瀬戸内海では最大の島。大阪湾、播磨灘、紀淡海峡の3つ海に面している島で、面積は595平方キロメートルで、東京23区とほぼ同じ大きさ。
瀬戸内海気候に属し冬は温暖で、雪はほとんど降らない。
年間の平均気温は16℃と、1年を通して温暖で、たまねぎ栽培に適した気候を持つ。
明治21年外国から輸入した種子を南淡町(旧賀集村)で数戸の農家が栽培したのが始まりとされている。現在栽培されているのは大阪府泉州から導入されたもので、大正9年に同地域で集団栽培された。戦後、栽培の範囲が淡路島全土に広がり、昭和40年に生産量が全国1位となり、たまねぎの大産地と呼ばれるようになった。
濱田さんのたまねぎ畑は、たまねぎ栽培の中心地、南あわじ市の三原平野の中にある。
三原平野は、縄文時代に海だった場所が隆起した陸地。
土には、海のミネラルをたっぷり含み、水はけが良く、余分な水分が玉ねぎに吸収されない為、甘さが凝縮したたまねぎを作る事が出来る。
淡路島は、一年中温暖な気候で、海のミネラルをたくさん含んだ肥沃な土壌を持つことから、作物が良く育ち、食に恵まれた地域だった。
その為、昔から朝廷や天皇家に食材を納める『御食国(みけつくに)』と呼ばれていた。
たまねぎを同じ畑で栽培し続けていると、同じ栄養素ばかりが消費され、病気になったり、作物が枯れてしまう、連作障害が起きてしまう。
それを回避するため淡路島では、たまねぎ栽培が終わった後、同じ畑で米づくりを行う。
するとお米を育てている間に、土の中の微生物が玉ねぎに必要な栄養素を再び作り出してくれる為、稲を刈り終わる頃には、玉ねぎに最適な土壌が出来あがっている。
さらに、水田に水を張る事で、水が直射日光で温められ、たまねぎの生長を妨げる病害虫を駆除することが出来る。
これは、淡路島に昔から伝わる伝統農法。
農家に生まれ育ったが、5年前まで市役所職員を勤めていた。
今では、新たまねぎの他に晩生種も栽培しており、1年を通してたまねぎを作っている。
ハチマキがトレードマークの哲司さんのたまねぎは「てっちゃんのたまねぎ」の愛称で親しまれ、地元の「道の駅うずしお」で販売されている。
「新たまねぎ」とは、3月下旬から4月下旬にかけて収穫される極早生(ごくわせ)種のたまねぎ。
一般的なたまねぎ(淡路島産)は、5月~6月に収穫されるので、2ヶ月も早く収穫出来る。
その理由は、苗を植える時期は、ほぼ同じ時期の11月だが、極早生種は低温の10℃くらいから肥大のスイッチが入り、生長の速度も速いので、3月下旬には収穫することができる。
ちなみに、一般的なたまねぎは、15℃~20℃の間で肥大を開始する。
色は真っ白、肉質が柔らかで水分が多く、甘みが強いのが特徴。
辛み成分アリシンが少ないので、生食に最も適している。
しかし水分量が多いため、痛みやすく日持ちしない。(7~10日間程度しかもたない)
その為、3月下旬~4月下旬の収穫時期でしか食べられない期間限定品。
収穫後は、約1か月間「たまねぎ小屋」と呼ばれる小屋に吊り下げられ一度乾燥し保管。
乾燥させる事で、たまねぎが熟成され、日持ちが良くなるので、一年を通じて食べる事が出来る。
しかし、辛みが強いので、生食にはむかない。
しかし、火を通すと辛み成分が甘さに変わる為、煮たり、炒めたりする料理に向いている。
たまねぎの辛み成分アリシンは、揮発性、水溶性で、熱に弱い性質を持つ。
そのためオニオンスライスを、数時間空気にさらすと、アリシンが揮発性のため分解され辛み成分が抜けるので、とても甘く感じる。
3~4時間空気にさらした後、冷蔵庫で冷やすとさらに効果的。
よく一般的に水にさらすが、アリシンが水に溶け出してなくなるが、糖分、栄養素も水溶性のため水に溶け出してしまうのでもったいない。