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2016年12月4日 放送内容DASH島 無人島を開拓できるか!?
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冬が近づくにつれ日は短くなり、作業ができない暗さになっていた。
そこで、日々集めていた漂着物の瓶。これで
松岡「アルコールランプだね」
つまり、スイス発祥のオイルランプを作り、舟屋に灯りを。 |
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日本では、江戸時代までろうそくや行灯が灯りの主流だったが、
ろうそくでは風で火が消えてしまい、紙で覆った行灯では明るさが保てない。
江戸時代の後期にオイルランプの技術が伝わると、明るさと使いやすさから、
明治の中頃には庶民にも普及した。 |
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ランプの火を守り、灯りを広げるのは、火屋(ほや)というガラスの覆い。
これを無人島で作るなら
長瀬「(瓶)の底を抜けばいいんだよね」
つまり、ビンを切って筒状にし、火屋(ほや)の代わりに。
そのやり方は、福島DASH村で学んでいた。 |
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ガラスは温めると軟らかくなる。
さらに、溝をつけ、ガラスを薄くすると、軽い衝撃で、溝の部分から割れる。
同じ要領で、まずはヤスリでビンの底に溝をつける。
そして、火で炙れば狙い通りに底が抜けた。 |
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しかし、その燃料集めは、1年がかりの作業だった。
城島「まだ、(椿の種)くっついてるのかな?」
DASH島の小島の北側の崖の上には、日当りの良い海沿いに自生するヤブツバキ。
花が咲く時期から、別名「春を呼ぶ花」とも呼ばれている。 |
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冬から春にかけて咲いた椿の花は、夏にピンポン球程の実となり、
それが熟すと、割れて中から種が落ちる。
その中には、良質な油が豊富に含まれている。
種を細かく砕いたら、蒸して油を搾り出す。
この“椿油"をランプの燃料にするため、これが2度目の椿油搾り。 |
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崖の上をよく見ると、すでに開いた実が。
落ちて見失う前に集めたいが、
城島「結構、高い場所にあるなあ」
椿の実は、高さ7mの崖の上に。
当時まだ45歳だった城島だが、到底上れるはずもない。そこで、
城島「(流木で)ブーメラン作って落とそう」 |
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ブーメランはオーストラリアが発祥。
元々は狩猟の道具として鳥や木の実を獲るのに使われていた。
手頃な流木を削ること30分。
思いのほか、いい出来映えに。
城島「葉っぱ目がけて戻ってくるかテストしよう」
高さ8mの位置にある葉を、椿の実に見立てて実践する。 |
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しかし、投げたブーメランは
戻ってくるどころか、落下した衝撃で、
城島「割れたがな!ここまで削ったのに…」
それは、中心を貫く太い木目が原因だった。
そこで、今度は太い木目を避けて木を選び、2度目の削り出し。 |
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結果的に手際は良くなり、城島のブーメラン2号機が完成。
美しい曲線の軌道をイメージし、目標の枝へ。が、
城島「うっそーん」
ブーメランは目標を外れ、屋根瓦の角に直撃。
またも真っ二つに割れてしまった。
仕方なく、3度目を削り出し、これでもう材料は残っていない。 |
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城島「もうぶっつけ本番で行こう」
テストはやめ、崖の上の椿の実に狙いを定め、一投入魂。
気持ちと集中力を高める!と、今度は気合を入れすぎ、
激しい素振りで真っ二つに…。
仕方なく達也と長瀬の力も借りて、流れ着いた竹を番線で連結させ、
長さ約8mの竹の棒を。 |
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竹の先には、三つ股のヤスを取り付ける。
元々は集落跡で見つけた海底のサザエなどを挟んで獲る道具だが、
これで高い木の上に生る、柿の実なども採ってきた。
その要領で高さ7mに生る椿の種を狙う。
長瀬「これならいけるよ!」 |
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高さは十分、枝をゆすって叩き落とす、と、
長瀬「(椿の種が)海の中、落ちた!」
8mの棒では思うように操作できない。
そこで、残りの実を逃さぬよう、落ちてきた実を、
達也が下で受け止める作戦に。 |
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達也「落ちた、落ちた!」
石の隙間に入り込んだ種を何とか拾うと、
城島「こっち(地面)探した方が早いかな」
すでに落ちている種を探してみると、
長瀬「あった、あった、これも(種)だ」 |
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さらに、棒で揺らしては種を拾う作業を繰り返す。
何とか20個程集めたが、まだまだ足りない。
城島「森の奥とかに種が運ばれてへんかな?」
というのも、植物の種が実に包まれているのは、鳥などに運ばせて、
棲息範囲を拡げるため。 |
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カラスバトなど大きい実を食べる鳥はDASH島にもいる。
他の場所に椿が生えていても不思議ではない。
城島「森の中(椿の木を)探してみますか」
森の中には、ところどころに、椿が好む陽の当たる場所が。
ならば、ここで大きくなっている可能性も。すると
城島「あった!これ、椿ちゃう?」
樹齢・推定20年のヤブツバキを発見。
20以上の花が咲いているが、実は見当たらない。 |
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達也「種が落ちてるのと、花が咲いてるのと、つぼみもある」
椿の花が咲くのは虫たちが少ない冬から春にかけて。その為、
一度に花をつけるのではなく、タイミングをずらして、
長い期間咲き続けることで、受粉の可能性を高めている。
そのため、1本の木でも、咲く前の蕾の状態や花が開いた状態、
そして、花が落ちた物も混在している。 |
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めしべだけが残り、受粉されていれば、根元が成長して実になる。
この時、花は20個程。
この先も時期をずらして咲き続け、次々と実ができるはず。
松岡「この先、ここで椿が採取できるってことでしょ」
これまでの椿の種集めは、苦難の道のりだったが、やっと希望が見えた。 |
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城島「日当たり良くしたら、もっと育つ気がする」
木が覆い被さるように茂り、日光が遮られている椿の周辺の
枝葉やツルを間引くと、
松岡「すいぶん陽が当たったね」
すると松岡が閃いた。
松岡「お前は今日から“三十郎"だ」 |
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黒沢明監督、昭和37年の大ヒット映画「椿三十郎」。
その主人公のように、無骨だが強い木に育って欲しいと願って命名。
しかし、夏になると三十郎の異変が。
達也「あれ?花がない」
2か月前はいくつもあった花が一輪もない。と、
城島「(若い実)が虫に食べられている」 |
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今後大きく育って種をつけるであろう、小さく青い実に、
何者かに食べられたような跡が。
疑わしきは、クワゴマダラヒトリという蛾の幼虫。
葉を食べ、成長を妨げる為、果樹園などでも被害が相次いでいる。
このままでは、三十郎にも四十男たちにも影響が出てしまう。
城島「虫退治せな」 |
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こんな時、福島DASH村で作ったのは、臭いや刺激の強い自然の材料の無農薬農薬。
霧吹きで虫にかけて撃退したが、無人島で材料は揃わない。
そこで、砕いた渋柿を発酵させて搾った柿渋で代用する。
柿渋は柱や梁に塗ることで、天然の防虫・防腐剤としても利用される。 |
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城島「あとはシュパーっと噴射できれば…」
そこで、昭和に使われていた、噴霧器を。
筒状のポンプ部分から殺虫剤を噴射、薬剤が散布され害虫を一網打尽にする。
さっそく竹筒を切り、底に満遍なく穴を開ける。 |
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松岡「水で一回シミュレーションした方がいいね」
井戸水を使っての試射は、水が広く散り、飛距離も十分に思えたが、
松岡「足元がベシャベシャ」
押し出した量よりも多い量が逆流した。 |
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そこで布をもう一枚巻き、厚さを倍にすると、
松岡「おー!すげー出た!」
逆流は減り、押し出す水の勢いは増した。
手作りの噴霧器と柿渋で、椿の虫を追い払う。 |
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柿渋は渋柿を砕き、熟成・発酵させたもの。
強烈な発酵臭があり、水のように手で抑える事も出来ない。
その為、少し入れては椿に霧状に吹きかける作業を繰り返す。
至近距離から、虫に直接かければ、
城島「(毛虫)落ちた!」
木全体に万遍なく撒いたが、木の上までは届かない。 |
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そこで、
松岡「少し、燻しとく?」
福島DASH村で、茅葺き屋根を作る際、煙で燻すことで乾燥を促し、
防虫効果があることを学んでいた。
三十郎の根元で火を焚き、椿の木全体を燻す。
途中生木を入れることで、葉に含まれていた水分が煙を増やす。 |
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こうして30分、燻し続け、
松岡「これで実も守られると思うよ」
それから山が色付く秋を待ち、初夏にはまだ小さかった実は、
3か月程で、ピンポン球程の大きさまで成長していた。
城島「これもう爆ぜてる」
実は熟すと割れ、その中に3つか4つの種が。 |
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爆ぜて下に落ちた種は、地面と同化して見つけづらい。
松岡「下になんか敷くとかしないとね」
地面に落ちる前に種を受け止めるため、舟屋の1階で、
壁替わりに使用していたすだれを三十郎の下に敷く。
全ての実が開けば、種は200個になり、枝が広がる範囲をカバーした。 |
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そして1か月が経ち、
城島「割れて種が落ちてる」
すだれの上に落ちた種を日々拾い集め、全部で200個程。
集めた種から油を絞るには、まず乾燥させ、油分を凝縮させる。
雨を避けて、10日乾燥させると油が搾れる状態になる。 |
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十分水分が抜けた200粒には、皮と実に豊富な油が含まれている。
絞りやすくするため、臼で固い皮を砕き、石ですり潰す。
粒が細かい程、無駄なく油を搾り出せる。
砕いた種を10分ほど蒸すと、実は軟らかくなり、より搾りやすく。
松岡「熱いうちにやらないと」 |
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搾りに使うのは、昭和初期まで活躍したネジ締め式の搾油機。
袋に入れた種を重りの下に置いてハンドルで回せば、ネジが締まり、
ゆっくりと圧がかかる。
これで、搾った油が穴から滲み出す。
無人島では、トロッコのレールを曲げるのに使ったジンクロを
ネジ締め式の搾油機で代用する。 |
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掛かる力は1t以上。すると、圧力をかけ始めた途端に
城島「出てる!出てる!いっぱい出てるわ」
これまでは、種を一粒集めるのに、心身を酷使してきたが、
今年は三十郎のおかげで、一度で4倍の量が搾れた。 |
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雨戸代わりの戸板を閉めると、夕方でもかなりの暗さになる舟屋。
そこに、漂着物で作った手作りのランプを。
椿油を注ぎ入れ、芯替わりのロープに油を染み込ませれば準備万端。
マッチで点火すると、柔らかい光が舟屋を包む。
長瀬「何かいいなあ、炎の灯り」
油を注ぎ足せば、火が絶えることもない。 |
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2つ目、3つ目のランプに火を灯せば、さらに舟屋は明るく。
そして、最年長の男・城島は、鍋に残った椿油を
城島「もったいないから(髪に)つけとこ」
江戸時代には庶民の整髪料として使われていた椿油で、髪のケアも。
ともあれ、無人島に待望の灯り。これで益々開拓が進むか。 |
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