2017年7月16日 放送内容DASH海岸 ~多摩川~

5月上旬の横浜DASH海岸が、青白く光り輝いていた。
その原因は、蛍と同じルシフェリンという発光体をもち、刺激を受けると光る、
植物プランクトンの一種の夜光虫。
達也「今年は夜光虫の出現が早いな」
木村さん「夏の風物詩だけど、まだ5月ですからね」
その美しさから“海のオーロラ"と呼ばれ、京都府伊根湾や静岡県駿河湾など、
自然豊かな景勝地では、人気のツアーが組まれるほどだが、
そのシーズンは7月の中旬頃。なぜ、梅雨入り前の5月に出現したのか?
木村さん「今年は日照時間が長いので、プランクトンが増えたんですよね」
5月は晴れの日が続き、この20年で一番の日照時間を記録した。
そのため、植物プランクトンの光合成が進み、大増殖。
そんな植物プランクトンを求め、海岸にやって来たのは、ボラ。
城島「数が増えたね」
しかも、増えたプランクトンをたくさん食べ、
昨年の同じ時期に比べ、サイズは1.5倍ほどの5㎝までに成長していた。
城島「という事は、あいつも大きくなってるかな?」
あいつとは、TOKIOが毎年その成長を楽しみにしているアユ。
川魚として知られるアユだが、秋に卵からかえると海へ下り
冬の間、たくさんのプランクトンを食べて育つ。
春になると、大好物のコケを求めて川を上り、上流を目指す。
DASH海岸のプランクトンをたくさん食べたアユたちは、
多摩川を元気に上っているか?
5月中旬、TOKIOが向かったのは、河口から10㎞の田園調布あたり。
4年前から毎年お世話になっている、東京都の職員の安斎さんと共に
仕掛けていた定置網を上げてみると…
達也「すげえいっぱいいるよ!」
網の中には、およそ2000匹のアユが!
豊富なプランクトンのおかげで、昨年より一回り以上大きくなっていた。
達也「上流で堰を越えているサイズですね」
城島「ちゃんと上ってほしいな」
これから先の上流へは、まさに苦難の連続。
大雨になれば激しい濁流となり、さらには、天敵たちと遭遇する可能性も。
しかし、体が大きいほど力強く川を上り、危険を回避することができる。
アユたちの成長ぶりを確認でき、全てのアユを再び川へと戻す。
達也「さあ、がんばって上流を目指してください」
しかし、そんなアユたちに待ちかまえていたのは、予想を超える困難だった。
2週間後、多摩川中流の日野市にある日野用水堰へ向かうと…
城島「あー…、あかんわ」
いつもなら豊富な水が絶え間なく流れている堰に、水が全くなく、
アユの姿も見られない。
安斎さん「こんな水が少ないのは初めて見ました」
水不足となり、アユの行く手がふさがれてしまった。
5月の時点では関東は水不足。
雨が降ったのはたった3日だけ。これは、50年ぶりの危機的状況。
川を上る事のできないアユたちはどこにいるのか?
入り組んだ岩陰などを探してみると、イシガメを発見!
安斎さん「日本古来のカメ」
昔から日本の川のカメと言えば、イシガメの事。
甲羅の模様が、江戸時代のお金の銭(ぜに)に似ていることから、
“ゼニガメ"とも呼ばれ、ご利益祈願で人気のペットに。
しかし、昭和30年代以降の川の汚染や、厄介な外来種の繁殖により、
今では絶滅危惧種に。
続けて見つけたのは、新宿の池でも発見したスッポン。
スッポンも、イシガメと同じく絶滅危惧種。
さらに、多摩川最大の魚、マゴイも!
エビ、カニ、水草となんでも食べちゃう食いしん坊。
安斎さん「もしかしたら、アユがこいつらに襲われてどこかに追い出されたか」
そこで、流れの速いエリアを探すことに。
アユと思われる魚が跳ねた辺りで投網調査を行うと、
網にかかったのは、綺麗な水質を好むコイの仲間、オイカワ。
産卵期を迎え、オスはアピールために婚姻色になっていた。
さらに、網の中に、探していたアユを発見!
達也「あー、よかった!」
2週間前は体長8㎝だったのが、10㎝程に成長していた。
水中カメラで川の中を見てみると、雨を待つアユたちが。
その1週間後、関東の梅雨入りが発表され、多摩川にもようやく恵みの雨が。
雨が降った事で水量が増した堰にやって来ると、
アユが、勢いをつけて次々と堰を超えていった。
達也「感動だね。これで一安心だね」
それから1週間後、さらに上流の八王子市へ。
川漁師の安永さんと小峰さんと共にアユを探していると、
アユがコケを食べた食み跡を発見。
達也「ここは良さそうだね」
水中カメラでアユが上っているか確認すると
「アユだ」
立派に成長したアユが次々と上っていたが、それを追う天敵が
「ヒバカリだ」
ヘビでは珍しく潜水能力が高く、川に潜っては小魚を狙い、
陸地では小動物を狙う水陸両用のハンター。
しかし、小型のため、大量にアユを襲うことはないという。
さらに川沿いを歩いていると
達也「足跡。なに、この5本の爪?」
城島「クマとか?」
昨年、東京都でもクマの目撃例は6件。
発見された青梅市は、調査しているこの場所からわずか10㎞。
川の魚も大好物だが、指の形がクマとは異なる。
そこで、熱感知センサーが内蔵され、暗闇でも生き物の動きに反応する
自動撮影カメラを、いろいろな向きで3台仕掛け、その正体を探ることに。
後日、撮影された映像をチェック。まず1台目は…
城島「タヌキか」
タヌキの足跡は太くて短いため、謎の足跡とは一致しない。
また、昆虫や木の実を主食としており、泳ぐこともないため、
アユを襲う事もない。
さらに映像を見てみると、またしてもタヌキが。
川にいたアオサギを追い払っていた。
実はこの行動、縄張り意識の強いタヌキのパトロールで、
テリトリーに入ったヤツを威嚇する。
達也「アユの天敵の鳥をどかしてくれればちょうどいい」
木村さん「で、足跡の正体はなんなんだろう?」
そこで2台目のカメラをチェック。
そこには、長細い生き物の姿が!
城島「昔、DASH村で見なかったっけ?」
達也「あ!テン!?」
それは福島DASH村でフクロウの棲みかとして設置した巣箱にやって来た、
イタチの仲間、テン。
日本の在来種で、里山の木の上や洞穴を棲みかにし、魚や木の実を食べる。
その足跡は、多摩川で見つけた足跡とピッタリ一致する。
木村さん「私は初めて見ました。準絶滅危惧種なので」
テンの毛は柔らかい肌触りが特徴で、毛皮の中で最上級。
毛皮ほしさに昭和40年代に乱獲され、絶滅の危機に。
奥多摩の源流部では目撃例があるが、ここは八王子。
成長したアユを追ってやって来たのか?
そして、3台目のカメラの映像をチェックしてみると…
達也「なんか泳いでる!顔出した!」
そのシルエットに、海の専門家の木村さんがピンと来た。
木村さん「“キツネ"かなあ?」
そいつは大きなアユも食べちゃう大食漢であり、
捕まえて食べる人や天敵もいないため、多摩川で増殖中だという。
後日、それを捕らえるため、助っ人としてお呼びしたのが、
多摩川でネイチャーガイドとして15年以上活躍する土屋さん。
以前、ナマズ釣りでもお世話になったが、今回は
土屋さん「キツネ狩りですか。今回は流し針をやりましょう」
それは、太い針を付けて水中に垂らす大物狙いの伝統漁法。
アユを狙うキツネは、キラキラと光るものを狙う習性があるため
鳥の毛や、キラキラ素材のモールなどを針に取り付け、毛ばりを作る。
これが、キツネには、尾びれがヒラヒラとしたアユに見えるらしい。
こうして、完成した毛ばりを、流し針に結び、川に沈めて仕掛ける。
土屋さん「流れによって動きが変わるので、泳いでいるように見える」
仕掛けてしばらくすると、毛ばりに何かかかっていた!
木村さん「キツネだ!」
その正体は、ニゴイ。
木村さん「顔が長くてキツネに似ているので、通称キツネです」
マゴイと比べると顔が長く、体長は1m以上にもなり、寿命は10年以上。
最大の特徴は、大きな口。
コイよりも大食いでなんでも食べ、もちろんアユも食べられてしまう。
近年、各地で生態系を乱しているため、在来種にもかかわらず駆除対象に。
多摩川でも、近年増えているらしく、本来の数に戻すには、
木村さん「食べちゃいましょうよ」
関東では、骨が多く、泥臭いイメージがあるのであまり食べられないが、
滋賀県の琵琶湖周辺の一部の漁師さんの間では、
煮付けや塩焼きなどにされ、よく食べられている食材。
そんなニゴイを、まず5時間しっかり泥抜きし、さばく。
まず一品目は、塩に包んで蒸し上げた、塩釜焼き。
結婚式をはじめ、様々な祝いの席に欠かせない料理で、
鯛やスズキなど、白身魚の旨みを引き出す調理法。
達也「旨い!フワフワ!」
木村さん「川魚の臭みがないですね」
続けて二品目は、かば焼きのタレをたっぷりとつけて炭火で焼いたニゴイと、
タレを混ぜたご飯、錦糸卵、紅ショウガを加えて作った、ちらし寿司。
達也「こっちの方が、身がしっかりしてる。美味しい!」
美味しく頂いたアユの天敵・ニゴイが生息できるのは、八王子が最上流。
ここさえ上っていければ、冷たい水温を嫌うニゴイが上ってくることはない。
アユたちは、この天敵を逃れ、さらに上流部へとたどり着いたのか?
そして、1週間後、さらに上流のあきる野市へ向かうと…
達也「デカイ!」
大きく成長し、美味しいコケを食べると出るという「追い星」もクッキリと。
さらに、匂いを嗅いでみると、
達也「すごくいい匂いがする」
きれいな川に棲むアユは香魚と言われ、スイカなどのウリ科のような、
清々しい匂いがする。
間もなく、今年も梅雨明け。
猛暑や台風を乗り越え、さらに大きく立派に成長してくれるのを願うばかり。
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