北海道の特徴
- 日本の食糧倉庫といわれるほど農業、漁業、酪農が盛ん。
- じゃがいも、小麦、生乳などの生産量日本一。
気候
- ほとんどの地域は「亜寒帯(冷帯)」に属する。
- 年間を通じて気温と湿度が低い冷涼な気候。本州に比べ春は遅く夏が短い。
- 「梅雨」がない。
北海道の酪農
- 北海道が冷涼な気候なため米の生産に適さなかったが、乳牛が冷涼な気候を好み、牧草や飼料用トウモロコシが栽培できる農地が豊富であることなどから、酪農が発達したといわれている。
- 北海道の牧草地面積は、およそ54万haで全国の牧草地の合計の約8割にあたる。
- 生乳の生産量は約390万tで、全国の総生産量の5割りを占める。(平成20年度)
明雄さんメモ
- 俺も、昔は色々な動物を飼ってたぞ。乳牛・和牛・馬・ヤギ・羊となんでもいたんだ。
- 乳牛とヤギは乳搾りの為に飼って、馬や和牛は田んぼの手伝いをしてもらってたんだ。羊は毛を取って、スーツを作ったりもしたな。
- ヤギチーズ専門の牧場
- 「日本ザーネン」という品種を約140頭飼育している。
- 世界でも珍しい完全昼夜放牧という、山羊にとって最もストレスの少ない理想的な環境で飼育。
(※雨の日などは、ヤギが外に出たがらないため畜舎で過ごさせている)
斉藤 真さん (36歳)
十勝千年の森 ランラン・ファーム 飼育員(主任)。
帯広畜産大学卒業後、25歳で十勝千年の森に入る。ヤギの世話、繁殖管理、搾乳、チーズ作りまでを行う。
山羊乳は、独特の臭いがする理由
- 牛乳よりも、周辺の臭いを吸収する性質が強いこと。
- ヤギ乳自身に中鎖脂肪酸(カプリン酸)が多いこと。
ヤギのミルクの品質を良くする工夫
- 不良発酵のサイレージや悪臭がするエサ(ニラ、ニンニク)などは与えない
- 畜舎を清潔に保つ
- ヤギの体を拭く
- 干し草は牛用の牧草よりも水分を残さないように作って与えている。
※水分が多い干し草は牧草の青臭さが多く残り、乳にも臭いが移ってしまうため。
こうした努力の結果、ミルクの質が向上し、乳量がぐんと増えた。
ヤギ乳の特徴
- ヤギ乳は、牛乳よりも母乳(人乳)に成分が近く、昔は母乳の出が悪いと母乳の代わりに赤ちゃんに与えていた。
- 乳タンパクが消化されやすい。消化がよく、下痢などを生じにくい。
- 牛乳アレルギーの原因物質を持たないため、アレルギーを起こしにくい。
- 牛乳よりも約20倍のタウリンが含まれる。牛乳よりも良質なタンパク質を豊富に含み、消化の良い脂肪や乳糖、ビタミン、ミネラルなど、多くの栄養素を含む。
いただいたチーズ 『ペケレ』
ヤギ乳を100%使用した熟成三ヵ月のチーズ。
明雄さんメモ
- 俺たちは、ヤギの乳は主に子どもに飲ませてたんだ。
- 大人もたまには飲むけれど、やっぱりクセがあったな。けれど、ランランファームで飲ませてもらった乳はクセがなくって、うまくてびっくりしたぞ。やっぱり、俺たちのは小屋で飼ってたから、ストレスを感じてたのかもしれないな。
農家から預かった乳用育成牛(ホルスタイン種)を自然豊かな環境のもとで育て、妊娠させて分娩が近くなると農家へ戻す『育成管理』を行っている。牧場の総面積は975ha。東京ドームの約210倍。夏は最大1550頭、冬は最大550頭の牛の飼育が可能。
長尾満治さん(39歳)
農業高校卒業後、八千代牧場に入る。主な作業は採草地、放牧地などの草地の管理。
乾草やサイレージ作りを行う。
牧草収穫の時期
- 牧草は1年に3回収穫できる。
- 6月中旬~7月に収穫するものを一番草、8月に収穫するものを二番草、9~10月に収穫するものを三番草という。
- 一般的に、一番草は二番草や三番草に比べ、栄養価が高いといわれている。
- 二番草や三番草が、一番草を刈り取った後に再生し生長したものだが、一番草は牧草の生育に最適な涼しい5~6月に生長したもの。
牧草収穫の流れ
- 草の刈り取り
トラクターの後部に「モアコンディショナー」をつけて作業をする。
中は大きな金属の刃が6枚回転し、刈った草が飛び散らないよう刃の部分はフードで覆われている。
時速20~30キロ程度のスピードで走って、牧草を刈り取る。
- 乾燥・反転
刈った草は1~3日乾燥させる。
乾燥期間の間、1日2~3回、草を反転させることも。
- 集草
トラクターの後部に熊手のような機械を取り付け、草を帯状にまっすぐ一列に集める。
- 牧草をロール状にする。
トラクターの後部に「ロールベーラ」と呼ばれる機械を取り付け、牧草をロール状にする。
ロールベーラは、取り込むときに牧草を短くカットし、圧縮しながらロール状にしていく。
内部が一杯になったら、後ろ部分が開き、牧草ロールがバコっと出てくる。
※ロール状に丸めた草は、そのまま乾草として牛に与えるものと、厚いラップフィルムで梱包して1カ月ほどおいて発酵させ、「サイレージ」というエサにされる。
サイレージ
- 家畜用飼料の一種で、青刈りした牧草を発酵させたもの。いわば「牧草の漬物」。
- 発酵によって乳酸、酢酸といった物質が発生するため、長期貯蔵が可能になり、冬のエサとして与えられる。
- 発酵で生じた有機酸は、牛にとって重要な栄養源であり、食欲をそそる香りをたてるため、牛の食欲を増進させる。
ロールベールラップサイロ
- ラップマシーンという機械で牧草ロールをラップフィルムでラップする。
- ラップフィルム内で発酵して、一か月ほどでサイレージとなる。
- ラップマシーンには牧草を回転させるターンテーブルとラップフィルムを巻く回転アーム式がある。
明雄さんメモ
- 夏は生草を食べさせてて、冬場は天日乾燥させた草を小屋に保管してたやつをあげるんだ。
- 牧草で牧草でサイレージは作った事はなかったが、村の近隣でも酪農をやっている人が多かったから、見た事あったぞ。
- 酪農は、生き物相手の仕事だから気が抜けなくて、本当に大変なんだぞ。
さけるチーズの作り方
- ミルクを38℃(=子牛の体温)に温め、乳酸菌を添加して発酵させる。
- 1時間ほど待ち、全体をかき混ぜてから、ミルクの流れを止め、レンネット(凝乳酵素)を入れる。
- 固まったら(レンネット添加から約30分後)、細の目状に切り、チーズの素となる固まりと水分(ホエー)を分ける。
- 1時間ほど待ち、チーズの素となる固まりを包丁で細かく切る。
- チーズの素となる固まりに85℃のお湯を入れ、すりこぎと木べらで混ぜて、伸ばしても切れない繊維と弾力が出るまで練る。(手でぎゅっとしめて、引きちぎるとモッツアレラチーズの完成)
- チーズの素の固まりを手で棒状にひっぱって伸ばす。
ある程度の太さと長さになったところでカットする。
- 冷水でしめてから、5分ほど塩水に浸けたらさけるチーズの完成。