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2015年5月24日 放送内容DASH島 無人島を開拓できるか!?
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その準備が始まったのは、まだ寒さが残る3か月程前。
達也「やっぱり囲炉裏(いろり)は欲しいよね」
以前、岩手・久慈で古材の中に、
その木枠となる炉縁を見つけ、譲って頂いたものを島に持ち帰っていた。
囲炉裏は、古くから暖をとるためだけでなく、
煮炊きし、灯りをとり、団欒する場となる。
しかし、開拓を始めて3年近く、島にはそんな場所がなかった。 |
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そこで、舟屋の2階に皆が集まれる新たな場として、
囲炉裏を設置する。
囲炉裏の起源は、縄文時代の地面を掘った地床炉(ちしょうろ)。
それが江戸時代、床のある建物の普及に伴い、
床を掘る形になったとも。しかし、
達也「もう床に穴を開けるわけにいかない」 |
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一般的には、まず、床に穴を開け、灰を入れる箱状の炉を置き、
炉縁で床に火が移るのを防ぐ。
そこに灰を入れれば、完成となるのだが、
舟屋の床は、滑り棒に階段用と、すでに穴だらけ。
これ以上開ければ、床の強度にも不安が出る。そこで、
達也「穴を開けない方法でいくか」
その手だて、経験から考えた。 |
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達也「水路の余った木材で箱作ろう」
つまり、箱型の“置き囲炉裏"を作る。
江戸時代、畳の普及とともに、
その上で使うために生まれたのが箱型。
これなら穴を開けず、舟屋でも備え付けられる。
さっそく、半端な赤松の古材を見繕い、作業開始。
まずは、底の面の加工、細長い板の側面に溝を彫る。 |
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これを組み合わせれば、正方形の底板に。
達也「水路と同じ継ぎ方だね」
それは、去年の夏の水路作業、体が覚えていた。
雇い実継ぎ(やといさねつぎ)は、溝と溝を合わせ、
そこに実(さね)と呼ばれる栓を入れる。
これで水路は繋がり、水は漏れない。
囲炉裏の底板も、細長い古材の板を雇い実継ぎで正方形に。
これなら、中の灰が継ぎ目から落ちる心配はない。 |
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達也「側面はがっちり組まないとダメだろうね」
例えば、桝のように組み継ぎを使えば、
接する面を多くすることで、キツく噛み合う。
しかし、棟梁・達也は、さらに細工を施す。
組み継ぎの出っ張り部分、ヘコみの部分を台形に加工。
つまり、“蟻組み継ぎ"にする。
これは、接合部分を台形にすることで、
組んだ時に、開こうとする力にも、ズレようとする力にも強くなる。 |
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そして、四隅の蟻組み継ぎを打ち込み、
底板をはめれば、灰を入れる炉の出来上がり。
そこに、岩手・久慈で頂いた炉縁をはめ込めば、
置き囲炉裏の形になる。
しかし、これで完成ではない。
達也は、あるものを探して森の中の集落跡へ。 |
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達也「これ、かまどかな?火を焚いてた跡だね」
つまり、かつて囲炉裏と似た使い方をしていたと思われる。
すると達也、その周りにあったレンガを拾い集める。
というのも、囲炉裏の内側は、火が当たれば燃えかねない状態。
そこで通常は、粘土や金属など燃えにくい素材を入れる。
今回はその代わりに、集めたレンガを使う作戦。
さっそく、48個のレンガを調達、舟屋までトロッコで運ぶ。 |
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マツオカーブで合流した松岡と共に、
総重量120kgのレンガを舟屋まで運ぶ。
島一番の急勾配・国分坂を越えたら、あとはひたすら漕ぐ!
そして、舟屋に到着して今度は、
達也「灰がないね」
囲炉裏の中には、熱を床に逃がさず、
火にかければ消火もできる“灰"が必要。 |
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数日後、灰作りは縁起のいいやり方で。
松岡「トシキ(門松)使うか…“どんど焼き"」
それは、門松や正月飾りを焼くことで、
先祖を天に送って子孫繁栄を願う、新年の風物詩。 |
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燃やすのは、新年に飾った門松と、
年末の大掃除で使った、すす払いの煤梵天(すすぼんてん)。
さらに、1年間、神社を守ってくれた注連縄(しめなわ)も。
松岡「これじゃ足りないから流木も足そう」
そこで、よく燃えそうな流木をいくつか浜で収集。 |
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それらを1か所に集め、
燃え上がりやすいよう門松に立てかける。
しかし、どんど焼きをするには、まだ足りない。
さらに、煤梵天と流れ着いた竹を束ねてハの字に立て、
その周りを竹のダンチクで覆い、より高く組んでいく。
松岡「俺たちの志と同じように高く、高くね」 |
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そして、もうひとつ用意していたのが、
城島「新男米で紅白の団子を作ろうかと思って」
どんど焼きに欠かせない“繭玉(まゆだま)団子"。
元々は明治時代、生活が豊かになるようにと、
繭の豊作を願い、形を似せた紅白の団子を枝に刺して飾ったもの。
どんど焼きの終わりに焼いて食べれば、
風邪をひかず、虫歯にもならないといわれる。 |
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まずは新男米をすり潰し、米粉にする。
これに湧かした井戸水を混ぜ、適度な硬さまでコネたら、
城島「半分だけ赤い色を着ける」
そのために使うのが、浜のいたるとこに生えるウチワサボテン。
冬になると、赤い実らしき物を付けるが、
松岡「これ(実)食べられるの?」
その真っ赤に滴り落ちる果汁を恐る恐る舐めてみると、
城島「甘い!美味い!」 |
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調べたところ、ウチワサボテンの実は、別名「サボテンのいちじく」。
メキシコやスペインでは、フルーツとして栽培されている。
ならば、この果汁を団子の着色料に。
米粉の生地に、これを絞って練り混ぜれば、
長瀬「まるで食紅だね。きれいなパステルカラーだ」
そして、これを団子状にして茹でること数分。
松岡「できた!桜餅みたい」 |
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最後に、団子を竹の枝に差して飾り付け。
長瀬「ちゃんと紅白になってるよ」
繭玉団子で島の繁栄を願いつつ、
松岡「よし、どんど焼き点火!」
どんど焼きで囲炉裏の灰を作る。
点火された炎は門松から流木、そして竹へ。
縁起物を燃やした炎は、上がるほどに願いが叶うとも言われる。 |
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そして、高く燃え上がった炎も、時間とともに徐々に治まり、
松岡「門松もちゃんと役目を終えてくれたね」
頃合いを見て、紅白の団子を焼く。
いい感じに焦げ目が付いた、サボテン果汁入り赤団子の味は?
城島「ほんのり甘みがある」
こうして、島の繁栄と健康を願ううちに、
縁起物と漂着物のどんど焼きは、灰に。 |
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そして、つぼみ膨らむ頃、ようやく囲炉裏の仕上げへ。
達也「(炉の)内側にレンガを並べていく」
囲炉裏の枠に火が移らぬよう隙間なく。
そして、これも岩手・久慈で頂いた、
囲炉裏に欠かせぬ道具のひとつ“自在鉤(じざいかぎ)"。
天井に固定された吊り棒と、上下する鉤棒。
掛ける位置で火からの高さが変わり、火加減を調節できる。 |
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この自在鉤を、梁の真ん中に鎖で吊るす。
一方、炉のレンガ並べ、残すは底面。
炉の内側全面に、パズルのように敷き詰めていく。
そして、最終的に隙間なく敷き詰めたられたレンガはおよそ40個。
これで、囲炉裏の枠に火が燃え移る心配はない。
太一「あとはここに灰を入れるんだよね」 |
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そこで、どんど焼きで集めた灰をザルを使って、
松岡「よし、(灰を)振るいにかけるか」
炭や木片が残っていては、火が上がりかねない。
そのため、ザルにかけ下に落ちた、
完全に燃え尽きた、細かい灰だけを使う。
こうして、振るい分けられた灰を囲炉裏の中へ。
長瀬「これで魚も焼けるし、暖もとれるね」 |
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ならば早速、焼いた炭を入れ、温もりを囲む。
松岡「DASH村の感じだね」
囲炉裏端には、こうして人が集まる。
そして、城島が仕込んでいたのは、島を代表する食材・カメノテ。
これを炭火で炙って頂くのも新しい調理法。
竹串で火に近づければ、数分で炉端焼きに。
太一「雨風がしのげて、暖とれて、舟屋最高だね」 |
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