2018年7月15日 放送内容DASH海岸 ~江戸川~

2ヶ月前の5月。この日、TOKIOは横浜DASH海岸を離れ、
向かったのは、海から17㎞離れた、多摩川・田園調布付近。
横浜育ちの木村さんによれば、
木村さん「子どもの頃父親にボートに乗っけてもらってウロウロしてた」
しかし、木村さんが中学生になる頃には、水が汚れ、
生き物が棲むことができない死の川と呼ばれたという。
木村さん「その当時から考えると、本当にきれいになった」
城島「今年はいるんかなぁ?」
2人が探しているのは、半年前にDASH海岸で発見したアユの赤ちゃん。
城島「無事、川上ってくれたらいいなぁ」
多摩川でいつもお世話になっている、川漁師歴30年の安住さんと一緒に、
箱めがねを使って、多摩川の中を覗いてみると…
城島「アユ以外の魚もけっこういる!」
マハゼの赤ちゃん、ウグイなどの川魚に混じって、
城島「いたいた!アユ!」
素早く泳ぐその姿を、多摩川に通って5年の城島は、アユだと断言。
しかし、上から覗くと、その陰に反応して、アユがすぐに逃げてしまう。
安住さん「逃げるアユを見るのにコツがある」
その方法は…
安住さん「アユと同じ気持ちになるとアユも油断する。泳いでアユを観察する」
裸になって川に入り魚と同じ目線で泳げば、魚が恐れる上からの影が映らず、
近づいても逃げない。
ウエットスーツを着て泳いでみると、準絶滅危惧種のスミウキゴリの群れが。
木村さん「一時は減ったけど、戻ってきましたね」
春に生まれた赤ちゃんは、大人になると15cmに成長。
本当に昭和の観察方法だと、魚は逃げなかった。
すると…
城島「目の前にアユがブヮーと!どんだけ来てるの!」
数えきれないほどのアユの群れが!
4か月前、透明だった赤ちゃんが、もうすっかりアユの形になっていた。
城島「ここまでアユが多いのは初めてですね!」
木村さん「清掃作業や産卵場作りなど、地元の人々が努力した結果ですね」
しかも、今年のアユの大きさは10㎝ほど。
城島「例年に比べるとしっかりしてますね」
今年は数が多いだけでなく、例年が5㎝ほどと考えると大きい。
多摩川だけでなく、お隣相模川や高知県でも、
大きなアユが大量に川を上っているという。
その理由、諸説あるが、城島にも心当たりが。
城島「冬の水温が低かった。アユにとっては成長しやすい」
今年の冬は、最強寒波の影響で日本中が冷えていた。
アユの赤ちゃんは、この冷えた海が大好き!
モリモリとエサを食べ、数を減らす事なく、いつもより大きく成長できたと
考えられる。
安住さん「強い元気なアユは、この流れも渡れる」
田園調布の真横にある調布取水堰は、川を上るアユにとっての難所。
堰の高低差で激しい水流が。
通常、アユは川の水が増水し、流れが緩やかになったところを見計らって、
堰を越えていくのだが、今年の大きなアユは激流でも上る。
城島「この勢いでも上っちゃう。すごいっすね」
そして、大きく力強く成長したアユには、ある習性が…
木村さん「多摩川だけじゃなくて、東京の他の川にも行く可能性がある」
鮭の場合は、自分の生まれた川にしか戻らないのだが、
アユは、体が大きく育った年はその本能で、新しい勢力を拡大しようと
知らない川を上る。
ただし、その条件はその川が綺麗なこと。
そんな川が、東京湾のどん詰まりに!
安住さん「江戸川」
城島「江戸川?工場のイメージ」
東京湾のもっとも奥に位置し、入り口には夢の国東京ディズニーリゾート、
その先には、都心のベッドタウンの市川、さらに下町の柴又、ラーメンの町の
松戸、そして埼玉の新興住宅街の三郷の横を通り、茨城県まで続く全長60kmの
一級河川。
実は江戸川は、今から約400年前、その姿はまだなかった。
徳川家康の命により約100年の歳月をかけ、当時あった川の流れも
生かしながら、流れがない場所は人の力でつなぎ合わせた人工の川。
城下街に物資を運ぶ大動脈として栄え、江戸の生活に大きな変化をもたらした。
また、その水は特別うまいと言われ将軍たちは江戸川の水でお茶を楽しんだが、
高度経済成長期、汚染が進み、生き物も棲めなくなってしまった。
それからおよそ30年、今の江戸川はどうなっているのか?
江戸川調査でお世話になるのは、川漁師の小島一幸さん。
12年前に生物調査でお世話になった小島一則さんの息子さん。
小島さん「浦安と葛西に挟まれたこの辺りが、もともとは漁師町として栄えた」
ここは、海水と真水が混ざる汽水と呼ばれる場所で、
良質な海苔やハマグリが獲れていた。
江戸川を上っていくと、見えてきたのは、妙見島。
東京23区内に唯一存在する自然の島で、
江戸の頃から豊かな漁場として知られるだけでなく、
川を上るアユにとっては大事な役割が。
というのも、この島がある事で、上流からの強い流れは、
広い方にいってしまい細い方は流れが弱くなる。
城島「流れが緩やかな方は、アユのいい休憩スポットになってそう」
アユは川の流れに逆らって上るため、疲れがたまる。
そんな時は、流れの緩やかな木の影や岩場で休む。
現在の江戸川は、コンクリートの護岸で、身を隠せる場所も少ないので
流れの緩やかな休める場所は、欠かせない。
そこで、小島さんの秘密兵器が、
小島さん「塩ビパイプの中に鏡をつけて水中を覗ける」
城島「潜望鏡みたい。小島レンズですね」
早速、覗いてみると、ボラに混じってアユの姿が。
城島「あれ?アユの下に何かいた」
その魚影の正体を確かめる方法は、江戸川伝統漁法の細川流投網。
その発祥は江戸から遠く離れた熊本の細川藩。
江戸時代、参勤交代で浦安にあった屋敷に滞在中、同行したお抱えの漁師が
伝えたとされる。
目合いが大きく、体の小さなアユは入らないが、大きな魚ならかかる。
投網でかかったのは、キチヌ(キビレ)。
もともとは関西に生息する黒鯛の仲間で近年の温暖化によって関東にも進出。
認知度が低く、値段が安いが、味はクロダイにも勝るとも。
さらに、スズキもかかった。いずれの魚も肉食魚で、
小島さん「アユを追って川を上ってきている」
今年は大きいアユが多いので、海からのハンターも増えているという。
小島さん「この先に行けば、海の生き物追ってこれなくなるんだよ」
その場所とは、千葉市川と江戸川区の間にあり、75年前におよそ230億円
かけて国が作った施設「篠崎水門」。
上流の水は東京・千葉・埼玉の人たちの水道水に使われているため、
門を一つずつ開けることで海水が淡水に入り込まないようにしている。
だが、生き物たちにとってはもう一つの役割が。
小島さん「アユを狙う海の肉食魚を上らせないようにしている」
つまり、門の中は海水と淡水が混ざった汽水に。
海の肉食魚は汽水までしか進めず、淡水もいけるアユだけがその先に上れる。
門が開くと、川を上っていくアユの姿が。
このアユは、淡水に入ると一気に大きくなる。
そんなアユを追って2週間後、さらに上流へ。
やって来たのは、帝釈天と寅さんで有名な下町・柴又。
古くは参拝客に江戸川で獲れた魚を振る舞う事で発展した門前町。
ここでお世話になるのが、漁師の平岡四十八(しとはち)さん。
寅さんの生まれ故郷で、江戸川アユの復活のために、
日々アユの状態を確認しているという。
その調査の方法は、伝統漁法の大型定置網。
その中には、アユがたくさん!しかも、
城島「大きい!サイズが全然違う!」
平岡さん「今の時期これだけのアユ珍しい」
通常ならば大きくても12cmほどなのに、捕まえたアユは16cmほど。
サイズだけでなく、顔つきもたくましい。
城島「もう追い星が出てる」
良質なアユには、追い星という模様が浮かび上がる。
追い星アユは川魚の中でも最高級の扱い。
さらに、良いアユは別名「香魚」とも呼ばれ、スイカの様な爽やかな香りが。
そんな美味しい匂いを追って網の中には、多摩川でも毎度おなじみ、
城島とは、過去三回遭遇している川の主のナマズが。
その付き合いの長さから付けた愛称が「ずーなま先生」。
木村さん「川がキレイだから、魚体もキレイ」
棲む環境によって色が変わり、汚れた場所ではまっ黒になる。
将軍家のお茶にも使われた江戸川の水で育ったナマズはふっくらフワフワ。
その美味さ、幕末の著名人たちも虜に。今でも1kg5000円で売られる高級魚。
さらに、アユを追いかけてきた奴が…
城島「江戸川の天然と言えば、ウナギですよね」
木村さん「脂ののった緑色。いいうなぎですよ」
60cmの天然もの。築地で買えば一匹1万円。
しかも、今年は歴史的な大不漁。しかし、江戸川では、
平岡さん「最近、ウナギは多くなりました。アユとかのエサが増えたので」
さらに、お腹が黄色いのは、良質な脂をたくわえ、美味しい証拠。
平岡さん「柴又は200年以上の歴史があります」
帝釈天の参拝客に愛される柴又うなぎは他とは一味違う。
柴又の緩やかな流れで育った身は柔らかく、
「焼いても身が縮まない」と言われる名産品。
城島「生態系がどんどん復活している。すごい」
一度は汚染で生き物がいなくなってしまった江戸川に、
アユも上る在来種の生態系が再び戻ってきた。だが…
平岡さん「外来魚が多くて困ってまいす」
綺麗になったとはいえ、ここは大都会すぐそばを流れる川。
人の手によって川に放たれた、厄介ものがアユを狙っているという。
そこで、梅雨前の6月。桝太一アナウンサーも合流して、
厄介ものが集まるという、埼玉三郷と千葉松戸の間。
城島「アユがどうなのか」
桝「影響が心配ですよね」
田中さん「外来種にやられちゃてるんだよね」
そう言うのは、今回の調査に同行して頂く、江戸川の専門家の田中さん。
元々は江戸川の漁師で、引退後もアユの為に川作りを進めている。
田中さんと共にやって来たのは、江戸川本流の脇にある人工の池・ワンド池。
雨が続くと、江戸川の最上流部利根川から冷たい水が大量に流れてくる。
体が冷えると動きがにぶるので、魚は流れのないところへ。
冷たい水が入ってこないので魚にとっては温泉のような場所。
本来、魚の休めるワンド池は自然に出来るのだが、人工の川である江戸川には
存在しないため、田中さんや、漁協、国の協力により
2年がかりで掘って作った、いわばアユのサービスエリア。
早速、調査開始。すると…
城島「うわっ!シジミのヌシ!?」
その正体は、江戸川では数が減少しつつあるドブガイ。
名にドブと付いているが、一匹いるだけで汚れた水が一気にキレイになるため、
水槽のフィルター代わりとしても大人気。
泥臭さをしっかりと抜けば、プリプリの美味しい身だという。
さらに、辺りを追い込んでみると、アメリカザリガニが。
木村さん「物心ついた時から、外来種といえばこれでしたね」
90年前、食用で輸入したウシガエルの餌として輸入されたのが繁殖のきっかけ。
江戸川でも大繁殖し、大好物は小魚で、アユも食べてしまう。しかし、
田中さん「増えているウナギやナマズが食べてくれる」
一方で、このアメリカザリガニよりも影響が大きい外来種がいるという。
田中さん「別名は“暴れん坊将軍"って言われている」
そいつは1日でアユを100匹以上食べてしまうらしい。
細い小路などに潜み、休みに来るアユを狙っているという。
タモ網で探ってみると、テナガエビを発見。
さらに、水路の奥へ進み、“暴れん坊将軍"探しを続行。捕まえたのは、
田中さん「コンキンナヌマガメ」
元々は外来種のアカミミガメと一緒におよそ60年前に“ミドリガメ"の名前で
輸入されたのがきっかけ。
“暴れん坊将軍"ではないが、こいつもアユを食べる厄介な奴。
ワンド池に戻すわけにはいかないので、漁協で引き取ってもらう事に。
桝「外来種が増えると、アユにとってはビハインド(厳しい)な環境ですよね」
さら進むと、城島が何かを発見。スタッフも総出でどん詰まりに追い込み
捕まえてみると、
城島「でかっ!」
田中さん「これが“暴れん坊将軍"。アメリカナマズ」
元々は、北アメリカに生息し、食用として持ち込まれた大型ナマズ。
赤ちゃんの時からヒレに鋭いトゲを持っているため、捕食されにくく、
数が減らない。
アメリカナマズの尾びれは、日本のナマズよりも大きく、巨体に見合わず俊敏
な動きで、泳ぐスピードが速い。
田中さん「こいつが、アユの天敵の中で最悪・最強」
一匹のお腹から152匹ものアユが出てきたこともあるという。
一方で、本場アメリカでは、白身魚として普通のスーパーにも売っており、
ふわふわの白身は、様々な調理に合って美味しいという。
そこで、3時間泥を吐かせたら、4年前に捌いたニホンナマズの経験をもとに、
城島がさばく。その時は、頭を落とし、3枚にしたが…
城島「骨が硬い」
骨が硬すぎて、出刃包丁でも背骨が切れず。それもそのはず、
アメリカナマズの背骨の硬さは、ナマズの中でもトップクラス!
そのため、半身だけおろすことに。
桝「身はキレイ。美味しそう」
さらに臭みの元、皮を剥ぐ
ナマズの皮はヌルヌルで、捌くのには技術が必要だが、城島の手にかかれば…
桝「皮を剥ぐの上手い!」
皮を剥ぐとキレイな弾力の白身で、脂がたっぷり。
桝「鮎をたっぷり食べた脂ですよね」
そんな、脂たっぷりの暴れん坊将軍と相性抜群なのが、
城島「蒲焼やりましょうか」
厚さ3cmの肉厚な身は、このまま焼いても火が通り辛いので、
皮目の方から隠し包丁を入れ、臭み取りの日本酒をかけて20分蒸す。
そうすることで水分を逃さず、中までしっかり熱が通る。
串に刺し、炭火でこんがり焼いて、タレを
こんがり焼き目がついたら、タレを塗って、さらに炙り焼いて、
『アメリカナマズの蒲焼き』の完成。
そして、もう一品は、本場アメリカでは定番中の定番の『フィッシュバーガー』。
塩コショウをたっぷりと振り、ピリッとした辛味で、淡白な白身の味を
引き立てたら、コクを出すため卵の黄身と小麦粉にくぐらせ、
ふわっと生のパン粉をつけて油で揚げる。
桝「魚のフライの匂いがしてきた!」
城島「うわ~いい香り!」
その見た目は、魚のフライと言うよりは、フライドチキン。
これを、粒マスタードとたっぷり千切りキャベツの上に乗せ、その上に、
6種類の具材を混ぜた城島特製のタルタルソースを!
城島「これぞ!アメリカナマズバーガー!」
まずは『アメリカナマズの蒲焼き』を頂く。
久しぶりのナマズ。その味はどう違うのか。
城島「美味しい!歯ごたえがあるけど、淡白じゃなくて旨味がある」
桝「美味いなあ!知らずに食べたら、四万十川の清流の魚かと思うくらいの
清涼感」
続いて、高さ20cmの『アメリカナマズバーガー』をワイルドに!
城島「英語が出てこんけど美味しい。身崩れしない。パンに合う」
桝「うまい!ぎゅぎゅって旨味がある。噛むと旨味が溢れる」
田中さん「こういう美味しい食べ方ができるなら、アメリカナマズを食べて
駆除したほうがいいですね」
そして6月6日。関東が梅雨入りし、江戸川も増水。
アユは休めているのか。
スタッフがワンド池を観察してみると、アユが休んでいる様子がばっちりと。
その後、短い梅雨が明けて7月。
海から60km離れたの茨城県の端っこ、五霞町へ。
桝「江戸川と利根川が一つになってますね」
冬、鮎の赤ちゃんを見つけてから6ヶ月、どこまで大きく育ったのか。
桝「立派なサイズ!」
その大きさ、推定20cm。
桝「でも、まだここから上っていくわけですもんね」
東京湾で育ち、江戸川を上るアユは、遠く群馬県渋川市周辺までやって来る。
DASH海岸生まれもいるであろうアユ。はるか、200㎞先まで上がっていくか。
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