宮崎県の中東部に位置し、東側は日向灘、西は尾鈴の山並みが連なった中にある、 人口約10、400人の町。
諸説あるが、「農業の都」という意味で、「都農(つの)」と名付けられたと言われている。
山・海に囲まれ、風通しも良く、日本の滝百選に選ばれた「矢研(やとぎ)の滝」の水も流れ、 野菜作りには適した環境である。
トマトや梨など様々な野菜や果物が、多く作られている他、「金ふぐ(シロサバフグ)」「伊勢エビ」も特産品で、山の幸・海の幸ともに豊富。
また、都農町産のぶどう100%で造られたワイン「都農ワイン」は、 国内外から数多くの受賞を受けるほど。
2014年8月に「0円食堂」で城島と長瀬が訪れていた町。都農町周辺の野菜や魚介を集め「0円ピザ」を作った。
もともと福岡や横浜で外食産業のサラリーマンをやっていたが、「脱サラ」し、奥様の出身地である都農町に移り、農家を始めた。
宮崎さんは「トマト嫌い」だが、トマト農家である義父の勧めもあり、「起業」をするのが夢だったため、トマト農園を始めた。
ちなみに、宮崎さんは今でもトマトが嫌いで食べられないが、自分が作る「ごくとま」は唯一食べることができる。
品種は「フルティカ」という、中玉トマトの一種。
一般的な大きさは約5cm程だが、「ごくとま」は約3cm程である。
その理由は、与える水分を最小限に抑えることでトマトがストレスを感じ、甘みの他、旨みや栄養が溜め込まれているため。同じ理由で、茎や根も細いのが特徴。
※2003年以降、福島DASH村でも、わざと水分を抑えて甘いトマトを栽培する経験していた。
一般的なトマトの糖度が4~6度ほどであるのに対して、ごくとまの糖度は9.5度と、約2倍。
また、旨みを表すグルタミン酸も約2倍。甘さだけを追求するのではなく、爽やかな酸味も程よく、全体的にバランスのとれた味である。
仕組み
必要な栄養素が入った水を、吸水シート染み込ませる。
その上に、100万分の1ミリサイズの穴が空いた特殊なフィルムを敷き、そこにトマトの苗を置く。
※根を張り巡らせるため、土台としてわずか1cm程の土が被さっている
開発
医療関係の仕事に長年携わり、膜やプラスチックの研究をしてきた森有一さんが開発。
人工透析に使われる「半透膜」の、一定の大きさ以下の物質を通す性質を利用している。
利点
ナノサイズの穴からはわずかな水分しか通らないため、トマトは身の危険を感じ、行きのびようとして、必死にフィルム上に根を張らして、養分や甘みを溜め込み、美味しいトマトができる。
ナノサイズの穴は、作物の生長に必要な水分や養分は通すが、ウイルスは通さない。
この働きを利用して…
岩手県陸前高田市の沿岸部では、津波の海水による塩害で、作物の育成が厳しくなってしまった土地でも、このフィルムを使用し、高糖度トマトの栽培が始まっている。
また、砂漠など野菜を作るのは難しいと言われている土地や、環境問題等で土壌が汚染されてしまった地域でも野菜作りを可能にしている。
農機具など不要で、コストが削減できる。
葉の間引き
トマトの生長に必要の無い葉は全て間引く。そうする事によって、トマトの実に太陽の光がより多く降り注ぎ、その結果、抗酸化作用や美容効果があると言われるリコピンの含有量が増える。
与える養分・水の調整
都農町の気候や土地柄に合う配分を独自で研究。
1番バランスが良かった配合のものを与えている。
赤色の他に、黄色や緑、オレンジなど様々な色のトマトを育てている。
その中の「インディゴローズ」という、アメリカで生まれた品種は、黒色の見た目だが、中身はジューシーな赤紫をしている。リコピンとアントシアニンが同時に摂れることで、スーパーフルーツとして、話題になっている。
収穫はハサミではなく、全て手作業で行う。
トマトの茎の第一関節を、親指で軽くおすのがポイント。
収穫したものは、選別機にかけ、大きさ別に分けていく。
専用のパックに、手作業で詰めて出荷。
道の駅やオンラインショップで購入することができる。
※選別やパック詰めの際に、割れてしまったものは、生のごくとまとしては出荷出来ないが、ドライトマトに加工して販売している。