2017年11月19日 放送内容DASH村 ~ふくおとこ~

17度目を迎えたTOKIOの米づくり。
品種改良によって生まれた、新品種『ふくおとこ』。
しかし、その道のりは困難の連続だった。
異常気象、日照不足によるイモチ病の発生、
さらに大型台風が直撃…。
TOKIOオリジナルの新品種『ふくおとこ』その540日の全記録。
田植えから2か月経った7月下旬。
『ふくおとこ』は約70cm程までに背丈を伸ばしていた。一見、順調そうだが、
達也「一応、分けつはしてるけども…」
植えた時、1本だった苗が枝分かれして茎が増える「分けつ」。
去年の新男米は58本だったが、新品種『ふくおとこ』は、22本。
城島「3分の1か」
分けつが少ないということは、やがて米となる穂の数も減ってしまう。
そこで、達也が、明雄さんに教えてもらった事を思い出す。
達也「すごい冷夏の時にやったじゃない。田車って言ったけ」
14年前の福島DASH村で、日照不足のせいで分けつが進まず、生育に遅れが。
その事態に、明雄さんが提案したのが、
明雄さん「田車で根を切っちまうか」
120年程前から伝わる田んぼ専用の道具・田車。
先端に付いたギザギザの車輪で、田んぼの稲の根を切る。
根を切られた稲は、養分が吸えなくなるため、身の危険を感じ、
生き残ろうとして、新たな強い根を生やす。
すると、より多くの養分を吸えるため、生育が活発になり、分けつも進む。
いわば、生命力を目覚めさせる、荒療治。
それを、新品種『ふくおとこ』に。
田車を進ませ、田んぼの中の根をブチブチと切っていく。
達也「これでガーッと急に分けつしたらいいね」
城島「元気出してくれやー」
達也「俺たちができることはここまでだ。
どうなるか、心配だけど見守りますか」
その変化が現れたのは、2週間後の8月上旬。
城島「あ、確実に分けつ進んでいるなぁ」
2週間前は22本だったが、31本に増えていた!
城島「根を切ってよかった」
根も葉っぱも、隙間だらけだった『ふくおとこ』が、
福島DASH村で学んだ知恵で回復!
そして、待望の…
達也「あ、もう出穂もしてんだね」
出穂とは、茎と葉の境目から穂が出てくること。
城島「いいじゃないですか」
しかし、57株中、穂が出ているのは半分以下の22株。
城島「生育不良?」
TOKIOを支える、農家の難波さんでさえ経験したことのない品種改良。
そこで尋ねに行ったのが、米の研究歴15年の佐藤誠さん。
佐藤さんが研究員を務める福島県農業総合センターは、
東京ドーム約12個分の敷地で300種類もの稲を育てながら
品種改良を行う県の施設。
品種改良のスペシャリストの佐藤さんによると、
佐藤さん「交配が失敗かな、と思いますね」
しかし、佐藤さんによると、失敗したのは、穂が出ていない35株ではなく、
すでに穂が出ている方の22株。
達也「今、穂が出てる苗は新男米ということですか?」
2つの品種をかけあわせる品種改良は、新男米のおしべを全て抜き取り、
そこへチヨニシキの花粉をふりかけることで、全く新しい米を生み出す事。
しかし、おしべを一本でも取り損ねると、残ったおしべの花粉が交配して
しまい、チヨニシキの花粉は交配できず、できた種は新男米のままに。
失敗した原因には、心当たりが…
達也「細かい作業だからね」
交配は、1粒1粒手で行う、まさにミリ単位の作業。
最年少が、当時44歳で、平均年齢は、66.75歳。
城島「細か~い!」
おしべを取り損ねるのも無理はなかった。
佐藤さんによると、穂が出ていない35株はまだ生長中。
つまり、『ふくおとこ』として、これから穂を出す可能性はあるという。
城島「新男米は取り除いて、別で育てたほうがいいね」
そこで、別の田んぼへお引越し。
城島「これはこれで順調に行くんじゃないですか」
達也「新男米としてね」
小さい田んぼに残った新品種は…
達也「種107粒から、苗57本からの35本。改めて見ると少なくなったなぁ」
しかも、出たばかりの穂を狙っているのが、米が大好物のスズメ。
城島「(穂が出る前に)対策やっておこう」
穂が出たばかりの実は、粒の中に液状のデンプンを溜め込み、
固い米状になる前の状態。スズメはそれをクチバシで潰し、吸ってしまう。
そこで、スズメが通れない程の網目の防鳥ネットを設置。
35株の新品種ふくおとこをすっぽりと覆い、
城島「これでまぁ、鳥はOKだとして」
達也「あと無事に出穂するか、不安だけどね」
早くに穂を出す新男米と、遅れて穂を出すチヨニシキを掛け合わせた
『ふくおとこ』の穂を出す予定日は、8月11日頃。
そして、ほとんど晴れ間の出ないまま、その予定日を迎えた。
記録的な長雨に見舞われた8月の日本列島。日照時間が足りない中、
『ふくおとこ』は…
達也「穂が出ましたね!すごいねー!」
35株全ての稲から穂が出揃った。でも、
達也「心配だな、まだ」
その達也の不安が的中したのは、8月下旬のこと。
城島が愛読する『日本農業新聞』に「いもち警戒」の文字が躍った!
イモチ病は、米農家最大の敵。
日照不足などが原因で発生し、葉や穂についたイモチ菌が、湿気により繁殖。
稲を枯らしてしまう。そして、『ふくおとこ』にも、その兆候が…!
城島「この模様はまずい…まずい!まずいぞ!」
14年前、福島DASH村で経験していたその脅威。
伝染のスピードがとても速いため、300株を、実がなる前に刈り取った。
『ふくおとこ』の状態を改めて確かめると、
35株中、イモチ菌が見つかったのは16枚の葉。
この段階なら、刈り取る以外にも対処法が。
城島「あの技を使うしかない!!」
あの技とは、16年前に明雄さんに教わった特効薬。
赤唐辛子、にんにく、酢、木酢液など、すべて自然の中で取れたもので作った、
城島「明雄さん直伝の無農薬農薬イモチバージョン!」
稲にまんべんなく散布することで、イモチ菌を退治することができる。
城島「頼むぞ!代わりはないんやからね、この35株」
その効果、発揮してくれなければ、あっという間に稲全体に感染してしまう。
ようやく晴れ間が覗いた2週間後の9月初旬。
茶色かった葉は枯れてなくなり、周りの葉は青々としたまま。
さらに米となる穂も、イモチ病には感染していない。
城島「あーよかった、効いたんやな、無農薬農薬が」
あと2週間ほどで刈り入れの時を迎えられる。
そして、9月半ば、収穫まであと1週間と迫った頃。また危機が!
それは、大型の台風18号の接近!
風に倒され、溜まった雨水に稲穂が浸るとカビが発生し、穂が腐ってしまう。
急いで駆けつけると、
達也「いやーギリギリ大丈夫だ。よく持ちこたえた」
『ふくおとこ』は、暴風にさらされ、倒れそうになっても、耐えていた。
台風に耐えられる程、強く太い茎になったのは、田車で根を切ったおかげ。
再び力強い根を張った稲が、強い風の中を耐え抜いた。
達也「あんなに頼りなかったのが、これだけの茎になったから、大したもんだ」
念の為、これ以上倒れぬ様に、棒で支える。
出穂から38日、実のなり具合からして…
達也「収穫まであと一週間。どうなるか」
そして、9月下旬。たわわに実がなった『ふくおとこ』が!
城島「おー!たわわだね」
達也「綺麗だね、先まで実が入ってる」
城島「新男米より丸々してぷっくりして」
新男米よりも丸く、横幅がある。
城島「『ふくおとこ』だけど“プクおとこ"。今までの僕らの積み重ねと、
明雄さんの想いが重なった米やからねコレは」
残る最後の不安は、その味。それを、確かめるためにも!
達也「稲刈りです」
今年で17度目だが、新品種『ふくおとこ』は初の稲刈り!
刈ってみて、改めてわかったのことは、去年の新男米と比べると、
『ふくおとこ』は数こそ少ないが、太い茎ばかりが揃っているということ。
城島「少数精鋭と言いますか、1本1本しっかりしてて、実が結構入ってる」
4000粒から始まり、107粒から35株となった『ふくおとこ』。
いつもならおよそテニスコート2面分をDASH村の仲間たちと総手で、
3時間ほどかかっていた喜びの刈り入れが、10分と経たずに…
達也「収穫が終わっちまうぜ…一年の一番大きな行事が」
そして、17度目の稲刈りが終了!改めて思うのは、
城島「ものすごく少ないやん…」
4株ずつ、9束にまとめたところで、かつてのDASH村の仲間たちが!
城島「おー金光さん!専次郎さん、孝子さんも!皆さん勢ぞろいで!」
達也「あれ、束の数より人数の方が多いな…9束なんだけどな」
と、いうことは、
城島「米の量は足りるかなぁ」
達也「ちょっとずつでもいんだけどね、味見したいよね」
刈ったばかりの状態では水分が多く、旨い米にならないばかりか
カビも発生しやすい。
そこでしっかりと組んだ木に、横棒を渡して、
稲をかけて乾燥させる“はせがけ"を、手伝いに来た皆さんと一緒に。
何回見ても、やっぱり…
達也「少ない。精米して何粒取れるかわからないけど、楽しみにしましょ」
山も色づき始めた10月半ば。天日のもと、干すこと3週間。
乾燥が終わった『ふくおとこ』は、
達也「かなりずっしりした感じはあるよ。念願の1発目の『ふくおとこ』!」
TOKIOが使い慣れたハーベスターで、
城島「『ふくおとこ』初脱穀!」
ものの3分で、脱穀終了!
脱穀した『ふくおとこ』といよいよご対面!
城島「1年かけてあれだけ頑張って、収穫量がこれだけって考えたら」
達也「少なっ」
しかし、そのデキは…
城島「新男米よりふっくらぷっくりしてますね」
達也「しっかり入ってる」
去年の新男米は310キロだったが、『ふくおとこ』は1キロ!
しかし、全て食べられるわけではない。
この中から来年植える種をここからとらなくていけない。
種として必要な量は、今までの経験上、広い田んぼに植えるなら、
最低7000粒。さらにいい種を厳選する為には、倍の1万4000粒が必要。
それを重さにすると約500gなので、とれた分の半分。
城島「この分が、来年の種ですね」
その残り半分が、今年食べられる『ふくおとこ』。
城島「これ精米したらどれくらいの量になるのやろう?お茶碗一杯くらい?」
新米のカラを外して玄米に。すると、
城島「青いなぁ」
去年の新男米と比べると、明らかに青い粒が目立つ。
これは、熟しきれていない証。原因は夏の日照不足。
味が多少落ちると言われるが、
城島「今年はしょうがないなぁ」
この玄米を、精米して、ヌカを取れば、白米に。
城島「え、うそやろ!これだけ!?」
カラとヌカが取れると、粒の数は変わっていないのに、
城島「これが、最終的に残った『ふくおとこ』」
達也「おにぎりだと考えると、ごめん、俺の分しかない」
城島「いや、ほんまやで、ほんまやって」
色は白くきれいだが、旨味や食感が落ちやすいわずかな割れも。
その量、2合半。
達也「少ないね…」
とはいえ、誰もまだ口にしたことのない新品種。
達也「世界でこれしかないからね」
城島「ほんまやね」
たとえ少なくても、仲間たちと共に。
そして、『ふくおとこ』の到着を待つ、仲間たちのもとへ。
城島「持ってきましたよ、『ふくおとこ』です」
専次郎さん「あらーいい米だー」
金光さん「ほんとこれは大したもんだ」
新品種『ふくおとこ』、初の米研ぎを買って出たのは達也。
達也「マジ、これ一人分だよ絶対」
いつもなら、三升の羽釜で炊いていたが、今年は、
城島「これぐらいのサイズで。3合炊き」
量が少なくても羽釜にこだわるのには、ワケが。
鍋の場合は底にしか熱が伝わらず、ムラができるが、
羽釜の場合は、羽の下の部分がすっぽりと入るので、釜全体で熱を受け、
米ひと粒ひと粒に熱がムラなく伝わるため、ごはんが美味しく炊き上がる。
その間に、準備するのは懐かしいDASH村の味。
孝子さん「今年つけた梅干しと、新男米の味噌で作った味噌汁です!」
さらに、肉じゃが。美味しいおかずと一緒に、お腹いっぱいお米を食べたいが
今年は、わずか2合半。
その炊き上がりはどうか?
そして、『ふくおとこ』の味を確かめるために来ていただたいたのは、
お米鑑定のスペシャリスト・入口さん。
そもそも、この品種改良は、入口さんのこのひと言で始まった。
入口さん「旨味がスッと抜けてしまうっていうか、ちょっと物足りない」
TOKIOオリジナル・新男米の欠点。
米の旨味を長続きさせる隠し味・雑味が足りない。
540日かけた新品種はそれを克服できたのか?
そして、いよいよ!
城島「いきます、お披露目です!『ふくおとこ』!」
専次郎さん「光沢がいい」
孝子さん「きれい」
入口さん「粒も大きいですね」
城島「香りが違いますね!」
そして、2合半を16人で少しずつ分け、540日かけた貴重なひと口を皆で。
城島「じゃあ、いただきます」
全員「いただきまーす」
達也「うわ、まろやか!粒がわかるね!これ、うまいよ!」
城島「最初のインパクトというより途中から旨味くる感じですね。
これが雑味ってもんなのかな、なんかまた違う味すんねん」
果たして、プロの感想は…?
まず、匂いを確かめると、
入口さん「美味しい香りしてます。では、いただきます」
そして、口へと運び、
入口さん「いいと思います。のどごしも良いですし。美味しいと思います」
旨味があとに残る感じはありました。たった一年でこんな雑味が出てくる
なんて、よく頑張ってされたと思います」
その言葉に、村の仲間もホッと胸をなでおろすが…
入口さん「美味しいんですけれど、ふわっとしてますね。
もう少しインパクトが欲しいっていうか…」
おそらく原因は、異常気象による生育不良。青い米や割れた米が多かった
ことで、米の1粒1粒の旨味にばらつきが。だからこそ、
城島「旨くなる可能性出てきますね」
入口さん「可能性ありますよ、絶対に」
達也「これからだね」
そう、品種改良は長い道のり。
栽培しながらよりよい種だけを選抜して、
1つの品種ができあがるまで10年かかるとも。
入口さん「いい種子を選抜してもらって、頑張っていただきたいと」
達也「皆さんの力を借りて」
城島「頑張っていきましょう!」
弱々しい稲に、襲いかかった自然の猛威。
17年で身につけた知識と経験で立ち向かい手にしたわずか500g。
これを使って、来年は18度目の米づくりへ。きっとまだまだ美味しくなる。
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