2018年6月17日 放送内容グリル厄介 ~ウシガエル 世界最大級のカエル~

今回、長瀬と加藤さんがやって来たのは…
長瀬「来ましたね~高知県」
加藤「四万十川ですね。水が澄んでいていいですね」
長瀬「生き物がうじゃうじゃいるわけですね」
その透明度の高さから、別名「日本最後の清流」とも呼ばれる四万十川。
その川辺には、民家がほとんどなく、ダムや人口堰もない。
濾過された雨水だけが注ぎ込む川には、清流の象徴である鮎や、
赤い目を持つことからその名がついた体長1mを超える幻の巨大魚アカメが。
そして、タモで軽く掬うだけで、テナガエビやヌマチチブが簡単に捕れる。
どちらも四万十川の名産で、佃煮や唐揚げなど、地元の郷土料理に。
他にも、ヨシノボリやモクズガニなど、日本古来の生き物がおよそ200種も生息。
※生物の捕獲については、特別な許可を得て撮影しております。
しかし、この清流の生態系を破壊する厄介者が…。
そいつは、15㎝を超える魚やエビもぺろりと食べ、ネズミや雛鳥すらも平らげる、
加藤「世界最大級のカエル」
その大きさは、アマガエルのおよそ30倍!
清流に住む日本古来の生き物を食い荒らし、生態系を破壊し続けているという。
やって来たのは、およそ2億年前から姿を変えていないムカシトンボを始め、
74種類もの貴重なトンボを保護する湿地帯の「トンボ自然公園」。
世界最大級のカエルは、そのトンボを狙いに来ている可能性があるという。
その狙い通り、池を調べてみると、
長瀬「おたまじゃくしだ」
加藤「ここで繁殖している証拠ですね」
長瀬「でっか!」
大きさはアマガエルの50倍。大人になれば30cm以上の世界最大級のカエルに。
何でも食べ、時には仲間のカエルすら餌食にする大食漢で、最大800gにもなる。
長瀬「800gかあ…」
加藤「でも、美味そうじゃないですか?」
実際、食用として日本の食糧難を救う救世主として輸入され、養殖もされいた。
しかし、敗戦後、食が豊かになり、捨てられ大繁殖。
すると、水辺の方から聞きなじみのある鳴き声が。
加藤「まだ本気で鳴いてない。本気で鳴くとかなり音が大きくて、
地域の住民に迷惑をかけたりする」
現在、日本にいるカエルは、45種類。
鳴くのはオスのみで、鳴く理由は、求愛のため。
また、音色も異なり、ニホンアマガエルなら、鳴のうを使い、
吸い込んだ息を少しずつ吐きながら鳴き、絶滅危惧種のカジカガエルは、
体全体を小刻みに震わせ、小鳥のような美しい鳴き声。
その美声は、かつて江戸時代には専用の籠で飼育され夏の風物詩の1つで、
体が小さいため100mも離れれば聞こえないほど。
一方、ターゲットの世界最大のカエルは、体が大きい分、低い鳴き声が特徴で、
その重低音は1キロ先まで届くとも。
もし、住宅街で大繁殖すれば、生態系だけでなく静かな生活環境さえ破壊する。
そんな鳴き声を辿って、水辺を探索。すると、外来種のアメリカザリガニを発見。
加藤「ザリガニがいるってことは、この辺に潜んでいるはず」
アメリカザリガニは、元々、カエル養殖の餌として輸入されたのが始まり。
ターゲットは、硬い体やハサミをもろともせず一飲みにし、二日で消化する。
長瀬「姿は見せないけど、確実にいますね」
すると、水辺の藻に乗ったターゲットを発見!
おそらく、おたまじゃくしからカエルになったばかりで、体は小さめ。しかし、
加藤「小さいのが捕れなければ、大きいのは捕れない」
そこで、腕試しも兼ねて、捕獲を試みる。
しかし、その距離およそ2m、たった3歩近付いただけで、逃げてしまった。
長瀬「耳が良いんだ」
カエルの耳は、目のうしろにあり、人間とは違い鼓膜がむき出しで、
わずかな振動にも反応。
中でも、ターゲットの鼓膜はとにかくデカく、500円玉サイズ。
5m以内なら、人の呼吸する音まで感知する。
聴覚だけでなく、視力もカエルの中でもトップクラスで、20m先まで見通せる。
長瀬「大きければ大きいほど、警戒心が高いんですね」
つまり、捕獲の難易度はMAX。
長瀬「カエルってすぐ捕まえられるイメージだけど…」
加藤「意外と難しいもんですよ」
すると、水の中に何かが潜った気配を感じた、長瀬と加藤さん。
天敵である蛇や鳥を察知すると、水の中に入り、物陰でじっとして
潜ってこれない天敵をやり過ごす。
20分近く潜水したまま動かないので、この瞬間こそが人間が捕まえるチャンス。
加藤「潜ったらチャンス」
気配のしたあたりを挟み撃ちにすると、何か生き物を捕らえた!
その正体は、北米原産のミシシッピアカミミガメ。
縁日の景品などでも使われミドリガメの愛称でも親しまれ広がったが、
あっという間に大きくなってしまい、飼いきれず捨てられ、結果、大繁殖。
が、こいつもターゲットは10㎝程のカメなら、ひと口で丸呑みにする。
さらにポイントを変えると、ターゲットが倒したと思われる草が。
そして、そのターゲットと思われる影が、加藤さんの目の前を通過!
あっという間に水中へ消えていった。
その逃げた痕跡をハンターの加藤さんの目は見逃さず…
加藤「捕まえました!」
長瀬「マジっすか!でっか!ウシガエルだ!こんな顔してるんだ」
大きな口で、あらゆるものを食い尽くす厄介なヤツ。
捕まえたのは、推定400g。
長瀬「これ、中堅くらいですか」
最大800gにもなるウシガエル。つまり、この2倍サイズがいるはず。
引き続き、ウシガエルを探していると、明らかに先ほどよりも低い鳴き声が。
つまり、先ほどよりデカいウシガエルがいるということ。
双眼鏡で探してみると、およそ50m先にデカいウシガエルを発見!
しかし、デカイやつほど逃げ足が早い。
長瀬「デカイな…。先生、どうします?」
加藤「近づけば、絶対に逃げられちゃう」
そこで、長瀬からの提案が。
長瀬「釣りじゃないですか?」
加藤「目の前に落ちたものとかに、すぐ食いつきますから」
釣り歴20年以上のキャリアだけではなく、日本中の海の漁師から
その技を学んできた長瀬。釣りには絶対の自信があった。
急きょ、近くの釣具屋で竿と、ブラックバス用のザリガニ型の疑似餌を手配。
長瀬が狙う、疑似餌を着水させるポイントは、ウシガエルのすぐ脇。
目の前を横切らせ、逃げる餌と勘違いさせ食いついたところを釣り上げる。
だが距離50m。ピンポイントを狙って落とすのは、プロでも至難の技。果たして?
長瀬「行きます!」
長瀬が投げた疑似餌が着水したのはターゲットの右1m。つまり1m50cmずれた。
すると、その水中の揺れを餌と勘違いしたか、ターゲットが近づいてきた。
加藤「チャンス!」
2度目、3度目と狙い、見事食いつかせることに成功したが、
かかりが浅かったか、ターゲットが口を開けた拍子に外れ、
針は、そのまま草に引っかかってしまった。
ウシガエルは、なんでも食う貪欲さ。うまく誘えばまた姿を現すはず。
そこで、ウシガエルが消えた茂みに、集中的に何度も疑似餌を投げ、
餌だと勘違いしたウシガエルが再び顔を出すのをひたすら待つ。
この方法で捕獲ができれば、ウシガエル駆除の新たな一歩になる。
しかし、日没間近。疑似餌を目で確認できるのはあと30分程。
すると、ウシガエルがようやく姿を現した。
日が暮れてきたため、黒い疑似餌では見えにくいので、疑似餌を目立つ赤に変え、
距離20mのそのウシガエルの目の前を狙いを定めて、疑似餌を投げる!
すると、疑似餌が木に引っかかってしまった。しかし、コレも長瀬の狙い。
上からあえて水面に落とすことで、木の上からポトリと落ちてきた生き物だと
見せかける。そして、狙い通り、赤い疑似餌がウシガエルの目の前に着水!
ウシガエルが、ゆっくりと疑似餌に近づき、一気に食いついてきた!
しかし、合わせを入れるのが半秒早かったせいで、針にかからず。
が、ウシガエルは隠れる気配を見せない。
これは、完全に獲物を探している証拠。
今度は、しっかりと食いつくのを見届けてから、合わせを入れて…
長瀬「釣った!やった!」
ようやく一匹捕まえることができた。加藤さんの捕獲分と合わせて計2匹。
長瀬「本当に警戒心がハンパじゃないですね。思ったよりも小さかったですけど」
長瀬が釣ったのはおよそ300gの小ぶり。
それでも、美味しく頂けるかを確かめることはできる。
そして、やって来たのは、東京都港区西麻布のスペイン料理『フェルミンチョ』。
こちらで腕を振るうのが、作元慎哉シェフ。
21歳の時に、ミシュラン星付きレストランが20軒集まる、
世界一の美食の地、スペイン・バスク地方に修行へ。
その中の名店『アラメダ』で腕を磨き、その経験と技術を日本に持ち帰り、
日本人好みの味付けにアレンジ。
その味を求め、美食家たちが足を運ぶ名店。
早速、作元さんに、捕獲したウシガエルを捌いていただくと、
その身は、捌く前の1/4の100gに。
作元さん「鶏より身が柔らかい。スペインでよく食べるウサギに似てるかも」
スペインでは、ウサギは一般的な食材で、肉質は柔らかく、淡白な味わいで、
スペインの代表料理・パエリアは、ウサギを使ったものが始まりとも。
作元さん「魚の白身とウサギの間みたい」
まずは、焼いてみて、その味と食感を確かめる。
長瀬「身がキレイだな」
作元さん「ホルモンに近いかもしれない」
分かったのは、焼くと身が硬くなるということ。
味はクセがないが、逆に言えば、味がない。
そんなウシガエルを使った一品目は、
作元さん「スペインの代表的なオリーブオイルを使った料理」
上半身とふくらはぎ肉をたっぷりのオリーブオイルとニンニクで炒め、
そこにドライトマトと、旨みを足すための最高級の
生ハム・イベリコベジョータを加えた『ウシガエルのアヒージョ』。
長瀬「美味い!食感が良い!鶏肉とミノの中間ぐらい。クセがないから、
細かい味まで繊細にわかる」
加藤「油が少なくて健康食に良さそうですね。あ、若“がえる"」
原料が白ブドウのシェリー酒との相性もバツグン。
長瀬「合います、シェリー酒。口の中に入った油をサラッと流してくれる」
続けて、二品目。
ふくらはぎより柔らかいもも肉をオリーブオイルで焼き、
彩り鮮やかな野菜、イベリコベジョータの生ハムを加え、
トマトソースで煮込んだ、『ウシガエルのチリンドロン』。
長瀬「クセがないから、トマトとかの繊細な味も身に染みつくんですね」
加藤「美味しい!全然さっきと違う。歯応えよりも柔らかさ。
あのカエルが見違えった(みち“がえった")」
そして、メインディッシュ。
ヤリイカにミンチにしたウシガエルの身を詰め、魚介とトマトの旨みが凝縮した
スープでじっくりと煮込んだ『ウシガエルのカタルーニャ風』。
長瀬「美味しい!イカの食感とのギャップが面白い。タレが染み込んで美味しい」
作元さん「ウシガエルはクセがないので、意外といろんな食材に合うのかも」
加藤「美味しくて、ひっくり“かえる"!」
元々は100年前、日本の食糧危機を救うために持ち込まれた、罪のない命。
そして今回、人間だけが持つ、料理の力で美味しく頂くことができた。
長瀬・加藤「そろそろ、“かえり"ますか」
↑ページTOPへ