2016年7月24日 放送内容DASH島 無人島を開拓できるか!?

DASH島の水路計画は、最大の難所、
強烈な波と風が打ち付ける洲に、
石と和製コンクリート・三和土で水路を作る。
土台は、風や波を受け流しやすいよう、
尖った石を噛み合わせて、丸みのある形に。
投石機を作り、土台に使う石を水路のそばまで一気に、
ぶっ飛ばし続け、のべ4日間。
飛ばした石は、およそ200個。しかし、
城島「尖った石が無くなってきたね」
島にある手頃な石は取り尽くした。
が、まだ、残る土台の数は97。
DASH島の石でまかなうのは厳しい。そこで、
城島「ちょっと心当たり当たってみるわ」
城島はあの方を頼って、愛媛県北宇和郡鬼北町へ。
藤本さん「この町の知り合いがいい石を持ってる」
訪ねたのは、石工一筋・27年、藤本昇さん。
長崎出島の石垣を始め、重要文化財の修復を手がける、
全国でも数少ない国の認定技術員。
DASH島の石橋作りでも力を借りた。
そんな石の師匠の仲間、愛媛の石工・奥山聖治さんが、
土台に使えそうな石を譲ってくれるという。
案内して頂いたのは、町の外れ。
奥山さん「工事現場で掘って出てきた余った石を置いてます」
というのも、鬼北町周辺は山に囲まれた地域。
崖くずれを防ぐための工事の際、大量の岩が。
埋め立て工事などに使用する以外、あまり使い道がないという。
その中に、まさに、水路にうってつけの石が。
奥山さん「叩いてみてください。音が違いますよ」
ハンマーで叩いてみると、普通の石より明らかに高い音が。
城島「金属音みたいな感じ」
藤本さん「(音が高い方が)硬いっていうこと」
さらに、持ち上げてみるとかなりの重量感。
城島「中身が詰まってるってことか」
奥山さん「“ホルンフェルス"っていう石」
藤本さん「ホルンはドイツ語で角(つの)という意味」
それは、割った時に角のように鋭利になることから。
3万年前、旧石器時代の日本で、
獲物を捕らえる矢尻や斧に利用されていたという。
元々は、砂が押し固まった岩で、
マグマの熱を受けて、変化したもの。
細かい粒が、より密着することで、
密度は1.5倍、硬さはおよそ3倍にも。
堀に海水が流れこむ城、日本三大水城の一つ、
今治城の石垣にも使われ、潮風を受けながらも、
風化することなく、400年以上支えている。ならば、
これをDASH島の水路に使えば、400年残る水路に…。
では城島、この大量のホルンフェルスを重機で…と、
城島「(操縦)レバーが真逆や」
それは、重機操作のキモとなる左右のレバーのこと。
そもそも一般的には、左のレバーが旋回。
車体を回転させ、向きを変える。
そして、右のレバーで腕を上下に伸ばしたり、折り曲げたり。
これが世界基準なのだが、今回の現場にあるのはレアモノ。
操作レバーが左右、あべこべ!
城島「鏡見ながら操作してるみたいで変な感じ」
とはいえ、理屈は分かった。
重機歴15年、操作の違いも慣れさえすれば、仕事は早かった。
1時間ほどでトラックの荷台一杯に。
城島「ホルンフェルス。宝の宝庫や」
ひとまずトラック一杯分の宝の山を、DASH島へ!
これで、土台の材料の目処はたった。
あとはパズルのように噛み合わせながら積んでいき、
動かぬよう隙間を和製コンクリートで埋める。
三和土の材料は、島で調達したもの、なるべく節約しながら。
そして、その上に三和土で作った樋を渡す。
松岡「この調子で作っていこう」
とはいえ、石の土台まだ4つ目。残り96個。
そしてこの日は、作業の手を休め、森の中へ。
達也「すごいなってるじゃん!ビワ」
それは毎年、DASH島の森に実る、初夏の味。
この無人島に暮らす鳥たちも大好物だった。
そこで、島に流れ着いたマネキンで案山子をこしらえ見張り番に。
さらに、自分たちの食べる分だけ、
毎年、熟す前にネットを掛けていた。
今年もいくつか、実を味わったら、
松岡「また、あの人(城島)が種使うだろうから」
アケビを食べたときも、ムベを食べたときも、
城島は、種からは油が採れるからと、捨てずに集めてきた。
そして、種集めは、城島のライフワークに。
そんな男が今回、森でビワの種を集めて作ろうというのが、
城島「(ビワの種を)コーヒー代わりにしようかと」
そもそも、大人の嗜み、コーヒーの原料は、
コーヒーノキになる甘い実から採れる種。
これが、いわゆるコーヒー豆。
日本に入ってきたのは150年前、江戸の終わり。
文明開化とともに、街に喫茶店も増え、
庶民にも広まったが、戦争で一時輸入が停止。
そこで、さまざまな食材で、代用コーヒーが考え出された。
大豆、麦、サツマイモ、たんぽぽなど、材料もいろいろ。
福島DASH村でも黒大豆を煎ってすり潰し、
代用コーヒーを作った。そこで、
DASH島でも、コツコツ集めたビワの種55個で。
まずは、薄皮を剥き、鍋に入れて煎る、これが焙煎。
城島「水分を飛ばして焦がさないようにする」
それは6年前、南国・小笠原で、
国産コーヒー農家の方に教えてもらった。
焙煎は、コーヒーの味を左右する。
加熱する事で豆の成分が変化し、
浅く煎れば酸味が強く、深く煎れば苦味が強くなる。
目安は、パチパチという音。
ビワの種の大きさは、コーヒー豆のおよそ2倍。
焦げ付かないよう、やや浅めの焙煎で。
城島「色もついてパチパチいうてきた!」
ここで、本来ならミルと呼ばれる粉砕器で豆を挽く。
粉々にするほどコーヒーの味が、抽出しやすくなるのだが、
DASH島では、椿やアケビの種も潰してきた石臼で粉砕。
そして、本来なら、専用のフィルターを使ってドリップ、
豆の成分をゆっくり抽出していくのだが、
DASH島では、油絞りにも使った布で。
こうして作った島の“ビワコーヒー"、味わいは?
太一「酸味は少ないけど美味しい」
城島「コーヒーと紅茶の中間みたいな味」
ならばと、城島が持ってきたのは、
DASH島の浜に自生する、ハマエンドウ。
大豆の仲間で、種は味噌の材料にも使った。
大豆は代用コーヒーとして商品化もされている。
しかし、煎り始めた直後、ポップコーンのように、
パチパチと音を立て、激しく弾け飛ぶハマエンドウ!
このままでは、鍋から全ての種が飛び出てしまう。
応急処置で、お湯を注いでみるが、時すでに遅し。
達也「種が全然無くなっちゃった」
コーヒーの奥深さが身に染みた城島であった。
一方、2年前に舟屋に設置した、すべり棒。
床に穴を開け、足場丸太の棒を取り付けたものだが、
今から半年程前、松岡の失態により、
松岡「ポールダンスしたら棒が折れちゃった!」
しかし、それ以来、日々の作業に追われ、
修理には手が回らずにいた。そこで、
達也「直すにしても、考え方を変えよう」
達也には、ある考えがあった。
それは、すべり棒の代わりとなる、人も荷物も運べるもの。
達也「いわゆるエレベーターみたいな」
作っているのは、昇降機。
2300年近く前、アルキメデスがその原型を発明したと言われる。
日本では、170年前に水戸藩主・徳川斎昭が、偕楽園に初めて設置。
1階の調理場から3階の休憩所へと食事を運ぶためのもの。
食事をカゴに入れ、3階からロープを引けば、
階段を使わず、楽に滑車で上げることができる。
基本的な構造は、滑車とカゴ。
まずは、人や物を載せるカゴ作り。
さっそく、松岡が材木をノコギリで切り出していると、棟梁・達也が、
達也「木目が横のときは細かい刃で切って、
木目が縦のときは大きい刃で切るほうが切りやすい」
両刃鋸(りょうばのこぎり)は、左右それぞれに違う刃が。
木目に沿って切る縦引き刃と、木目と交差するように切る横引き刃。
縦引き刃は、ノミのような形。
繊維に逆らわず、削りながら切っていく。
一方、横引き刃は、小刀のような形。
鋭い刃先で繊維を切断しながら切り進める。
松岡「そんなこと知らないで今までやってた」
そして、切り出した板を張り合わせて、昇降機のカゴを板型に。
これならば、2階にあっても邪魔にならない。
最後に、ドリルで開けた穴にロープを通し、
松岡「よし!カゴできた」
あとは、重さに耐える滑車だが、それならば、
1トンの石を動かし、線路を引き上げてもビクともしなかった
あの滑車を、穴の真上に鎖で吊る。
これだけでも荷物の運搬には使えるが、
人が乗り降りするために、もう一工夫。
達也「重りをつけなきゃいけない」
つまり、滑車のもう一方に重りを付けることで、
人が乗るとゆっくり下がるだけでなく、上がるときは自動的に。
これならば、一人でも楽に昇降機を使える。
そして、重りを付けるロープは、
達也「これ(床の穴)使う?」
床板の節の穴を通して、一階へ。
力学上、カゴとそこに載せる物の重さより、
重りがわずかにでも軽ければ、昇降機はゆっくりと下りていく。
そこで、島の北側の浜で丁度いい重りになるものを探す。
ここは、海が荒れるたびに、強い波風が打ち付ける場所。
達也「掃除してもすぐに(漂着物が)溜まるからね」
そして、ワイヤーロープや水鉄砲など、
様々な漂着物の中に、黒い怪しいポーチが。
達也「重たい…ちょっと、ヤバいかも…」
しかも、外から触った形は、
松岡「チャカ(拳銃)じゃないの!?」
万が一に備え、中身を確かめねば。
恐る恐る取り出してみると、見えたのは銃口!
達也「U.S.ARMY(アメリカ陸軍)って書いてある」
さらに、ポーチから出てきたのは、
プラスチック製の弾、BB弾。つまり、
達也「完全にエアガンですね」
空気でBB弾を打ち出す、おもちゃの銃。
サバイバルゲームなどにも使われる代物。
ということで、事件性はない。
次に目に留まったのが、枕木のような木材。
持ち手のロープが付いており、タンカーやトレーラーで、
車輪の固定や荷物の底上げに使われている物に近い。
達也「25kgくらいあるね。木もありだな」
木材ならば、水に浸ける時間で重さの調節もできる。
さらに、打ち上げられていたテーブルのような円い木材。
どうやら、工業用のケーブルやロープを巻く芯・ドラム。
その側面の片方だけ。
松岡「これは相当重いよ」
その重量およそ50kg。
頑丈な作りな上、水を吸わせればさらに重くなる。
達也「これ(昇降機の重りに)持っていこうか」
作業開始から3時間。
ようやく昇降機の部品が揃った。
カゴと繋いだロープの反対側に、
重りとなる、およそ50kgのドラムを鎖で取り付ける。
カゴは普段、2階の床と一体化しているが、
重りを上回る重さの物が載ると、ゆっくりと下りてくる。
こうして半日かけ、舟屋に手動エレベーター・昇降機が誕生した。
カゴに載せた人や荷物を、階段を上ることなく、
滑車とロープの力で、上げたり下げたり。
重りをつけたことで、一人でも使えるはず。
では、試運転は、すべり棒を破壊した本人から。
ゆっくり、順調に降り切った松岡だったが、
達也「降りたら(カゴが)跳ね上がっちゃうね」
というのも、松岡が降りると、重りの重さだけがかかり、
カゴが一気に上がってしまう。そこで、
達也「カゴにロープを付けてゆっくり上げられるようにする」
つまり、もう一本、下に引っ張るロープがあれば、
体重をかけながら、徐々にカゴを上げることができる。
しかし、実際にロープを取り付けてみると、
達也「思ったより勢いが弱まらないね。荷物用だな」
松岡「でも島で初めて動力を利用したものができた!」
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