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2016年9月11日 放送内容DASH島 無人島を開拓できるか!?
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いくぶん、暑さ和らいだDASH島。
作業のペースは、上がっていた。
それは、森の古井戸から舟屋まで、全長500mの水路計画。
最大の難所である洲の上に、波風に負けないよう、
和製コンクリート・三和土を使い、石の土台を築き、
100本の樋を渡して、9ヶ月かかって、大小2つの島を繋いだ。
あとは離れた木樋と三和土の樋をつなげば水は流れる。 |
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しかし、
城島「この(木樋との)高低差利用して勢いつけたいね」
というのも、ひと月前、水を流しての初テストで、
出だしは順調だったが、洲の半ばでは、かなりのスローペース。
風にあおられぬよう、できるだけ低くしたのがアダとなり、
150m流れ切るのに、6分もかかった。
そこで、さらに角度をつけて木樋と三和土の樋をつなぐ。 |
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これで、水に勢いがつき、一気に流れてくれるはず。
そして、三和土の樋の終点、この先は、
達也「緩やかに下がってるね」
石橋から見える舟屋は、水路よりわずかだけ低い位置に。
これなら、水は流れて行くが、
城島「レールに(水路が)当たるね」 |
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舟屋は、線路を挟んで洲の反対側に。
どこかで線路を越えなければならないが、
このままでは、トロッコとぶつかってしまう。
そこで、
松岡「線路の下を(水路)くぐらせようか」 |
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つまり、レールの下の隙間に水路を通す。
これで、線路をかわして舟屋まで。
城島「木樋が通る隙間は欲しいね」
木樋の高さは、15cmほど。
それに対し、線路の下は、枕木分7cmの隙間だけ。
そこで、砂利を掻き出して、木樋のスペースを確保。 |
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そのころ、棟梁・達也は、線路をくぐらせる木樋の加工。
これまで同様、コの字に組み、レールが斜めに通る溝に合わせて
側面に切れ込みを入れる。
その溝とレールの位置を合わせて、線路の下を通せば、
松岡「いいね!(溝とレールが)ぴったり合った」 |
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しかし、木樋と三和土の樋の接合部分に隙間が。しかも、
達也「水量が多いと(カーブで)こぼれる可能性がある」
つまり、同じ太さのまま水路の方向を変えると、
水の勢いもそのままに、壁に当たってこぼれてしまう。
その対策は、2年前、岩手・久慈の水田の用水路で学んでいた。 |
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カーブの外側の幅を少し拡げ、水の勢いを弱める。
勢いを受け止める部分を手早く作り、カーブの部分に。
これで、貴重な井戸水をこぼさず流すことができる。
そして、反対側のカーブにも同様に取り付ける。
ここからは、通常の木樋、慣れた作業にペースも上がる。 |
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松岡「“船橋"越えたね」
しかも、ほとんど高さを下げることなく。
さらに、通称・船橋こと、石橋の影になることで、
風に強く、波が抜けても、土台の丸太は影響を受けない。
これも、船橋のおかげ。 |
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その数日後。
この日は、最年長と最年少が作業。
水路は、さらに30mほど伸びていた。
城島「(舟屋まで)あと100mくらいか」
長瀬「それでこの高さって…大丈夫?」
つまり、既に地面から60cmの高さに。 |
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限りなく緩やかな傾斜にしなければ、
舟屋までの100mの間に、地面に着いてしまう。
城島「目で見て分からんくらいの角度で下げていかんと」
そんな時は、2年間、使ってきた道具で。
江戸時代、水路を引く際に使われていた水準器。
ここまで水路を順調に伸ばせてこられたのも、これのおかげ。 |
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普段は達也の仕事だが、今回は長瀬が角度を測る。
2本目がわずかにでも高ければ、水は逆流する。
と、測量担当・長瀬が気付いた。
本来、縦に覗く水準器を横からのぞく。
こうすることで、水準器を左右に動かすことなく、
2本の杭を同時に見ることができる、と言うが…
結局、この我流の測量で作業は進んでいき、残り60mあまり。 |
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そして、ここでしばし、作業の手を休め、今年もあの季節が。
松岡「あれから1年だよ」
ウォータースライダーや飛び込み台、ウェイクボードなど、
島にあるもので、毎年恒例の海遊び。
男だけの無人島で、“リゾラバ"と呼んで浮かれていた。 |
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松岡「今年は(漂着物)何があるかな」
まずは、漂着物のチェックから。と、
達也「ゴルフボールあるじゃん」
流れ着いた海藻や、木と一緒に転々と。
本来、ゴルフボールは水に沈むのだが、
長瀬「水上ゴルフ場の球は池に浮かぶよね」 |
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それは10年前、ソーラーカーで訪れた。
雨の少ない地域に多く見られる、農業用水の溜め池。
その広さを利用して、普段はゴルフ練習場に。
そこで使うのが、フロートボール。
大会などで使うボールより、層が少ない上に、軽い素材でできている。
水に浮くため、回収もしやすい。 |
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太一「穴掘ってゴルフできるじゃん」
そこで、城島は急いで舟屋へ往復し、
城島「今まで流れ着いた、それ(クラブ)っぽいの持ってきた」
というのも、日々作業の合間に、
何かに使えないかと、せっせと集めていた漂着物。 |
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そんなのを何本か見繕い、その中に、もってこいの形状のやつが。
松岡「“ステッキ"いいじゃん!これでパターゴルフしよう!」
と、クラブも決まったところで、
城島「あれ、なんや?」 |
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見つけたのは、白濁した液体が入ったボトル。
長瀬「パンパンに膨れてんじゃん!」
達也「(中身)どぶろく?マッコリ?」
それは共に米などを発酵させた、生きた酒。
発酵が進みガスが出るため、ガス抜きが必要となる。
フタを開ければ暴発する可能性もあるが、
松岡「(ゴルフで)最下位だった人がボトル開けよう」 |
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まずは、松岡がコースづくり。
砂浜に直径10cmほどの穴を掘り、
流れ着いた苗木用のポットで、即席のカップを。
松岡「3打で入るくらい(の距離)がいいね」
最後に位置が分かりやすいように、棒を立てて、初開催・マツオCUP。
賞金・副賞はないが、罰ゲームはある。 |
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舞台は、DASH島ゴルフ倶楽部・砂浜ホール。
つま先下がりの直線、30ヤード・パー3。
海からの風も、影響はほとんどない。
斜面の攻略がカギとなる。
まずは、大会主催者の松岡から。
開拓作業の手を止めては、スイングを入念にチェックしていた、その成果を! |
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第1打目、放った球はまずまずの位置。
そして、続いての太一は、
太一「マン振り(思いっきり)で行きますよ!」
と、言いながら、距離は松岡に及ばず。
そして、馬鹿力で飛ばした長瀬は、ピンの奥8mへ。
長瀬「やべえ、行き過ぎたな」 |
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そして、誰よりも、素振りしてきた自負がある達也。
カケヤでホゾを打ち込むように、いざ!
が、かすっただけのボールは、海へ向かって転がり落ち、
達也「止まって!」
海ポチャは何とか免れた。
そして、トリの城島が打った球は、誰かの足跡にすっぽり。 |
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太一「リーダー、これ出すの大変だぜ」
そこで、ボールの後ろをステッキの持ち手の先端で打つ秘策!
それが功を奏し、3打目で何とか脱出成功。
ここからは、それぞれの攻め方でカップを狙い、
最初にカップに迫ったのは、この男だった。
松岡の4打目が、ピンそば50cm。 |
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松岡「お先!」
遠い人から打つルールだが、確実に入る距離は先に。
これを沈めて、5打で松岡一抜け。
そして、続いての長瀬が、結局、7打を叩き、
他のメンバーは、6打以内なら勝ち抜けに。
これで、すでに5打の城島にも自力の可能性が復活した。
一方、達也は、嫌な距離の5打目。 |
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これを見事、沈めた達也。
あとは、太一と城島次第。
太一は下りの5打目を外し、6打でカップイン。
城島は、あと2打以内でカップインすれば、勝ち抜け。
しかし、城島の6打目はカップに届かず。
絶対外せない最後の1打、目線を低くし、芝を真横から読む。
葉の生える向きで、ラインを見極める。 |
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そして7打目は…カップの縁に当たって大きく跳ねた!
結局、カップに嫌われた城島が、罰ゲーム執行。
白濁ボトルを恐る恐る開けてみると、
城島「カサが増えた!」
プシューという音と共に、液体の量が増した!
そして、臭いは、
城島「むせかえる…ものすごい発酵した乳製品みたい」 |
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松岡「一回閉めて振ってみたら?」
振って海を漂ううちにできた沈殿物を撹拌する。
と、何故か今度は液体の量が減り、
太一「でんじろう先生に聞いた方がいいんじゃない?」
そこで、でんじろう先生に聞いてみたところ、まず、
酒らしきものが発酵する際に、ガスが発生し充満。
その圧力で、ボトルが膨らんだ。 |
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そこで、フタを外したところ、ガスが抜けてボトルは縮む。
しかし、液体に閉じ込められていたガスが、一気に出ようとして泡に。
これで、増えたように見えた。
再びフタをして振れば、液体から出るガスが充満。
酒と泡を押しこみ、減ったように見えた。
とのこと。 |
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一方、水路計画は、舟屋の屋根が見える位置まで迫っていた。
土台の杭を打ち込んでは、木樋を載せていく。
達也「ここから地面が上がってるから傾斜がとれない」
というのも、このままの勾配で水路を下げていくと、
この先の土手にぶつかってしまう。
長瀬「舟屋はすぐそこなんだけどね」
確かに、防風林を挟んですぐ左手に舟屋。 |
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達也「森を抜けて舟屋まで行くか」
つまり、森を突っ切って、一直線に舟屋まで。しかし、
城島「草木が密集して向こうが見えへん」
だがこの枝葉が、海風から舟屋を守ってくれる。
できるだけ、切りたくはない。
とりあえず、目指す舟屋の水瓶の位置に、
目印となる竹を立てて、海側から確認。 |
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これで舟屋までの最短ルートは分かったが、
ここに水路を通そうとしても、防風林の根元に当たってしまう。
ならば、ゴールの位置をずらし、枝の間を抜けられるルートを探る。
達也「ここちょうど抜けてるね」
何とか抜けられそうな隙間はあったが、
それでも、木樋のサイズでは突っ切れない。 |
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松岡「スズメバチを退治した時に使った竹は?」
それは、舟屋をスズメバチの危機から救ってくれた、
漂着したものの中で、一番長い竹。
その長さと太さを生かして、上手く二つに割れば、
直径12cm、長さ10mが2本できる。
水路にするにはもってこい。 |
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樋にするため、真っ二つに。
漂着した竹、水を流すには節も取り除かなければ。
そして、海側から防風林に1本通してみると、
達也「全然、足りてねえや。もう1本とつなげよう」 |
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そこで、舟屋側からもう1本を通し、連結させれば、2本で20m、
最小限のスペースで森を通過。
土台代わりに、余った材木や木の枝で固定。
最後は、小さなドラム缶で水を受ける。
森の古井戸から始まった、全長500mの水の道。
着工から2年5か月、ついに開拓の拠点・舟屋までつながった。 |
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長瀬「(水)流してみますか!」
そこへ、立ち会ってくれる方々が。
共に水路作りを支えてくれた職人たち。
木樋の材料調達で力を借りた、木の師匠・沢口さん。
そして、和製コンクリート・三和土のイロハを教えてくれた、
土の師匠・纐纈さん。
さらに、石橋作りでもお世話になった藤本さんには、石積みの大切さを学んだ。 |
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皆、この水路の完成を心待ちにしていた。
およそ2年半前、始まりは1本目の木樋からだった。
そこに水を流すため、井戸の脇にはね釣瓶も。
これで水汲みが楽になった。
達也「じゃあ汲みましょうか」
その頃、松岡は水路の中継地点に。 |
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松岡「ここで一回、汲み上げるわけだからね」
というのも、地面スレスレまで低くなった水の流れを、
ポンプで、森を越える高さまでもう一度引き上げる。
そして、ここから9mの丸太の水路橋を渡し、森の上を一気に浜まで。
そして、その浜には、太一が。 |
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大小2つの島を繋ぐ洲の部分、最も過酷なこの場所には、
和製コンクリート・三和土の樋で、波風に負けない水路150mを築いた。
纐纈さん「これだけの距離、ほんとに完成するとは思わなかった」
そして、その先には長瀬。
長瀬「もう遺跡みたい」 |
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藤本さん「土台の石はホルンフェルスですからね」
それは、採掘現場で頂いた石。
旧石器時代、矢尻にも使われた、硬さと耐久性で、
三和土で固めれば、波風にもびくともしない土台に。
そして、舟屋前には、水路の完成を、誰よりも待ち望んでいた男が。 |
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水運びはリーダー・城島の日課だった。
これから解放される喜びを噛みしめ、
城島「やっとやな…」
島中、日本中からかき集めた材料で作った500m、
果たして、水は届くのか?では!
達也「行きますよー!」 |
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達也が最初の1杯目となる水を流し、
あとはスタッフがありったけのバケツ30杯分を。
水の行方を追う達也、まずは、12m地点のやかん。
水を溜めることで、木を切らずに方向を変える。
達也「ここでも受けて角度を変える」
40m地点、接続枡で角度を調整し、
その先のポンプ櫓の下のドラム缶に溜める。 |
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バケツ25杯分は溜まるドラム缶。
一度溜めれば、あとは一人で水を流すことも出来る。
そして、岩手県・久慈で頂いた手押しポンプで汲み上げ、
松岡「ニシキヘビのように水が流れてるよ!」
最初は細い水の線。
しかし、後からバケツ25杯分が追いかけてくる。 |
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達也「もうすぐ海に出るよ」
10分程で森を抜けたが、この先は未だ通しでテストをしていない。
松岡「(水)汚れてるけど最初は掃除も兼ねてるからね」
使い続ければ、枝や木の葉は流れていく。
そして、直線のコースで、水の勢いもそのまま。
さらに坂でスピードアップ。
150mの三和土の樋を一気に! |
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三和土の水路を順調に進み、
松岡「船橋の上に水が通る」
線路の下をくぐれば、トロッコの行き来もできる。
勢いで水がこぼれぬよう、加工もした。
多少勢いは弱まるが、こぼれていない。
そして、この先は海沿い、最後の直線120m。 |
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ここまでは、達也が測量。
しかし、ここから先は、長瀬が独自の方法で。
達也「ここは溜まるね、かなりゆっくり」
測ってみると、その勾配は1mで0.5mm。
長瀬、野生の勘での測量が、功を奏した。
時間をかけてやってきた水は、最後の竹樋へ。 |
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防風林を抜ければ、舟屋の前へと。
これまで、およそ2年半。
ここまで辿り着くのには、様々な道具に、数々の材料、
そして、気の遠くなるような労力を費やした。
その全てが、この一筋に。 |
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わずか2分ほどで、小さなドラム缶一杯に。
城島「記念すべき真夏の初行水…」
が、
城島「熱っ!」
井戸をスタートして30分。
真夏の太陽に照らされ、すっかりお湯に。
城島「でも、しばらくしたら冷たくなってきた」
松岡「水キレイだよね」
ようやく舟屋に、命の水が、届いた。 |
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