2018年6月3日 放送内容グリル厄介 ~沖縄県 死のカタツムリ~

今回、城島と長瀬がやって来たのは、沖縄県。
長瀬「厄介と言ったら沖縄ですね」
沖縄には、日本に侵入した外来種のうち半分以上の種類が定着。
そのうちの5種類しか、TOKIOは美味しく頂いていない。
今回のターゲットは、人の足程の大きさにもなる、世界最大のカタツムリ。
早速、カタツムリが好む湿った場所を探してみると、
長瀬「これ、違うよね?」
加藤「これは、沖縄にいるウスカワマイマイ」
沖縄で一般的に見られる在来種で、その名の通り殻が薄く、厚さ0.3ミリ。
おとなでも体長2センチ程度。“死のカタツムリ"はこの50倍にもなる。
長瀬「大きいのなんて想像できないんだけど」
さらに…
加藤「絶対に触ってはいけません」
これまで、2mを超える大蛇・タイワンスジオを捕まえる時も、
「噛まれたらチャンス」と言っていたが、今回ばかりは…
加藤「触ったらアウトです。触ってしまうと死んでしまうかもしれない」
その理由が、
加藤「体に寄生虫が入ってしまう」
野生の魚や豚などに寄生して成長する寄生虫。
魚や豚への影響は少ないが、生で食べたり、触ったりして体内に寄生した場合、
内臓を侵食し、最悪の場合、死に至る可能性も。
そんな“死のカタツムリ"に寄生しているのは、
広東住血線虫(かんとんじゅうけつせんちゅう)と呼ばれる、
体長2センチほどの寄生虫。
人が触ると、傷口や粘膜から侵入して体内に寄生。
頭痛やめまいを引き起こすだけでなく、最悪の場合、死に至ることも。
73年前の1945年に国内で初めて、沖縄本島で定着が確認。
カタツムリが住みやすい、温暖で湿気の多い気候で、大繁殖。
その数は、今や数百万匹以上とも言われている。
城島「素手は絶対にアウトですよね」
そこで今回は、化学薬品を扱う工場でも使われる、
厚さ5ミリの耐酸・耐アルカリのゴム手袋で肘までしっかりと覆い、捜索開始。
長瀬「カタツムリの主食って何ですか?」
加藤「植物です。湿気のある森にいて、畑に出てきては農作物を食べる」
そもそもカタツムリは、掃除機のノズルのような口で
舐めて削り取るように葉を食べる。
紫芋の畑の葉を見ると、所々に穴が。
長瀬「葉っぱに空いてる穴が大きいんだよね」
葉の穴の大きさは約3センチほど。
“死のカタツムリ"は、一般的なカタツムリより、口も体もデカイため、
穴の大きさは30倍以上。
さらに、葉をよく見てみると、カタツムリが這った跡が。
この這った跡に残る粘液にも触ってはいけない。
カタツムリは乾燥を防ぐため、常に粘液を分泌。
人を死に陥れる寄生虫は、その粘液中に多いとも言われている。
さらに、コンクリートにもカタツムリの痕跡が。
加藤「コケを食べたり、コンクリートを舐めたりした跡」
城島「コンクリートを舐める?」
カタツムリの殻は石灰質で、成長とともにカルシウムを補給。
石だけでなく、コンクリートなども舐めて削り取るように食べる。
もちろん、この這った跡の粘膜にも触ってはいけない。
畑で作業中だった農家さんに話を伺うと、梅雨になると、近くの森から
“死のカタツムリ"がやって来て、街中に、寄生虫をばらまいてしまうという。
そうなる前に、捕獲して美味しく頂けるか確かめねば。
近くの木が生い茂り、日陰になって湿度が高い所を捜索。
長瀬「怖いよね、気付いたら真横にいるってこともあるから」
加藤「地面が湿っていると、カタツムリにとって棲みやすい環境です」
さらに、カタツムリが大好きな石灰岩も。その石灰岩に擬態するようにいたのが
加藤「シュリケマイマイ」
絶滅危惧種に指定されている、沖縄の固有種。
殻の周りは毛のようなトゲトゲになっており、これで、
鳥やヘビなどの外敵から身を守るだけでなく、
岩の隙間に身を隠せるよう、平べったい形に進化した。
さらに、木の上で生活し、葉に擬態することから、その名がついた、
アオミオカタニシを発見。よく見ると、蓋がついている。
そもそも、カタツムリやタニシの祖先は同じく、サザエなどの海の巻貝。
カタツムリは、乾燥を防ぐため、粘液をたっぷり出すように進化したが、
タニシは、海の巻貝のような蓋を残したまま陸へ。
蓋を閉めることで、湿度を保ち、外敵からも身を守る。
加藤「“死のカタツムリ"も好む場所だと思います」
石灰岩には、“死のカタツムリ"が這ったような新しい跡が。
近くを調べていると、“死のカタツムリ"の殻を発見!
天敵の鳥やヘビに食べられたか。
長瀬「空だ」
城島「こういう殻なんですか?ヤドカリみたい」
長瀬「デカイよ、これ」
沖縄で一般的なウスカワマイマイの長さ7倍、体積なら50倍ほど。しかし、
加藤「まだ小さい方です」
周辺には、同じように空になった殻がたくさん。
この辺りは、天敵・ハブの巣窟か?
さらに探していると、城島が、中身の入った殻を発見!その中にいたのは、
加藤「オカヤドカリが、殻の中に入っちゃってます」
長瀬「殻を借りてるってことですね」
国の天然記念物に指定されている、陸生のヤドカリ。
成長とともに、殻を様々なサイズのものと交換していくのだが、
大きいものは、"死のカタツムリ"の殻を利用することも。
城島「びっくりした。重かったから。ややこしいな」
が、そのそばで加藤さんが発見したのは、
加藤「これ、たぶん卵ですね。大きいので“死のカタツムリ"の可能性がある」
通常、カタツムリの卵は、直径2ミリほどだが、
“死のカタツムリ"の卵は、その3倍の6ミリ。
1度に100~1000個も産むことができ、爆発的に繁殖。
ここが繁殖地だとすれば、間違いなくこの周りにいるはず。
長瀬「トラップを作るとかはどうなんですか?」
加藤「カタツムリは、視覚が悪い分、嗅覚が優れている」
カタツムリにある4本の触角。
上の2本が目の役割を持つが、明るさを感じる程度。
一方、鼻の役割を持つ下の2本は感覚が鋭く、
1キロ先のエサの匂いを嗅ぎ分けるとも。
中でも、好物なのが、腐りかけた野菜や果物。つまり、必要なのは発酵臭。
そこで長瀬がやって来たのは、北谷長老酒造。
お目当ては、泡盛を作る際に生まれる酒粕。
原料となる米に黒麹を混ぜ、タンクの中で2週間発酵。
それを蒸留する際に酒粕がタンクに残る。
匂いだけでなく、アミノ酸やクエン酸など栄養も豊富。
普段は捨ててしまうらしいので、少し分けて頂く。
長瀬「この匂いは強烈だわ。これは来るね」
一方、城島は、ひろし屋食品へ。
お目当ては、沖縄伝統の発酵食品、豆腐よう。
硬めの島豆腐を泡盛と紅麹に漬けて半年間じっくり発酵させたもの。
匂いだけでなく、タンパク質やビタミンなど栄養も豊富。
地元のためになるならと、型崩れしてしまったものを分けて頂いた。
そして、加藤さんが用意したのは、カブトムシトラップの定番。
バナナを泡盛に浸し、よく揉んで、発酵させて樹液のような甘い香りに。
それぞれを器に移し、さらにこの3つをミックスしたものも。
長瀬「絶対これ来ると思う」
この4種類に加え、念には念をと、城島の秘密兵器も。
それは、ニシンを塩水につけて発酵させた、世界一臭いと言われる、
スウェーデン生まれの発酵食品・シュールストレミング。
長瀬「役者揃いましたね」
これを仕掛けるのは、先ほど、“死のカタツムリ"の殻を見つけた場所。
沖縄の農家さんの定番・クバ笠を利用して、トラップを作る。
長瀬「登って来て、中の内側に張り付いたりとか」
つまり、大好きな発酵臭で、岩陰などに隠れていたヤツらをおびき出し、
エサを食べ、お腹いっぱいになったとしても、笠の暗闇が隠れ場となり、
そのまま居着いてくれるはず。
卵と殻がいくつも見つかった木の周りに重点的に仕掛け、
加藤「あとは、ちょっと水を撒いておいた方がいいですね」
熱で蒸発すれば、よりムシムシした環境に。
カタツムリは夜行性。
長瀬「これで日没を待って、暗くなったらいきますか」
そして、日没後。
まずは、長瀬が選んだ、泡盛の酒粕。
酸味のある強烈な匂いはどうか?
いたのは、観賞用の植物に紛れて侵入したとされる、
東南アジア原産の外来種・アジアベッコウ。
しかし、“死のカタツムリ"の口に合わなかったか?その姿は見えず。
次は、城島が選んだ、沖縄の伝統食品・豆腐よう。すると、
城島「うわ!いたいた!」
加藤「これが“死のカタツムリ"です。アフリカマイマイ」
東アフリカ原産。世界最大のカタツムリ。
中には、触角から尻尾まで25センチ以上のヤツも。
食用として輸入されたが、普及せず、捨てられて野生化。
温暖な気候が適しているだけでなく、天敵のマイマイカブリが、
沖縄にはいないことで大繁殖した。
笠の裏側にも2匹。豆腐ようには、計4匹のアフリカマイマイが。
念には念を、火バサミで捕まえる。
加藤「まだまだ小さいですね」
続いて、世界一の臭さ・発酵したニシンの缶詰、シュールストレミング。
城島「うわ!カニ!」
塩分がアダとなったか、石灰岩エリアに生息するオオカクレイワガニ1匹のみ。
笠の裏側にも、カタツムリはゼロ。
バナナを発酵させた、甘いニオイはどうか?
長瀬「スゴイ!いっぱいいるよ!」
さらに、台湾原産のカブトムシ・サイカブトの姿も。
サイのような見た目から、その名がついた。
ツノで農作物に穴を開けて、枯らすことから害虫として嫌われている。
アフリカマイマイは、計10匹。
長瀬「そして、ミックスは」
城島「3匹」
バナナもミックスしたことで誘われたか?
計3匹のアフリカマイマイが。
結果としては、バナナがトラップには最適と判明した。
後で調べたところ、カタツムリは嗅覚だけでなく、甘さを感じる味覚も発達。
そのため、バナナを酒で発酵させたトラップには、カブトムシだけでなく、
そこから垂れた汁などに、カタツムリが集まることも。
つまり、フルーツの甘さと香りが、トラップとして有効だった。
しかし、
加藤「実は、生きたまま、この島から出してはいけない」
沖縄から、さらなる被害拡大を防ぐため、法律でも禁止されている。
そこで、沸騰したお湯の中で、最低5分茹でる。
加藤「これで安心して食べることができます」
こうして捕獲したアフリカマイマイを持ってやって来たのは、
東京都新宿区四谷の日本料理屋「懐石大原」。
こちらで腕を振るう大原誠さんは、ミシュラン二つ星の名店「和幸」で
腕を磨き、自分の店を開店したその年にミシュラン一つ星の評価を得る。
極限まで調味料を抑えるその技で、食材本来の味を引き出す・引き算の匠。
その伝統の和の味を求め、客足が絶えない名店。
大原さんもアフリカマイマイを見るのは初めて。
早速、殻から身を取り出す。
大原さん「触覚がなければ巻貝みたいですね」
触ってみると強い弾力、そして、独特のぬめり。
大原さん「酒で洗ったりすれば、ぬめりは取れると思います」
通常、魚などは、脱水作用のある塩を使ってぬめりを取る。
しかし、アフリカマイマイの場合、身が縮む恐れが。
そこで、サザエやアワビのぬめり取りにも使われる酒を利用する。
大原さん「見た感じは、トリガイっぽい」
試しに食べてみると
大原さん「硬いですね。食感はクラゲに近い。コリコリしてる。
味はほぼなくて、海と山の両方の香りがする。土とか木とかも混ざってるような」
大原さん「食感が良いので、食感を活かした料理を作ろうと思います」
こうして作り上げたのは、『アフリカマイマイの八寸』。
『八寸』とは、8寸(24センチ)の1つのお盆に、
味の違った複数の料理を盛り付けたもので、その生みの親は、茶人・千利休。
城島「和食だ」
長瀬「オシャレで美味しそう」
まず、一品目は、『アフリカマイマイの胡麻酢和え』。
胡麻と酢を混ぜたものにアフリカマイマイを和える。
ポイントは、油揚げの内側を入れることで、
ふわふわの食感をプラスしたことと、三つ葉を加えたこと。
酢と三つ葉で独特の香りを和らげ、コリコリした食感を楽しむ一品に仕上がった。
長瀬「食感が面白いですね。コリコリしてて。
あと、酢の尖った感じとマイマイの丸い感じがなんかマッチしてますね」
二品目は、『アフリカマイマイとフキの醤油炒め』
アフリカマイマイの食感を損なわぬように薄く小麦粉をまぶし、
フキと一緒に炒める。
アフリカマイマイの味を消してしまわぬよう、酒と醤油のみという、
調味料を極限まで抑えた一品。
長瀬「意外とお酒に合うのかな」
加藤「フキのシャキシャキとマイマイのコリコリが両方楽しめる」
三品目は『アフリカマイマイと銀杏の塩炒り』。
銀杏とアフリカマイマイを塩で炒ったもので、銀杏と合わせることで、
食感の違いを楽しむ一品に。
城島「マイマイのコリっとした食感と、銀杏の食感のコラボレーション」
長瀬「銀杏が口の中でグニャっと崩れていく中に、コリっとね」
加藤「うまい!アフリカマイマイ、うまいまい!」
続く一品は、『アフリカマイマイの茶碗蒸し』。
アフリカマイマイの出汁、卵、酒のみを使った、シンプルな一品。
長瀬「濃厚な香り!やっぱり味が優しい。磯の香りをクリーミーにした感じ」
城島「ほのかに森の香りもするね」
最後の一品は『アフリカマイマイの煮麺(にゅうめん)』。
揚げたアフリカマイマイと山菜の女王のコシアブラを素麺の上に乗せ、
昆布とカツオでとったシンプルな出汁をかけた一品。
長瀬「美味しい!麺の柔らかい食感の中に、マイマイの食感が良く合う」
城島「マイマイが入ったほうが、より美味しく感じる。
食材を立たせる、名バイプレイヤーって感じ」
長瀬「よくこんなに美味しく調理して頂いた」
城島「和食だから、“アフリカ"の食材で、“あ不利か"と思ったけどね」
今回も、人だけが持つ料理の力で、厄介者を美味しく頂くことができた。
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