かぼちゃ栽培歴38年のベテラン農家。
10人兄弟の末っ子で、20歳の時、農家をしていた両親から後を継ぐ。
両親は一般的なかぼちゃの他、複数種の野菜を作っていたが、明井さんは「日本一のかぼちゃ」
を目指してかぼちゃだけを作る農家に。今では40ha程の面積の畑で栽培している。
1.貝殻や海藻入りの肥料
北海道の中でもホタテの養殖の一大産地である、森町。
ホタテを出荷する際に、貝の外側に付着した藻やフジツボ、カラスガイ、コネツキガイなどは取り除かれ、ゴミとして大量に捨てられていた。
しかし、海の栄養素に高い関心を持っていた明井さんは、それらを持ち帰って堆肥に混ぜ、かぼちゃの畑に蒔いた所、糖度が上がったという。
<なぜ効果があるのか?>
畑の土の中には、微生物がたくさん存在し、その微生物が、かぼちゃの甘みの素となる
「でんぷん」を作り出す働きをしている。
海水が付着した貝や海藻には、海のミネラルが270種類も含まれていることがわかっていて、これらのミネラルは、微生物のエサとなっている。
したがって、ミネラルを多く与えると、微生物が活発に働き、よりかぼちゃが甘くなる。
しかし、与えすぎは畑に悪影響を与えてしまうため、明井さんは、長年の研究で編み出した、量や頻度でしか与えていない。
2.海洋深層水の散布
「海洋深層水」:水深200m以下の深層水のこと。光合成ができないため、ミネラルをエサとする生物が少ないため、ミネラルが多く存在する。
ミネラルをたくさん含む畑を常に維持するため、これをくみ上げ、畑に散布している。
ちなみに明井さんは、森町の隣、八雲町でくみ上げられる水深300m以下の「熊石海洋深層水」。
かぼちゃは、収穫してすぐは、まだ甘味はない。
かぼちゃに含まれるでんぷんを糖分に変化させるため、「熟成(キュアリング)」が必要。
一般的なかぼちゃの熟成は、収穫後、5日~10日程、直射日光を避けた、日陰に置く事が多い。
<明井さんの熟成方法>
熟成庫の中を、昼間は45度程度、夜は外気温にさらし、20度程度の温度差を作る。
常温で熟成するよりも、激しい温度変化を与える事で、かぼちゃは、生命の危機を感じ、身に蓄えていたでんぷんを糖分に変える。
この熟成を5日間行うことで、糖度18度~20度の甘いかぼちゃになる。
25日間の、かぼちゃにとって過酷な熟成期間を経たものは、余分な水分が飛び、実が凝縮されるので、皮の薄い所からオレンジの色素が表面に浮かびあがる。
全体がまんべんなくオレンジ色になると、糖度が隅々にまで回ってる証拠で、糖度は25度程度に。しかし、「黄金のかぼちゃ」になるのは、100玉のうち、わずか2~3玉のみで、その希少さから、1玉6000円で販売されている。
惜しくも、「黄金のかぼちゃ」とはならなかったものは、「くりりん」として1200円で販売されたり、裏ごしの加工をして、ペーストとしても販売している。
北海道産のバターをのせて食べるのが、奥様オススメの食べ方。