日本の伝統食『おせち料理』。古来からあると思われがちですが、庶民がつくって口にするようになったのは江戸時代後期と、意外に最近のことです。
「おせち」という言葉は「節供」のことで、節日に神に神饌(しんせん=神様へのお食事)を供え、宴を開いた、平安時代の宮中行事の「お節供(おせちく=節日に神に供えたもの)」に由来しています。
やがて、宮中のしきたりが江戸時代になって民間に広まり、正月、3月3日、5月5日、7月7日、9月9日を五節供とし、それぞれおせち料理をお供えしました。
やがて、正月7日(松の内)までに食べる料理だけを『おせち』と言うようになりました。
おせち料理が重箱に詰めて食べられるようになったのも江戸時代からです。
おせちに入れる料理は語呂合わせが多く、縁起を担ぐものがたくさんあります。
共通しているのは、『無病息災』や『子孫繁栄』の願い。
食べる時も、雪でも折れない強さを持った柳で作られた祝い箸を使います。
【一の重】・・・口取り(華やかで縁起の良いもの)
紅白蒲鉾: 初日の出に似ていることから祝膳に使うようになった。赤は邪気を払う魔除け、白は清らかな心を意味する。 イシモチ(白身魚ならなんでも可)、日本酒大さじ1杯、砂糖大さじ1/3、塩少々、梅の汁
内臓をとったイシモチの身を開き、包丁で小骨を取る。
スプーンで身をそぎ、包丁2本でたたき、そのあとすり鉢で滑らかになるまですりつぶし、日本酒1杯、砂糖大さじ1/3を入れなじませ、塩を入れる。
1/3を取り出し、梅の汁入れて赤くする。赤くなったすり身を竹の容器に薄く敷いた上に、残りの(白い)すり身を詰める。 セイロにて約30分蒸す。 セイロから取り出し、ある程度冷やしたあと、板からはずして1cmくらいの厚さに切って完成。
栗きんとん: 漢字では「栗金団」で「黄金の団子」という意味。黄金の色合い、豪華に見える様子から商売繁盛、五穀豊穣を願ったもの。 さつまいも、栗の甘露煮、砂糖
さつまいもの皮を厚めに切り、2cmの輪切りにして水にさらす。
さつまいもが柔らかくなるまでゆでる。水にさらし、そのあと水気をきる。
鍋に入れて軽くつぶし、刻んだ栗と砂糖を加え弱火で練り上げる。 皿に広げて冷ませる
【ニの重】・・・焼き物や酢の物
山芋、豆腐、ナス、かぼちゃの焼き物 山芋、豆腐、ナス、かぼちゃ、味噌、砂糖、みりん、醤油、日本酒
山芋は皮をむき、輪切りにして面をとり、塩をふってぬめりを取り、煮る。
豆腐は下茹でし、水を切って角切りに。ナスは半分に、かぼちゃは薄くスライスする。
全てを七輪の上にのせる。 味噌大さじ1、砂糖大さじ2、みりん大さじ1、醤油大さじ1/2、日本酒大さじ1を混ぜてできたタレを塗って出来上がり
紅白なます: 紅はにんじん、白は大根でお祝の水引きをかたどる。赤は魔除け、白は清浄の意味を表す。酢には殺菌効果があるため、作り置きするおせち料理にはぴったり。 だいこん、にんじん、酢、砂糖
大根を薄く輪切りにし、千切りに。にんじんは1/3に切り、千切りにする。
水を切り、酢大さじ4杯、砂糖大さじ5杯入れてあえる
【三の重】・・・煮物
キンピラの信田巻き キンピラごぼう、里芋、小松菜、油揚げ、塩、胡椒、みりん、日本酒、醤油、砂糖
里芋、小松菜を湯通しする。
里芋をすり鉢ですり、塩、胡椒を加える。
さいた油揚げにすった里芋をぬり、小松菜を敷いて、唐辛子を入れる前のキンピラごぼうを入れて撒き、つまようじでとめる。 だし汁に、みりん大さじ3、日本酒大さじ3、醤油大さじ2、砂糖大さじ3を加えて煮込む。約25分煮込めば完成。
アイナメの昆布巻き 昆布は「養老昆布」と書いて「よろこぶ」と読ませ、不老長寿とお祝いの縁起物として広く用いられている。 アイナメ、昆布、干瓢
アイナメは3枚におろし、さらに8等分くらいに切る。塩をふり、七輪で炙る。
湯通しした昆布を20cmに切る。 炙ったアイナメを昆布に巻き、干瓢で結ぶ。 信田巻きと同様のダシで煮込む。約25分煮込んでできあがり。
村野菜の煮物: 里芋は小芋がいっぱいつくことから、子宝に恵まれますように、という意。 里芋、にんじん、しいたけ、ごぼう、醤油、みりん、日本酒、砂糖
にんじんは2cm間隔で輪切りにし、花びらの形に切る。
椎茸のかさには十字の切り目を入れる だし汁に、醤油、日本酒、みりん、砂糖で味付けし、食材4種を入れて煮込む。
戻る