2016年2月21日 放送内容DASH島 無人島を開拓できるか!?

2016年も1か月が過ぎた頃、この男の体は、早くも悲鳴を上げていた。
城島「去年の“壁上がり"がまだ効いてんのかね…」
元日の特番で、5mの壁上りに挑戦。
チャレンジは成功したものの、その代償は大きかった…そこで、
城島「“ヨモギ"で体を温めよう」
“ヨモギ"は、その薬効の高さから、万能の薬草とも呼ばれる、菊の仲間。
風呂に入れれば、天然のオイル成分で体を温め、冷え性や腰痛にも効くといわれる。
さらに、その繊維は低温で燃えるため、お灸にすると心地よい温度でツボを刺激する。
城島も毎年、DASH島のヨモギの力を体感していた。
クルミの殻を使う“クルミ灸"。
お灸の熱が目の疲れに効くというが、風でお灸が飛ばされ
火傷を負う寸前に。しかし、悩んでいたかすみ目は解消した。
そして、去年の冬にも、腹を温め全身の血行を促進する“ボール灸"を施し、
城島曰く、疲れがとれたとのこと。
そこで今年は、浜に流れ着いたものを集め、伝統の民間療法「ヨモギ蒸し」で
疲れを癒やそうとしていた。
発祥は1200年前の中国。
長い年月をかけ、韓国などアジア各地に根付いていったという。
やり方は、全身をガウンで覆い、その中は全裸。
穴の空いた椅子に座り、その下でヨモギを煮て、蒸気を出す。
そして、これを肛門で直接、受けることで、粘膜から薬効成分が吸収され、
全身の血行を促進するといわれる。
つまり、必要なのは、穴の開いたイス。
そこで、集めた漂着物の中から、使えそうな物を探す。
まず選んだのは、プラスチック製の植木鉢。
底に排水用の穴は空いているが、
城島「(蒸気が)分散されそうやな。蒸気はピンポイントがいい」
ならばと選んだのは、風呂用の椅子。
これなら、真ん中に大きな穴が1つだけだが、鍋の上に直接、置いては溶けてしまう。
そこで、手早く、流木と番線でイスの脚を作る。
あとは森で集めたヨモギの葉を干し、水分を飛ばす。
これで、成分が凝縮し効果は高まる。
太陽の光に半日さらしたら、水分が抜け、ヨモギのカサは半分程に。
これを煮れば、蒸気となって薬効成分が立ち上るはず。
イスの周りを漂着物のシートで覆い、蒸気を穴に一点集中!
これで、イスの穴から蒸気が噴き出す。
城島「全身の毛穴からも(薬効成分)入れたいから」
全身から効率よく成分を吸収するため、全裸になり、流れ着いたビニールシートを被る。
気温は5℃。体が冷えないうちに、イスにまたがる。すると、
城島「あー!まだスタンディング状態やけど…来てる、来てる!」
座ろうとするが、予想以上の蒸気の勢いに、
城島「熱っちいー!マウストゥーマウスは…熱いっ!」
それでも何とか腰を下ろし、蒸気をピンポイントで受け止める!
城島「熱い!けど、気持ちいい…けど、熱っつい!」
あまりの熱さに、ほとんど蒸気を受けられなかったが…
城島「でも、なんか元気になった気がするな!」
島にある物で元気になったら、島にある材料で、100年壊れない水路を。
準備していたのは貝殻で作った石灰。
達也「これを混ぜて水路の材料ができる」
伊勢湾で学んだ、波風に耐える新しい素材“三和土(たたき)"。
それは、海水に100年以上さらされても壊れない、和製コンクリート。
材料は全て天然の物。
一度固まれば頑丈で、水を流し続けても溶け出さない性質を持つ。
必要なのは粘土質の土と砂利、そして石灰。
石灰だけは無人島に無いので、主な成分は石灰と同じ、
サザエなどの貝殻を高温で焼き、三和土を作る材料が揃った。
そして、三和土で水路の形を作るにはもう一つ。
達也「型枠を作らないと」
コンクリートなどを決まった形に固めるための枠組み。
以前、福島DASH村でも型枠を作ったが、この時は、レンガを作るための小さく単純な型。
水路を作る型枠となれば、サイズは大きく、形も複雑に。
まず、底板の上に内枠を組んで固定する。
外枠で、四面を囲ったら型枠が完成。
そこに、粘土状態の三和土を流し込む。
そのまま乾燥させ、固まるのを待って型枠を外せば、三和土水路の完成となる。
さっそく、漂着物の板で型枠作り。
型枠の長さは、150cmほど。
隙間に三和土を詰めれば、コの字型の水路に。
ここに、さらに必要なのが、鉄筋などの骨組み。
コンクリートの中に入れる事で、強度が上がる。
しかし、鉄筋は無人島には無い。
そこで、DASH島の海沿いに生える暖竹(だんちく)を調達。
頑丈で、強いしなりを持つことから、杖や、釣り竿などに加工される。
達也「鉄筋が無いから“竹"で」
この知恵も、愛知で学んでいた。
大正橋のたもとに残されている、昔の橋脚部分。
達也「これ…竹なの!?」
その名も、鉄筋ではなく「竹筋(ちくきん)」。
資材が不足した戦時中に鉄の代用品として使われはじめ、
この竹筋を使った大正橋は、架けかえられる平成2年まで、
自動車や人々の往来を支えた。
しかし、水路はコの字型。
骨組みも、その形に曲げなければならない。
それには、以前、学んだ火で炙って竹を曲げる技術で。
火で熱すれば、直径15cmの太い竹も曲げられる。
そして、目的の形に曲げたら、水で冷やして形を保たせ、
たこ糸で縛ってコの字型の骨組みに仕上げる。
150mほどの洲に、三和土の水路を引くには、型枠と竹筋が、100本以上は必要。
しかし、ここまでの作業に半日を費やし、本格的な、三和土の水路づくりに
取りかかったのは、数日後の事だった。
三和土の材料は、すべて島にある物。
粘土質の土は、瓦葺きにも使った山の中のもの。
さらに、石橋の土台固めにも使った砂利。
そして、貝殻を高温で焼いて作った石灰。
最後に、三和土をこねるのに欠かせないのが、
達也「真水じゃなく、“にがり"が入ってる海水がいい」
にがりを、つなぎとして使い始めたのは、戦国時代の左官職人。
国宝・姫路城も大修復の際、その壁を固めるのに、海水から採った
にがりを使ったと言われている。
それから、400年もの間、受け継がれてきた職人の知恵。
そして、材料をこね始めて数分後、
太一「土壁より柔らかくない?」
福島DASH村の土壁は、平面に厚さ1cm程度で塗っていたが、今回の型枠は、厚さ5cmほど。
流し込むにも、注意しなければならない事が。
太一「空気が入ったら割れやすいから、押して詰め込まなきゃね」
コンクリートを流し込む現場では、強い振動を与える「締固め機」で空気を抜き、
隅々まで行き届かせる作業が欠かせない。
空気が入れば、ヒビが入って崩壊の可能性も。
奥まで均一に詰まっていなければ、強度不足。
そうなれば一からやり直しだが、乾いてみなければ分からない。
そして、天日と冬の乾いた風にさらすこと、数日間。
太一「(三和土が)カチカチだよ!」
海水が乾き、水分が抜けると、中に残ったにがり成分の力で固まる。ただ、
太一「空気入ったんじゃないかと心配だよ」
それを確認するには、枠を外してみなければ。
まず、断面を外してみると、細かい隙間がいくつも。
そして、側面と、肝心の水を流す内側、型枠の底は、まだ水分が残っている。
外すのが、早かったのか。とはいえ、
達也「乾く時間がズレると割れるよね」
それは、福島DASH島のレンガ作りで味わった、苦い経験だった。
同じように、土で作ったレンガも、乾き具合にムラがあると、割れてしまった。
ならば、全体を乾かすために、型枠をすべて外してみる。
と、乾燥にムラがあった事が原因か、ヒビ割れが。
さらに、そこから、簡単に崩れてしまった…。
達也「やっぱり中がまだ湿ってる」
完全に乾燥しなければ、三和土本来の強度は出ない。
必要なのは、時間をかけずに、均一に乾かす手段。
達也「材料・厚み・乾きやすさ…バランスは取れてるはずなんだけど」
長い道のりを残した水路計画だが、肝心の三和土が、乾かず…。
棟梁・達也、その誤算は、あまりに大きかった。
↑ページTOPへ