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2017年3月26日 放送内容DASH島 無人島を開拓できるか!?
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春の兆しが見え始めた頃、レンガの移動作業が、大詰めを迎えていた。
DASH島に運びこんだ、約1万個の耐火レンガ。
1日かけて浜には下ろしたが、そこは波内際。
潮が上がれば海水に浸かってしまう。 |
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そこで、満潮でも海に浸からない浜の上へ、レンガを引揚げていた。
そして、5人が揃った絶好のタイミングで一気に。
松岡「やっぱり、人が多いと早いね」
達也「やっと全部、上がったね」 |
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そして、その数日後、待望の助っ人が上陸。
築炉マイスター本勝照雄さん
松岡「築炉士さんを教える側の人だからね」
全国にある、溶鉱炉、焼却炉、ガラス炉などの施行・メンテナンスを
手がける職人・築炉士は、いわばレンガ積みのプロ。 |
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毎年行われる国家試験に合格した1級築炉士は、全国に約2500人だけ。
その中でも、特に優れた技術と経験を兼ね備えた職人に贈られるのが、
全国に3人しかいないマイスターの称号。
本勝さんも5年前、築炉マイスターに認定され、全国を飛び回り、
若い職人たちにその技術を伝えている。 |
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すると、マイスターがさっそく、島の耐火レンガに刻まれた“SK"の文字を見るや、
本勝さん「十分、性能いいです」
松岡「“SK"って何?」
それは、ドイツのゼーゲルが発明した耐火度を測る道具、
「SegerKegel(ゼーゲルコーン)」の略。 |
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レンガの正確な耐火度を測定するには、
焼いた温度や時間などから複雑な計算が必要。
そこで、600℃~2000℃まで、溶ける温度が違う
ゼーゲルコーンを50種類以上作り、これを並べて実際にレンガと焼く。
溶けて倒れたコーンを見る事で、耐火度を測ることができる。
SK32はおよそ1710℃まで耐えられることを表している。 |
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反射炉に使うレンガはお墨付きを頂いた。
だが肝心の建設予定地は?
島の南側、反射炉の建設予定地へ案内。
そこは石の浜が広がり、平らな土地を確保できる数少ない場所。 |
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韮山反射炉と同じ規模で作るには、幅4m、奥行7mの敷地が必要。しかし、
達也「火を焚くからそばの(斜面の)木が怖いね」
反射炉から出る火が燃え移れば、山火事の恐れも。
達也「潮が上がってくる位置はここ」
潮で濡れた反射炉に火を入れれば、爆発の可能性も。
そのため、島の中で考えられる建設場所はここ以外にない。 |
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これで敷地は決まったが、引っ掛かっていたことが。
松岡「下が砂利なんですけど大丈夫ですか?」
本勝さん「ダメ。砂利の上に建てるとレンガの荷重で沈下する」
建設予定地は、大小の石が重なり合う浜。
石と石の間には、隙間があり、そこに30t以上もある
反射炉の重みがかかれば石が動き、沈下の恐れも。 |
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硬い地盤の上なら、直接建物を建てられるが、軟らかい地盤は、
硬い層まで杭を打ち込み、重みに耐えられる支えを作らなければならない。
杭が届いていないと、建物が沈み傾いてしまう。 |
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本勝さん「土が出てくるところまで掘らないといけない」
石に比べ、砂の地面は隙間がなく、硬く強固な地盤になる。
つまり、下に砂の層がないと反射炉は建てられない。
そこで、まずは砂利をかき出して地盤調査。
すると、石の下30cmから砂の層が出現。
幅4m奥行き7m分の砂利をすべて取り除く。 |
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松岡「周りの石が落ちてくるんだよね」
というのも、浜の石は崩れやすく、掘れば掘る程、
せっかくの穴を塞いでしまう。そこで、
本勝さん「崩れてこないように足場板で閉鎖する」
松岡「土留め板ですね」
それは、線路の補修でも使った技術。 |
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地面に鉄筋を打ちこみ、板を固定すれば石が留まり、崩れない。
敷地の両端に土留板を入れてから、中の砂利を取り除けば、効率よく穴が掘れる。
まずは、幅4m分から掘り進め、30分かけ、ようやく4m分の石をかき出したが、
本勝さん「(深さ)1mくらいは掘ってほしい」 |
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というのも、世界遺産・韮山反射炉も、建物を安定させるため、
1m程は地中に埋めている状態。
この日は重機も城島もいない。
しかし、韮山反射炉が作られた江戸時代も、土木作業は人力だった。
この作業に半日を費やし、陽が傾くころにようやく、溝の深さは、目標の1mに。 |
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これで、土留め板を入れられる。
線路の補修にも使った鉄筋の残りを打ちこみ、
崩れる石を受け止める足場板を番線で固定。
この深さなら、盤石な基礎を作ることができる。
そして、別の日にはスタッフが掘り進め、数日かけ、
3か所目の板と中の石をかき出し、残るは最後の1面。 |
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松岡「(番線)ダブル厳しい。シングルですかね?」
というのも、番線は通常2つ折り。
折り目が輪になった状態で使用する。
前回は、板の幅が狭かったため、そのままの状態で輪にシノを通し締め上げた。
業界では、この締め方が通称・ダブル。 |
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しかし、板の幅が広く、2つ折りのダブルでは届かない時は、
番線を開いて、1本に伸ばした状態にし、両端を絡ませたら、
そこに輪を作り、そのまま締め上げる。
これが通称・シングル。
マイスターの見本で、棟梁達也はすぐに飲み込むが、
長瀬「やり方が全然わからない…」 |
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これまでも、番線の作業は達也が中心。
他のメンバーは、黙って見守ることが多かった。
仕方なく、達也以外の番線はマイスターが引き受け、
不安定だった石の浜に、反射炉の敷地を確保。
達也「次は基礎の杭打ちだね」
杭基礎は、住宅などの基礎工事にも使われる工法。 |
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深くなるほど硬く締まる砂の層に、杭を打ち込めば、それが支えに。
30tの重みにも耐えられる、より強い基礎となる。
今では、専用のアタッチメントを付けた重機での作業が主流。
しかし、ここは無人島、足場丸太で組み立てた脚立で。
達也「これに滑車を吊るして、引いて、ドン」 |
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つまり、昭和初期まで行われていた人力の方法にならって、
櫓を利用した杭打ち機“櫓式もんけん"で。
滑車とロープで重りを持ち上げ、一気に落とす力で杭を打ち込む。
その重りに使うのは、石橋のアーチ部分に使っていた輪石の余り。
これを竹と角材で固定して、脚立の下へ。
達也「竹と角材はガイドね、(打つとき)石が暴れないように」 |
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石を吊り上げるロープをくくり付ければ完成。
およそ60kgの石を滑車で吊り上げ、
ロープを離せば垂直落下、杭の頭に叩きつける。
そして、恒例の命名は、
太一「石が上からヒューッと落ちてくるから“ヒューストン"」 |
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では、さっそくヒューストンで杭打ちを。
重りの下に杭をセッティングし、全員でロープを引いて、
一気に離せば、石の重みで杭が打てる。しかし、
本勝さん「ちょっと下(地面)硬いな」
何度か打ってみても、杭はほとんど入らない。そこで、
太一「もっと上から(石)落としてみる?」 |
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今度はもっと高さを出して、勢いをつけて。すると、
城島「全然(杭)入ってるわ」
それでも、一度に入るのは数cm程度。
杭が硬い層に届くまで、繰り返す。
しかし、石の重さはおよそ60kg。
4人がかりでも、打つ度に握力は奪われていく。 |
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そして、20回目の打ち込みで、
長瀬「(杭)止まったっぽくない?」
が、大事な基礎、念には念を、で最後の一打。
結局、杭打ち21回で、およそ60cm。
この下にあるさらに硬い層で、杭が止まったと思われる。
だが、この面積に必要な杭の数は、まだ残り100本以上。 |
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朝から舟を出し、旬の獲物を狙っていた。
城島「事前に仕掛けといたから」
松岡「何を狙ってるの?」
城島が仕掛けていたのは“アナゴ筒"。
それは、東京湾で学んだ伝統漁。
エサを入れ、海底に一晩も沈めれば、活きのいいアナゴが掛かる。
DASH島では、これまで様々なものを獲ってきたが、
それらを獲るには、まだ水温が低すぎた。 |
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アナゴ筒の仕掛けを引き揚げてみると、
松岡「アナゴ(掛かってる)じゃん!」
と、丸々したアナゴを城島が手に取るも
城島「でも今日はこれじゃない。」
せっかくの獲物をリリース。
松岡・長瀬「あ!なんで捨てるの!?」
城島「今日は別のモノを狙ってんのよ」 |
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2本目の筒に。
城島「ヌタウナギ!これが美味しいのよ!」 |
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なぜかDASH島の周りに多い深海魚。
それを、秋田では保存食に。
城島は、その加工を本場で学んでいた。
素手で内臓を取り出し、乾燥させた“棒アナゴ"。
城島「うまい!シシャモみたいな味」
達也「うん…まあ、美味いかな…」
ヌタウナギに対する微妙な反応が城島には腑に落ちなかった。 |
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なので
城島「今回は燻製にしようと思って」
福島DASH村でも経験した、煙で食材に風味をつける加工法。
煙を嫌い、菌や害虫が寄り付かないだけでなく、
防腐効果も期待できる。その始まりは石器時代。
人口の増加で、食材の長期保存が必要となり考え出された。
城島「(ヌタウナギで)上質な味わいを試したいねん」 |
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まずは、本場・秋田で受け継いだ、技術で下ごしらえ。
松岡「内臓をビューっと出すやつね」
内臓は残れば腐りやすく、臭みの元に。
メンバー5人分下ごしらえしたら。天日干し。
その間に
城島「燻製するのにスモークチップが必要」
それは、食材を燻す煙の源。3人は森の中で別々にチップ集めへ |
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松岡「つぼみも出来てきてるね」
松岡は倉庫跡前に生える桜の木を選択。
桜は代表的なチップの材料。 |
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その頃、長瀬も見つけていた。
長瀬「ビワの実が生り始めてるときに折れたんだね」
ビワは、DASH島の毎年初夏の風物詩。
その群生するうちの1本が倒れている。
香り高い実をつける木、チップにできるかもしれないと持ち帰る。 |
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それぞれ集めた木を持ち寄って、チップに加工。
松岡「昔やった鉛筆削りと一緒の要領で」
ナイフで1cm未満に削ってチップ状にすれば、
枝のままより短時間で多くの煙が出る。
そして、城島が調達したのが、井戸の脇で見つけた木の枝。
長瀬「(匂いを嗅いで)パクチーじゃん」 |
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調べてみると、それはトベラの木。
枝葉は、独特な匂いが。
その匂いで、節分にイワシの頭などと、魔除けに飾られたのが名前の由来。
邪気も逃げる程の匂い、燻製に出来るのか。 |
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松岡「よし、干そうか」
一般的に、燻製チップに使われる桜の木。
硬いビワと独特の匂いのトベラは、使う事はない。
水分が残ると、食材に香りが移りにくい。
削っては、天日で干すを繰り返し、ヌタウナギの燻製作りは、最後の行程に。 |
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古材を切りそろえ、流木と合わせて枠を組み、
そこに、集落跡で見つけたトタン板で囲う。
長瀬「この中に煙が溜まればいいんでしょ?」
下から容器に入れたチップを加熱、上がった煙を閉じ込めて、
吊るした食材に風味をつける。 |
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松岡「乾燥させたチップでね」
水分が残っていれば、酸っぱい仕上がりになることも。
鍋で炭火にかければ、チップは燃えることなく煙が上がる。
松岡「煙出てきた。いい香りだ」
城島「あとは(内部の)温度やね」
60℃を保てれば、香りが定着し、煙の効果で保存が利く。 |
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こんな時は、普段から鍛え上げられてきた城島の肌感覚で。
事ある毎に入っていた、ドラム缶の熱湯風呂はおよそ52℃。
城島「(煙に手を当て)熱っ、熱いなあ」
それを基準に、ちょっと熱めの加減で。
準備が整ったら、天日干していたヌタウナギを吊るし、
桜、ビワ、トベラ、それぞれのチップで燻す。 |
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松岡「(桜チップ)燻製を作るお店でする匂い」
城島「(ビワチップ)香りに甘みがある」
長瀬「(トベラチップ)これは臭せえ」
そして4時間後、ヌタウナギは更に水分が抜け、アメ色に。
そこに山で作業をしていた達也、太一も合流。
松岡「それぞれの匂いが全然違う!」 |
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では、これを食べ比べる。
既に火は通ってはいるが、念のため炙って。
まずは、ハズレの可能性が低い桜から。
長瀬「めちゃ美味い!食感がイカっぽい」
背骨代わりの脊索が、独特の歯触りを生み、
松岡「弁当に入ってるサバに近い」 |
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初夏に甘酸っぱい実をつける、ビワの煙の香りはどうか。
達也「香りはみりん干しみたい」
甘い香りはついたが、味に大差は見られないが
松岡「(味は)桜よりこっちの方が好き」 |
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そして、節分に邪気を払う、特有の強烈な香りのトベラ。
恐らく、燻製に使うのは初めての試みだが、
太一「あっさりしてて食べやすい」
松岡「美味い!1番好きだ」
長瀬「匂いのキツい木の方が燻製にするにはいいかもしれない」
城島「もっと島のくんせえ(臭せえ)木を探して燻製作ろうね!」 |
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