あまり知られていないが、新潟県はナスの栽培面積が全国一位。
しかし、出荷量は全国で16位と低い。
つまり、新潟県では、収穫したナスの約70%を県内で消費してしまうほど、新潟県民はナスが大好き。
しかも現在、新潟県では約20種類ものナスが栽培されており、漬け物用、炒め用、煮食用、焼き用など、食べ方によってナスを使い分けるのも特徴の一つ。
笠帽子がトレードマーク、巾着ナスを作りつづけて50年にもなすベテラン農家。
巾着ナスなど、長岡の伝統の野菜を途絶えさせたくないという思いから、71歳になる現在でも早朝から夜遅くまで農業に励んでいる。
新潟県長岡市で約100年前から栽培されている伝統野菜。
まるで紐で口を絞った「巾着袋」のように筋が入っていることからその名がついたとされる。
しかし、栽培が難しく、形の悪いものが出来やすいため、「こんな恥ずかし形のナスを他所様に食べさせられない」と自然と門外不出のナスになってしまったと言われている。
そのため、現在でも長岡市以外のスーパーや直売所にはなかなか出回らない。
巾着ナスの特徴の一つがその硬さ。
ナスを叩くとスイカのような音がし、かじったとしても簡単には噛み切れないほど実が緻密なのが特徴。生で食べても甘味が強い。
信濃川の恵み
巾着ナス畑の近くに流れているのは、日本一の長さを誇る信濃川。その信濃川が大昔に氾濫した際、土が徐々に堆積して出来た土壌で巾着ナスは栽培されている。
山から流れ出た栄養分が豊富に含まれた土壌のため、栽培が難しいとされる巾着ナスが育つとされている。
一般的なナス栽培は大量の水を与えるものが多いが、小林さんの栽培方法はその真逆。
土はカラカラに渇いており、めったなことでは水をあげないという。
小林さんの巾着ナス畑は信濃川に近い事もあり、地中深くには水がしみ出している。巾着ナスに水分を与えないことで、水を求めて必死に根を伸ばし、わずかに得られる水を吸収しながら自らに糖分を蓄える。
更に根を伸ばした分、地中からの養分も多く得ることができるという。
巾着ナスの代表的な食べ方。
実が硬すぎる為、焼きなすなどの料理には向かない。そのため、長岡周辺では昔から巾着ナスを蒸して食べる文化が広まった。
蒸かしても身が崩れる事はなく、柔らかいのに歯ごたえがある不思議な食感。
その美味しさと刺身のような食感から、「畑のトロ」と呼ばれている。