2014年12月21日 放送内容DASH海岸

東京湾工業地帯の一角、DASH海岸を離れ、この日やって来たのは、
達也「多摩川、キレイ!」
多摩川にやって来た理由は、ある魚の成長を確認するため。
それは、昨年12月に、DASH海岸で見つけた、アユの赤ちゃん。
春、川を上るというアユを、多摩川で見たのは、今年5月のこと。
田園調布付近で見つけたアユは、DASH海岸では1.5cm程だったのが、
5cm程にまで成長していた。
しかし、上流には、アユの天敵となる鳥や、行く手を阻む堰など、
様々な困難が待ち構えている。
無事、大人になれるアユは、1%程未満だという。
そして、秋は、東京湾育ちのアユが最も大きくなる季節。
長年、多摩川のアユを見守ってきた安斎さんと前田さんを訪ねると、
達也「アユですか?群れでいる!」
多摩川には、群れで泳ぐアユの姿が!
安斎さん「何匹か、調査のためにアユをとりたい」
この日、安斎さん達が行うのは投網調査。
定期的にアユを捕獲し、その大きさを調べていく事で、
アユにとってすみやすい川の状態になっているかを把握している。
投網に入ったのは、23cm程の大きく成長したアユ。
城島「大きくなったな!」
安斎さん「いいアユに育ちましたね」
アユの元気な姿に、安斎さんも嬉しそう。
この多摩川のアユは、かつての徳川家の歴代将軍が愛した名物。
アユをとる鵜飼の姿も当たり前の光景だったが
昭和30年代、高度経済成長による汚染が進み、一度はその姿を消した。
そんな江戸前のアユを復活させるため、
安斎さんや、周辺住民の方々の30年以上に渡る努力が実を結び、
多摩川に再びアユが戻って来た。
しかも、今年は、かなりの成長ぶりだという。
しかし、新たな問題も起こっているらしい。それは、
安斎さん「スモールマウスバス(ブラックバス)が、結構増えちゃってて」
肉食の外来魚が増えてしまい、アユが餌食になっているという。
そのため、安斎さん達は、定期的に外来魚の駆除を行っている。
スモールマウスバス(ブラックバス)の他にも、同じく肉食のライギョや
ブルーギル、1mを超えるアリゲーターガーなど、
本来いてはいけない魚達が、多摩川の生態系を脅かしている。
さらに、今年は…
安斎さん「奥多摩の方で釣り人から変な魚が釣れたって連絡があって」
それも、5~6匹と数も多く、淡水魚の図鑑にも載っていない、
謎の魚だという
そこで、その目撃情報があった東京都奥多摩町へ。
そこは、海から90kmの多摩川最上流域。標高1000mの山奥。
険しい山道を進んでいくと、ようやく川にたどり着いた。
城島「ここからDASH海岸に来てるんだな」
その水は、キレイに透き通っている。その訳は、歩いてきた山。
安斎さん「東京都で水源林として保護」している森の中にあった
水源林とは、雨水を吸収・ろ過してキレイにする森のこと。
森には、「天然の浄水器」としての役割があり、
秋散った落ち葉がやがて土になりそれが何万年と積み重なる事で、
いくつもの層ができ、それぞれが違う特徴を持ったフィルターとなる。
雨水は、その天然のフィルターを通ることで、キレイな水となり、
やがて地下水として川に流れ込む。
そんなキレイな水には、どんな生き物がすんでいるのか?
調査方法は、網を石の裏などに突っ込んでガサガサする「ガサガサ漁」。
城島が見つけたのは、体長8cm程のカジカ。
清流にしか住めないため、全国的にその数を減らしている。
木村さん「カジカの骨酒が一番うまい」
素焼きしたカジカを入れた熱燗「骨酒」は絶品だが、
カジカの減少で、今や「幻の酒」になってしまった。
その後も、調査を続けたが、目撃情報のあった謎の魚は発見できず。
そこで、さらに上流に向かうことに。
川魚は激しい流れに逆らって川を上る。
城島「この先にいるの?すごいな……」
さらなる川の上流を目指し、山を上る。
44歳の城島には、かなりキツイ…。
たどり着いたポイントで、再び調査開始。
安斎さんによると、水深が深く、岩の陰などに、
川魚が隠れていることが多いという。
そこで、袋状になっている網を使って、魚を捕まえることに。
すると、網に入ったのは、ヒダサンショウウオの子ども。
標高が高く、キレイな水辺にしかすめないため、非常に貴重な生き物。
しかし、これも目的の魚ではない。
さらに、網に入っていたのは、ナダレタゴガエル。
1978年、奥多摩で発見されたカエルで、冬が恋のシーズン。
冬には、オスがメスに抱きつく光景が見られるが、
木村さん「このカエルは、タチが悪いんですよ」
水中でメスを待ち続けたオスの群れは、メスがやってくると、
我を忘れ抱きつく。うまく抱きついたオスは約2週間離れない。
しかし、メスに抱きつけなかったオスは、もはや相手を選ばず、
動くものならなんでも抱きついてしまい、
前田さん、そのあまりのしつこさに魚が死んでしまう事もあるという。
さらにこのカエル
安斎さん「川魚のエサになる」
いまだに未確認の謎の魚も、こんなカエルをとらえるやつなのか!?
さらに、上流に向かい、調査を続行!
川魚が好むような岩の隙間を発見し、生き物を網に追い込むと…
城島「いた!でかい!」
それは、川の最上流に生息する、イワナ!
冷たい水が流れる源流近くにしかいない幻の魚で、
何でも食べてしまうその獰猛さから「渓流の王者」とも呼ばれる。
続けて、網に入っていたのは、サケの仲間のヤマメ。
「渓流の女王」とも呼ばれ、海へ下り豊富なエサを食べて成長すると、
体長60cmのサクラマスになる。
富山名物のマス鮨にもなる高級魚として知られるが、
かつては東京湾にもいた。
しかし、昭和20年代から始まった相次ぐ堰の建設や、水質汚染により、
海まで下るヤマメの姿がほとんど見られなくなってしまった。
このヤマメの姿に安斎さんの表情が曇る…。
安斎さん「この沢には、ヤマメがいないと聞いている」
本来なら、ヤマメは川の本流、イワナは標高の高い沢と
すみ分けられてるはず。
ヤマメがこの沢にいる理由として、考えられるのが、
川を下れなくなったヤマメが生息域を広げてきたか、もしくは、
それとも、釣り人がヤマメを放してしまったか。
しかし、この2種類の魚も、目的の魚ではない。
その目的の魚が見つかったのは、それからしばらくしてのこと。
網にかかったのは、巨な謎の魚。
城島「なんだこれ!?」
それは、イワナとヤマメの交雑種、つまりハイブリッド。
そう、これこそが最近見つかった謎の魚の正体。
同じサケの仲間同士が、狭い沢に住んでしまったため、
世にも珍しい雑種が産まれたと考えられる。
発見例は数少なく、研究され始めたばかりだが、分かっているのは、
安斎さん「卵を産めないから、寿命が長い」
ヤマメとイワナが交われば、その子どもは全てメスになるという。
しかも、そのメス達には子どもを産む能力がない。
その分、ヤマメやイワナより寿命が長く、遥かにデカくなる。
そして、問題なのは、ヤマメやイワナの赤ちゃんを食べてしまうこと。
達也「この交雑種が増えすぎたらヤバいな…」
多摩川の生態系の脅威となるのか?
そして、秋が終わり12月が二子玉川近くの多摩川では
アユが恋のシーズンを迎えていた。
産卵にやってきたアユの群れが、体を震わせて産卵していた。
翌日、特別な許可を頂き、その場所を確認してみると、小さな粒が。
これは、間違いなくアユの卵。
また今年もアユの赤ちゃん達は、DASH海岸にやってくるはず!?
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