2017年1月8日 放送内容DASH島 無人島を開拓できるか!?

日々の開拓で傷んでいく、無人島には貴重な鉄の道具。
これらを作り直すには、鉄を溶かして型へ流し込む“鋳造"が必要。
そこで、DASH島に幕末からの製鉄技術“反射炉"を作る計画が動き出した。
その技術を学ぶべく訪れた世界遺産の韮山反射炉には、
大量のレンガが使われていた。
さっそく、島に残る古いレンガを集めたが、
少し熱を加えただけで、簡単に亀裂が。
これでは、鉄を溶かす高温には耐えられない。
もっと熱に強いレンガを求め、城島が訪れたのは岡山県備前市。
鎌倉時代からの焼き物の町。
地元で採れる良質な粘土で焼き上げる備前焼は、硬く割れにくいのが特徴。
明治に入り、粘土と焼き物の技術を生かし、レンガ作りも盛んに。
そんな備前の中でも、最も古い工場が『三石耐火煉瓦株式会社』。
創業126年、日本有数の歴史を持つこの工場では、
100種類以上のレンガが、1日におよそ40t作られている。
創業当時は手作業で四角くレンガを成型していたが、
今では油圧式のプレス機で。
1度のプレスで、6個のレンガができる。
職人「400tの圧力でプレスしている」
それらを十分に乾燥させたら、全長およそ80m、
トンネル状の窯・トンネルキルンで、
職人「2日かけて1300℃までジワジワ(温度を上げて)焼く」
台車に載せられたレンガは、自動で運ばれ、段々と温度が上がるトンネルの奥へ。
1時間に1.5mずつ進み、2日半かけて焼き上げられる。
複数のバーナーで火力を上げていき、80mの灼熱のトンネルを
くぐり抜けると、出てきたのは
職人「1300℃の高温にも耐え得る“耐火レンガ"」
その材料が、蝋(ろう)のような肌触りがある“ろう石"。
城島「子供の頃、チョーク代わりに地面に絵を描いてたあれか」
ろう石は細かい粘土が押し固まって出来た岩。
軟らかく、擦り付ければ跡が残るため、明治には石筆として鉛筆代わりに。
城島世代には、駄菓子屋などでも売られていた遊び道具。
職人「(ろう石)は火にも強いし、溶けた鉄にも強い」
鉄を溶かす溶鉱炉の内部には、今もろう石レンガが使われる。
DASH島の反射炉にはうってつけの素材だが、
城島「島でろう石は見たことないな…」
備前は、明治から純度の高いろう石が採れる産地だが、
全国でも、長崎の五島列島や広島県庄原市など、採れる地域は限られる。
しかし、出来るだけ自分たちの手で何とかしたい!
すると、レンガのプロが、
職人「欠けたり亀裂の入ったレンガを壊して作り直せば…」
つまり、1度焼いたレンガを崩し、再び押し固めれば焼却炉やピザ窯など、
様々な用途に使われている熱に強い耐火レンガへと再生できる。
福島DASH村でも、同じ方法で耐火レンガを作った経験が。
しかし、反射炉を作るには、どれだけの材料が必要なのか?
こんな時のため、韮山反射炉を研究する菅野さんから、
実物を元に書き起した、反射炉の図面を頂いていた。
すると、この図面を見た職人たちがざわめきだし、
職人「(この反射炉を作るには)30tのレンガが必要」
城島「ということは…約1万個のレンガがいるってこと!?」
途方も無い数だが、まずは、その材料を確保せねば。
そこで、城島は工場の隣町、備前焼発祥の地、伊部(いんべ)へ。
ここは、鎌倉時代から焼き物を作る窯元がいくつも残る。
城島の心当たりは、窯の横に置かれたレンガ。
城島「これ、全部耐火レンガですよね?」
それは福島DASH村の経験から知っていた。
登り窯に火を入れるには、まずレンガで入り口を塞ぐ。
密閉することで、熱を逃がさず高温を保てるのだが、
入り口を塞いだ扉代わりのレンガは使い捨て。
どうしてもいくつかは割れてしまう。
そんなレンガが、登り窯の横に。
窯元の方「窯を焚く度に出る(不要な)耐火レンガが溜まる」
そこで、割れて不要となった耐火レンガを有難く頂くことに。
しかし、必要な30tにはまだまだ。
さらに、他の窯元さんにもお願いし、集めて回るが、
このペースではらちが明かない。
すると、願ったり叶ったりの場所が。
訪ねたのは、鉱石や粘土など、レンガの材料を取り扱う会社。
従業員「使い終わって解体した炉のレンガを回収してる」
古いレンガも回収し、再び材料に。
全国に様々ある、炉の数々。
その内側には、今でも耐火レンガが使われている。
貼り替えや補修の度に、ここには多くのレンガが集まってくる。
集まる材料は1日最大300t。
従業員「反射炉を造るって、噂では聞いてます」
世界遺産を作ると聞いて、一部を分けてくれるという。
中には、形の変わったものも。
鉄を溶かす炉で使われるチェッカーレンガは、
レンコンのように空いた穴から、炉の中に空気を送るのに使われる。
では、運搬トラックへレンガの積み込み開始。
使う重機は、最大3.5tを持ち上げるホイールローダ。
土砂や石を巨大なバケットですくい上げる!
操作は城島の役目だが、重機歴15年のベテランも、これは初めて。
巨大なバケットが、運転席からの視界を遮り、
すくえたのは、わずか200kg程…。
プロのアドバイスを元に、今度は勢いよくエンジンをふかし、1t程をひとすくい!
要領を掴んだら、一気に、およそ2t!
ベテランオペレーター、ハンドルに慣れさえすれば、ここからは早かった。
およそ30分で、ひとまずトラック1杯分、およそ10t。
そして、これを粉の状態まで砕く。
福島DASH村では、ハンマーで1つずつ砕いていたが、
従業員「レンガを砕くクラッシャーという設備がある」
クラッシャーの設備は、高さ15m。
最上部にある投入口からレンガを入れると、
その下にあるクラッシャーへと流れ、動く波形の歯で粉々に。
従業員「この原料をさらに細かく砕く」
回転する巨大な臼状の粉砕機で、さらに粉々に。
従業員「レンガの原料は、粉と粒、両方ないとだめ」
ベストは、大きい粒と小さい粒が混ざった状態。
これでプレスすれば隙間なく噛み合う。
この作業を繰り返し、再びレンガ工場へ。
職人「さっそく原料を混練しちゃいましょうか」
福島DASH村でも行った、材料の練り直し作業。
砕いたレンガの粉に粘土と水を混ぜこめば、
適度な粘りが生まれ、四角く成型しやすくなる。
レンガの粉に粘土を混ぜ、さらに水を加え、
一度に500kgを混ぜられる機械で、10分程こねる。
すると、その変化は明らか。
サラサラだった原料は、湿り気を帯び、軽く握ると固まりに。
こうなれば、四角く成型できる状態。
これをプレス機で、レンガの形にしていくのだが、
工場はフル稼働、生産ラインには割り込めない。
そこで、この日はたまたま空いていた、発注が少ない物に使用する、
昭和45年製の単動プレス機をお借りする。
材料の入れ込みからプレスまで、全てが自動のものと違い、
こちらは機械と人の共同作業。
大きさを一定にするため、規定の量を量ったら材料を金型の中へ。
プレスの強さはレバーの操作で変化する。
プレスの圧力が強いと、レンガは潰れて小さく、逆に弱いと、
固まらず脆くなってしまう。
最初は小刻みに、徐々に力をかけながら。
だが、扱うのは46年物の機械。
上げ下げの動作で、わずかな揺れが生じる。
揺れが収まらないうちに下げると、型枠の縁に当たってしまう。
そこでプロは、プレスを金型に入れっぱなしで、小刻みに押し込む。
そして、城島のプレス、最初の1個目は、
城島「(厚さ)6cm」
しかし、規定の厚さは6.5cm。
一気に圧力をかけすぎて、潰れてしまった。
1万個以上積むレンガ、わずかな誤差が積み重なれば、大きなズレになる。
今度は、1回1回のレバー操作を慎重に。
小刻みにテンポよく。そして、
城島「厚さ…6.5cm!」
これを、あと残り9999個。
城島もプレス機も、共に昭和45年生まれ。
いつしか気持ちが通じ合い、作業は黙々と進められた。
作る程に、作業のスピードは上がり、プレスを初めてから5時間程。
ここで城島、翌日のスケジュールの関係で、開拓の仲間、
AD足立とAD佐藤に作業を託す。
野生派と肉体派の二人が加わり、残り9680個。
DASH島の反射炉計画は、まだ始まったばかり。
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