いていく。
細かいほどに、搾りやすくなるとのことだが、
この島にあるのは、石臼と杵だけ。
これを使って粉砕し、石でさらに細かくすり潰す。
それが終わったら次の工程は、蒸し。
水分で油が押し出され、柔らかくなることで更に搾りやすくなる。
蒸し器の代わりは、鍋に石を入れ底上げし、網を敷く。
そして、袋に入れた種の粉末を蒸し上げること10分。
城島「これを絞っていくか」
伊豆大島では、専用の圧搾機を使い、
ゆっくり、じんわりと力をかけていた。
ここ無人島では、古くから伝わる、液体を絞り出す方法で。
松岡「串で種の布袋をねじるか、ギューッと」
袋の端を締め上げるほどに力がかる。
さっそく、袋と竹箸で搾り上げる。
すると、どんどん油が滲み、ついには、
城島「すごい出てきた、出てきた!」
“椿油"が滴り落ちてきた。
松岡「香りがすごいね」
種の様子からすると、もう少し搾り出せそうだが、
この方法で取れた椿油は、30mlほど。
まだまだ搾り出せそうだが…。
そこで、日を改め、前回の種を蒸し直し、
カーブで線路を曲げるのに使ったジンクロを使って絞ることに。
ネジを回す程に力がかかり、鋼鉄製のレールでさえも曲げる怪力。
それだけに、設置する土台は頑丈な場所でなければならないが、
目を付けたのは、山へと延びるゴンドラの始点。
ゴンドラを支えていたこの鉄柱なら、ジンクロの怪力にも耐え、
一滴残らず椿油を搾り出せるはず。
ゴンドラの鉄柱とジンクロで種を挟み込み、
バールでネジを回していく。
圧力がかかれば、椿油が出てくるはずだが、
達也「もう少しちゃんと挟みたいね」
ジンクロの力に負けて、椿の種が押しのけられてしまう。
これでは、一部にしか力がかかっていない。
そこで、間に板を挟み、力のかかる部分を広くする。
すると、均等に力がかかり、椿油が搾り出されてきた。
城島「だいぶ出てきたなあ、上等、上等」
もう少し搾れるはずだが、今のDASH島では限界だった。
そして、この貴重な椿油で、舟屋に念願の灯りを。
さっそく、糸を芯にし、石で押さえる簡易的な灯火(ともしび)に。
長瀬「おー結構、明るい」
達也「これ使おう、舟屋で」
こうして、DASH島で初の燃料を手に入れた。
そして、さらに今からおよそ1年前。
まだ、舟屋が完成する前のこと。
数カ所に設置した観察用カメラに、思わぬものが映っていた。
それは、海面スレスレを滑空する小さな鳥の大群。
小島や港跡入口の岩場へ飛んでいく姿が確認できた。
太一「見たことない鳥だね、どこかから来てるのかな」
その群れは、数日おきに、いくつもDASH島に飛来。
次々に合流し、次第に大きくなって森の中へと入って行く。
そこで、太一は群れが羽を休めていた場所へ。
すると、見つけたのはサクランボのような赤い実。
図鑑で確認すると、それは“ヒヨドリジョウゴ"。
太一「ヒヨドリがこの実を食べるから付けられた名前なんだって」
ヒヨドリは、「ピィーヨ」と言う鳴き声が名前の由来。
体長30cmほどの渡り鳥で、
秋に数千羽の群れで南へと移動することも。
危険を察知すると、海面スレスレを飛び、襲ってくる外敵を回避。
小さく小回りが利くため、波やウネリにのまれることもない。
つまりDASH島が、ヒヨドリの渡来地や繁殖地の可能性が。
太一「この島には食べ物が豊富なんだろうね。島で卵産むのかな?」
しかし、そうとばかりも言えなかった。
スタッフが捉えた映像には、ヒヨドリにとっての天敵の姿も。
それは、岩の崖がそそり立つ小島の西側。
島を離れ、南へ渡ろうとするヒヨドリの群れ。
しかし、突如、島へと後戻り。
しかも、今までにない低さで岩場へ。
すると、慌てて木の枝に止まる群れに、
カメラで捉えきれないほどの速さで何かが突っ込む。
それは、ヒヨドリよりも一回り大きい鳥の影。
太一「群れを襲ってるんだ、コレ」
猛禽類と思われるその鳥は、一匹のヒヨドリを獲物として捕まえた。
猛禽類といえば、太一には心当たりがあった。
太一「前に巣らしきものがあった場所に行こう」
それは、去年の初夏。
小島の西側で、岩肌にあった白いフンのような痕跡、
そして、その方向から聞こえる鳥らしき鳴き声。
つまり、そこは、猛禽類らしきものの巣なのか、
それとも、ヒヨドリたちの巣があるのか。
どちらにせよ、もう一度、調べるしかない。
そこで、潮が引くのを見計らい、達也と合流して小島の西側へ。
歩いて行くには少々危険な海沿いの断崖、その岩場を進むと、
海側からは見えなかった洞窟、そしてヒヨドリの鳴き声が。
さらに、足下には羽毛が落ちている。
太一「猛禽類がヒヨドリを食べてるんだよ」
と、小島のまさに先端、その崖の上でジっとしている鳥が。
達也「なんだろあれ、鷹?鷲?ハヤブサ?」
そこで、図鑑で調べてみれば、確かに
太一「絶滅危惧種のハヤブサ…海辺の断崖に巣を作るって」
ハヤブサは、崖の上などで、獲物の鳥を見張って待ち伏せ。
2km先まで見える目が獲物を捉えると、
急降下して群れに突っ込み、飛んでいる鳥を蹴り落として捕まえる。
オスとメスが連れ添い、子を育て縄張りを守っている。
達也「ハヤブサで間違いなさそうだね」
もう一つ気になるのが、
太一「(ハヤブサの)子供かな?若そうじゃない?」
5か月前、ヒナの鳴き声らしきものが聴こえたのは、
まさにこの辺りだった。
そして、その数か月後。スタッフが捉えた映像には、
崖の中程に開いた穴に入っていく一羽のハヤブサの姿が。
太一「ここが巣で、餌を持ち帰る時だけ戻るのかな?」
カラスやヘビなど、ハヤブサにも天敵はいるが、
ヒナの場所を探られないよう、いつも崖の上で見張りをしているのか。
しかし、その穴は草がさえぎり、下から様子をうかがえない。
太一「DUCKET(ダケット)を打ち上げて、上からカメラで覗く」
DUCKETは9年前に作った手作りロケット。
地上200mまで、一気に上がるコレなら、穴の中も覗けるか?
しかし、DUCKETでは撮影できるチャンスは一瞬だけ。
太一「撮れるかどうか賭けだもんね」
しかも、鳥が怖がる音が出るのも心配。
そこで、考えた作戦が、
太一「紙の風船を作って飛ばせないかな?」
例えば、秋田の「紙風船上げ」。
紙風船に熱気を入れれば、温かい空気は上昇、
紙風船も空高く舞い上がる。
そこに火種のタンポを入れれば、熱気が長持ちする。
これで、五穀豊穣や無病息災を願った。
太一「糸を垂らせば、コントロールもできる」
つまり、断崖絶壁の真下で紙風船を膨らませる。
そこに熱気を溜め、空高く舞い上がれば、
草を越え、穴の様子を上から撮影できるはず。
さっそく、紙風船の製作開始。
その材料は和紙。福島・DASH村では、自ら漉き、
様々な形や製品に加工、その素晴らしさを知っていた。
軽く、しなやか、それでいて強い。
紙風船の材料には、和紙が最適だった。
針金で骨組みを組み、そこから、火種を覆うように和紙を垂らせば、
“ハヤブサ調査用の紙風船"が完成。
火種を包み込むような改良を施し、溜まった熱気を漏らさない。
太一「ちょっと実験してみよう」
まずは、舟屋の前の平地でテスト。
島で拾った筒と釣り糸を組み合わせたものを紙風船に結び付ける。
これで、上空での風船の動きをコントロール。
そして、火種には苦労して集めた、貴重な椿油。
種を探せば、また搾れる。今年の分は、使い切る覚悟で…。
これを使い古しのタオルに、染み込ませ、
小型カメラとともに、中心に吊り下げる。
では、まずは火種に着火し、
ドラム缶で焚いた火の熱気で紙風船を膨らませる。
そして、熱気は十分!いつでも行ける!
太一「上がれ!上がれ!」
と、浮いてはいるものの、終始、低空飛行。
何度も同じ場所を行ったり来たりで、一向に高く上がらない。
さらにカメラがドラム缶の端に引っかかり、
紙風船が再浮上する際、カメラの台が外れ、
90度、首を傾げた状態に…。
ついには、火種が風船に燃え移り、焼け落ちてしまった…。
そして、この夏、舟屋の前でもう一度、リベンジ。
前回は、梅雨時。湿気を含んだ和紙は、かなりの重さだった。
しかも火種の着火にモタつく間に、中に溜めた熱気が冷め、
かなりの揚力を失った。
そこで、福島・DASH村での炭焼きの経験を生かし、
炭にあるという、除湿効果に期待して湿気対策。
無人島でできる限りの手を打ってきた。
城島は釣り糸、達也、太一は、風船を支えて熱気を送る、
火種の着火は長瀬、カメラを取り付けるのは松岡が担当。
では、いざ、シミュレーション。
この5人なら、阿吽の呼吸で…と、いきなり着火にモタつく長瀬。
せっかく膨らんだ風船もしぼんでいく…。
太一「足引っ張るのやめて」
しかし、本番にめっぽう強い5人、
ここから、抜群のコンビネーションを見せる!
今度は、着火もカメラもスムーズに完了。すると、
城島「行った、行った!すごい、すごい!」
紙風船はフワーっと高く浮き上がった!
が、喜んだのも束の間、城島が思わず釣り糸を手放し、
それが重りとなって墜落…。
城島のコントロールミスで、目標の舟屋はほとんど映らず急降下。
しかし、風船自体は舟屋をゆうゆう越える高さまで上がった。
城島のヘマがなければ、もっと飛んだはず…。
そこで、別の日、スタッフが小島の崖で紙風船を飛ばすことに。
地上20m、巣の中は撮れるのか。
順調に浮き上がった風船、
高さは十分だが、風でなかなか位置が定まらない。
そして、穴に最も接近できたのは、降下し始めた時だった。
と、カメラが穴の中で羽を休めているような鳥の姿を捉えた!
これは、果たして、ハヤブサなのか?
そして、TOKIOが次なる調査の準備を進めようとした矢先、
DASH島に嵐の気配…。それは、日本列島を襲った台風11号。
その猛烈な波風は、DASH島にも大きな被害をもたらした!?
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