山形県のさくらんぼ生産量
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平成22年 |
平成23年 |
1位 |
山形県 |
14300t(約7割) |
山形県 |
15600t(約8割) |
2位 |
山梨県 |
1260t |
北海道 |
1230t |
3位 |
青森県 |
807t |
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総計 |
全国 |
19700t |
全国 |
20400t |
さくらんぼ生産量日本一を誇る山形県。
山形県のさくらんぼ面積は、約2500ha。このうち、品種構成では佐藤錦が約8割を占める。
山形県内の市町村別では、東根市が全体の約3割を占めている
佐藤錦
歴史
- 大正元年に山形県東根市の佐藤栄助氏が育成。
- 昭和3年 苗木や初代の岡田東作氏が、佐藤栄助氏の名前を取り「佐藤錦」と命名。
特徴
- 収穫時期は、満開時期から数えて50~55日後。山形県では6月中-下旬頃。
- 糖度は14度以上、酸度0.5%程度ある。20度以上にもなる事もある。
- 果皮の色は鮮紅色、甘くほどよい酸味もある。
- 約3000個が1本の樹からできる。
- ブドウと並び「果物の中で最も糖度の高い果物」で、佐藤錦は特に糖度が高く、完熟すると20%前後になる。
- 市販のさくらんぼは1粒100円~300円。デパートでは、1万円するものもある。
※さくらんぼがデリケートな果物で、栽培にとても手がかかるため
DASH村でのさくらんぼ栽培
2002年春、は佐藤錦とナポレオンの2品種を栽培したが、13粒しか収穫出来なかった。
原因
- 遅霜の被害にあい、木が弱った。
対策 樹の周りで火をたき、水を多めにあげた。
- 害虫の被害にあい、葉が食べられた。
対策 木酢液を吹きつける
- 野鳥に色づく前の実を食べられた。
対策 光り物や目玉マーク、鳥よけネットでまもる
- 台風や長雨で水分過多になり、実が割れた。
対策 雨よけハウスをつくる
明雄さんメモ
- 村でサクランボを作るには、寒いし雨が多いから難しいんだな。その点、山形県は村とは春から秋までの気候が違うから栽培に適してたのかもな。村は寒いし雨が多いんだ。
- サクランボの管理も色々あって、理屈が難しいぞ。
サクランボ農家
槇 順一さん(63)
さくらんぼを栽培して40年。さくらんぼ以外にも、桃、梨、リンゴを栽培している。
栽培の特徴
- 雨に当たると実割れするので、収穫時期の約一週間前にビニールをかける。
- 下の方にある実は、日光が当たりづらいので、白いシートで日光が反射させ、下からも光を当てる。
- 木全体が光を浴びることが重要。
- 実に光が当たらないと色付かないが、当たりすぎてもいけない。
- 葉の光合成により果実に甘みが蓄積し、果実だけに光が当たっても甘くならない。
受粉
- さくらんぼは、異品種と交配しないと実が出来ないので、受粉樹として、佐藤錦のハウスの中に「紅さやか」「大正錦」といった異品種を植え、結実を促す。または、水を入れたバケツに花が咲いた枝を入れて吊るす。
- 佐藤錦の樹に違う品種を直接根ざして、1本の樹で受粉出来るようにする。
ダチョウの毛ばたき
人工授粉の道具としてダチョウの毛ばたきが使用される。
化学繊維には再現出来ないくらい細かい毛先と他の動物の毛よりも耐久年数が長いのが特長。
※化学繊維が3ヶ月で消耗するのに対し、5年~10年、手入れによっては20年30年もつ。
マメコバチ(ハキリバチ科 ツツハナバチ属)
体長:ミツバチより小さく、1cmほど。
寿命:メス35日くらい オス:14日くらい
活動期間:1ヶ月半
活動範囲:40m
- 花粉団子が大豆の粉(きな粉)のようなので、「豆の粉の蜂」=マメコバチという呼び名が生まれたといわれる。
- 集団生活をしないため、巣に刺激を与えても攻撃しない。
- 捕獲すると防衛のため刺されることもある。
- 直径6~8mmほどの柱や材木の穴、枯れた草の茎、わら屋根のヨシなどの小さな細長い穴に花粉を運び込んで花粉塊を作り、それに卵を産みつける。孵化した幼虫がこれを食糧にする。
- 巣は狭く、筒の中で回転できないため、いったん筒の外に出て今度はお尻から入る。
- 外部の天敵から身を守るため、入口を土壁で塞ぐ
明雄さんメモ
- 村でマメコバチを見た事はないが、茅の屋根のヨシの中などににいたと思う。
- サクランボの木の下にヨシを設置してたら、良く来たかもしれないな。
紅さやか
- 1979年 山形県農業総合研究センター園芸試験場で誕生。
- 満開後40日前後で6月上旬。山形県では6月上旬頃。
- 実の大きさは5~7g程度。
- 糖度は14~19度で、果汁も多く、食味良好な品種で生食用の極早生種である。
- 特徴として、「佐藤錦」「ナポレオン」「紅秀峰」の受粉樹として最適。
さくらんぼの種
- 割って中の種を出さないと芽は出ない。
- 一度、定温に当たらないと芽が出ない。
※秋に落実し、冬を越し、春に芽を出す為。
鮮度を見分けるポイント
売り場に並んでいるさくらんぼの鮮度を見分けるポイントは、軸。
収穫してから時間が経つと水分が失われ、だんだん細くなる。
病害虫 コスカシバ(小透翅)
体長20~25mmほどの小型のガでハネは細長く透明。
形・飛び方などがハチに似ている。
成虫は樹皮の荒れたところに産卵、ふ化した幼虫は樹皮の裂目などから侵入し、木を食べる。
※コスカシバの幼虫に食べられ樹脂を出す部分が多え、樹勢は衰え、樹齢が短かくなる。
対策
交信撹乱用合成性フェロモン(フェロモン剤)を使用。
昆虫のフェロモンを人工的に合成した害虫防除剤。
コスカシバの雌が通常出す数千~数万倍の性フェロモンを放出することで、雌の居場所をわからなくさせる。天敵などの益虫や他の生物への影響がない。
草刈り機 F1まさお
乗用草刈機。四輪駆動ながら小回り性能がついているので、木の幹回りやポールなどの障害物回りの刈残し部分が少なく、手刈り作業は短時間に簡単に済ませられる。
さくらんぼ農家
佐藤 冨美夫さん(65)
農家として、18代目だが、さくらんぼ栽培では初代。栽培歴は約10年。
天童でY字仕立てを知り、寒河江市にて広めた。
Y字仕立て
栽培ポイント
- 植えて4年程は主枝をのばし、その後、側枝をいっせいに伸ばす。
- 樹の高さは約2m、側枝の発生位置は高さ60cmから始まり、30cm毎に6~7段程度形成する。
- 側枝は1年に1~2段ずつ順次、誘引し形成する。
- 常に太陽の光があたるため、列を南北に作る。
Y字の利点
- 太陽の光が当たり易い。
- 多くの収穫ができる。
- 高さが低いので、収穫作業が簡単。
- 果実品質の揃いがよい。
Y字の欠点
- 誘引、摘心作業が大変。
- Y字棚を設置する分、初期投資が大きい。
明雄さんメモ
- 果樹を仕立てるのは、ぶどうでは普通に知っていたが、サクランボでは聞いた事もなかったからびっくりしたぞ。
- これは苗からやらなきゃいけないから、難しくて時間がかかるぞ。
サクランボ 苗農家
岡田 東作さん
佐藤錦の育ての親。
「佐藤錦」が生まれたのは大正時代、東根市の篤農家佐藤栄助氏により育成され、中島天香園初代園主岡田東作が命名し、普及に尽力した。
天香園3代目
岡田 誠さん(64)
天香園の現社長。さくらんぼ以外にリンゴ、もも、ぶどうも栽培している
天香園
佐藤錦発祥の地。創業100年を迎え、現在は苗木の生産、販売を行う。
明雄さんメモ
苗の接ぎ木は、メロンやスイカでもやった事があるが、野菜は柔らかい簡単なんだ。果樹は木が硬いから難しいし、慣れないと手を切りそうになるな。