元々は兵庫県で会社員をしていたが、現在の奥さん(美穂さん)の実家が岡山の黄ニラ農家だったこと、そして黄ニラの美味しさに惚れ込んでしまったことから黄ニラ農家に転職。黄ニラ栽培歴は15年。
まだまだ認知度の低い黄ニラを世の中に広めたいという思いから、2008年に自らを黄ニラ大使と名付け、黄ニラを普及する活動を始めた。
また、格好悪いと思われている農業のイメージを変えたい、という強い想いを持っている。
黄ニラのみそ汁
植田さんが美穂さんの実家へ行った際に、生の刻んだ黄ニラが入っているみそ汁をごちそうになり、あまりの美味しさに感動。黄ニラ農家になるきっかけとなる。
元フランス料理とイタリア料理のシェフを務めていた。
元々実家が黄ニラ農家だったことから、黄ニラに食材としての強い関心を持っており、現在は黄ニラ農家として、黄ニラ料理の開発に励んでいる。
岡山県は全国の黄ニラ生産量70%を占める。代表的な産地は、牟佐(むさ)、玉柏(たまがし)地区。県産の9割はこの地区で生産され、約30軒の黄ニラ農家がある。
元々は岡山でもマイナーな野菜だったため地元での消費量は低く、高級食材として約9割が東京に出荷されていた。しかし近年のPR活動により、現在では東京が約5割、地元岡山でも3割が消費されるようになる。
1.緑のニラをじっくりと2年かけて育てる。
→黄ニラの種は普通の青いニラと同じ。黄ニラは株に蓄えられた養分のみで育つため、まずは丈夫な青いニラを2年かけて育てる。冬になって自然に葉が枯れるまで畑で栽培。
2.ニラの株を遮光。
→枯れた葉を根元から刈り取り、その上に黒いシートをかけて遮光する。
この際、ビニールに少しでも穴が開いているだけで、ニラが日光をあびて緑色になってしまうため、慎重に日光の漏れがないよう点検する。
4.暗所での生長
→植物は暗い所に置かれると、日光を求めて上へ伸びる性質がある。
暗闇の中で、黄ニラは根の養分のみを使い2~4週間かけて生長していく。
※日光を遮断するため、光合成によって日光から養分を得る事は出来ない。
5.収穫
→黄ニラは柔らかく繊細なため、収穫は機械を使わず1株1株すべて手作業で行う。収穫サイズは25~30センチほど(箱に入るサイズ)。
適度な束にし、根元に輪ゴムをかける。雑に扱うと輪ゴムで傷がつくため、この際も優しく。
収穫の際は、日光を浴びて黄ニラが緑色に変色しないよう、手早く行う。
6.水で洗う
→収穫後は地下水を使用した、農家さん共同の洗い場に移動し、黄ニラを水洗いする。
根元、葉の順に交互に流し、水の勢いで土、汚れ、小さい葉などを落とす。
7.天日に干す
→収穫直後の黄ニラは、実は黄色い色素と一緒に少量の緑の色素が混在している状態。
収穫した直後に弱い光(曇りの日など)を長時間当ててしまうと、光合成をするため緑の色素が増えてしまい、色が緑色に変化してしまう。
しかし、この黄ニラに強い光を短時間急激に当てると、緑の色素が壊れ、黄色が鮮やかになるという。
8.出荷作業
→箱に入るサイズに黄ニラを上下カットし、1束1束手作業で撰別する。
細い葉と太い葉を分け、茶色く枯れた部分や、痛んだ部分も1つ1つ取り除くため、非常に根気が必要。10束入りを1箱作るのに1時間かかる時もある。
選別後は光が当たらない様に箱詰めされ、主に関東の高級スーパーやレストランなどへ出荷される。
含まれているアミノ酸の量は黄ニラの方が普通のニラよりも多く、中でも旨味成分のアラニンは青いニラの2倍近く含まれている。
また、ニンニクと同じアホエンという物質も黄ニラには含まれている。
※アホエン
普通のニラには含まれていない。脳の老化を食い止め、記憶力をアップさせるといわれており、現在研究が進んでいる。ニンニクから発見された成分であり、含有量はニンニクの方が多いが、100度以上の熱を与えると効果がなくなってしまうため、熱を与えずに調理が可能な黄ニラの方が、摂取しやすいという。
※アラニン
アミノ酸として、自然界にも広く存在し、美味しいと評判の枝豆「だだちゃ豆」の旨味成分のひとつとされている。この他にもシジミなどに多く含まれ、摂取することにより脂肪燃焼、肝機能改善などの効果があるとされている。
…アラニンなどのアミノ酸は植物が緑の色素(葉緑素)を作る際に消費されるため、緑の色素がほとんどない黄ニラにはそれだけ多くのアミノ酸が含まれている。