出張DASH村

神奈川県鎌倉市

一年を通じて豊富な日射量、温暖な気候、海岸に面した環境は、オシャレに暮らす街としてだけでなく、野菜の栽培にも非常に適している。
適度に暑く、適度に乾燥した気候により農閑期は短く、夏野菜はすくすくと、冬野菜は糖質がぐんぐん溜まり、美味しく育っていく。

鎌倉市農協連即売所
(かまくらしのうきょうれんそくばいしょ)
通称:レンバイ

80年以上の歴史を持つ「鎌倉野菜」の直売所。鎌倉市内で栽培された野菜が市民や市内の飲食店を中心に消費されている。消費者にとっては畑と販売所が近いことで、新鮮な野菜が購入でき、農家にとっては、どの野菜が消費者に好評なのか手に取るように分るため、今後の作付けの参考になる。
前回TOKIOが訪れた際は、真冬で大根や人参などの根菜類を中心に、色とりどりの野菜たちが並んでいた。

TOKIOが触れた野菜

バターナッツ

南米原産で、見た目が「ひょうたん」によく似たカボチャ。ねっとりした果肉はナッツのような風味で、繊維が少なく、種も除きやすいためポタージュにして調理されることが多い。

島オクラ(島の恋)

生で食べることのできる濃厚なオクラ。見た目の赤色はアントシアニンによるもので、加熱すると色が抜け緑色に変色する。

鎌倉野菜

鎌倉野菜の特徴は「多種類多品目」で、80年以上も前から現在まで、獲れたて新鮮野菜や日本では珍しい野菜などが栽培され、手頃な価格で並んでいる。
農地は鎌倉市内の観光名所から離れた、北部と西部に集中し、生産履歴を記帳するなどルールを守った農家だけが会員として、レンバイなどの直売所で販売をすることができる。季節ごとに獲れたての旬野菜が揃うので、有名料理店のシェフなども多く訪れる。



都内で鎌倉野菜を扱うレストラン
「ベージュ アラン・デュカス 東京」

ファッションブランド「シャネル」とフランス料理界の巨匠アラン・デュカスのコラボによる世界唯一のレストラン。2016年ミシュラン東京でニツ星獲得。
フランスにて修行をつみ、アラン・デュカスの信頼が厚い小島景シェフが総料理長を務めている。小島シェフは15年以上にも渡りレンバイに足を運び、自ら野菜を仕入れている。

鎌倉野菜を使った料理
「アオリイカのグリエ 茄子とキャビア」

一皿の中に、4種類の方法で調理されたナスが使用されている。

  • キャビア・ド・オーベルジーヌ(オーブンで焼いたナスをピューレ状にし、トマトやアンチョビを混ぜたもの)
  • ナスのソース
  • ナスを棒状に切り、酢とオレンジジュースで下味をつけ、焼いたもの。
  • ナスのチップス

お世話になった方

父:盛田勝美(もりたかつみ)さん

明治初期から続く農家の5代目。高校卒業後、地元ハムメーカーの営業マンだったが、24年前に父親の後を継いだ。レンバイでは1班に属し、種類豊富な鎌倉野菜を栽培している。TOKIOは3年前にも訪れており、その際は根菜をはじめとする、冬野菜の栽培や収穫について教えて頂いた。

母:盛田広美(ひろみ)さん

勝美さんの奥様。ピーマンやミニトマトの収穫も担当している。
鎌倉野菜を使った料理の名人。

娘:盛田瑠未(るみ)さん

3年前城島が訪れた際は専門学校生で、休みの日には家の農作業を手伝っていた。
現在は農作業で培った知識を活かし、都内の高級フルーツ専門店で働いている。

ナス

ナスはインドが原産とされており、日本では紫色のナスが主流だが、海外では白色のナスや緑色のナスが一般的。

味しらかわ

ヘタが緑色で、果実は細長い白色をしている。長さは20~30cm程になり、表面がツルっとしている。果肉も加熱するととても柔らかく、ほんのりと甘味が感じられる。

緑美

果色は鮮緑色で、果長が30cm位の首が太い長ナス。
果肉が柔らかくて甘みが強く、加熱をすることによりトロっとした食感になる。
緑色で美しいナスという意味を込めて「緑美」という名前がつけられた。

白ナスや緑ナスの皮が厚い理由

白ナスの皮の厚さは、日本人に最も親しまれている「千両二号」(紫ナス)の約3倍。
紫ナスには抗酸化作用が期待出来るナスニンというポリフェノールが含まれており、紫外線から身を守っているが、白ナスや緑ナスはナスニンを含まないため、紫外線から身を守ろうと、皮を厚くしているという。
その厚い皮が中の水分を逃がさないため、みずみずしく、しっとりしたナスになる。

海外のナスが白や緑色で、日本のナスが紫色な理由

海外のナスの食べ方は火を通し、カレーに代表されるような煮込み料理が多い。
そのため煮崩れしにくく、スープをよく吸う白ナスや緑ナスが調理に向いている。
日本ではナスは漬物など生で食べることが多い。ナスの浅漬けなど、パリッとした歯ごたえは皮の薄い紫ナス特有のため、日本では紫色のナスが好まれていったという。

関東ローム層 黒ボク土

鎌倉は富士山からの距離が近い上、火山灰の通り道。そのため深く降り積もった火山灰は1万年以上の年月をかけて1.5mほどの黒ボク土になった。
黒ボク土はフカフカで層が深い分、根を長く広く張れるため、植物は養分をたっぷり吸い溜め込んでいき、美味しい野菜ができるようになった。

ピーマン

浜ニュークリーム

横浜の種苗会社から売り出されている品種。クリーム色をしており、通常のピーマンよりも肉厚で水分量が多く、苦味が少なく食べやすい。20年以上前にヨーロッパからカラーピーマンを取り入れ、交配を重ねていく上で生まれた品種で、上向きに実が生る理由は解明されていない。

ベル型(UFO)ピーマン

普通のピーマンの見た目とは異なり、「ほおずき」の様な見た目をしている。
ハンガリーの伝統品種で、料理の添え物などに使われる。

ミニトマト

トスカーナ バイオレット

イタリアの農場で5年以上の歳月をかけて作られたミニトマト。イタリアのトスカーナ州はブドウの名産地であり、美味しいブドウのようなトマトを作りたいという思いから名がついた。ブドウのような見た目と味(甘酸っぱさ)を特徴としている。

キャンドルライト

楕円形の形と明るいオレンジ色がロウソクの炎のようなので、キャンドルライトと名前がついた。中のゼリー部分が少なめで、果肉がしっかりしており、食べごたえのある食感が特徴。フルーツの様な甘さを持ち、βカロテンの含有量が高い。

鎌倉ならではの栽培方法

  • 鎌倉は市の大部分が標高の高い丘陵地。
  • 特に関谷地区は、小高い丘が連なった地形をしている。
    1.その南斜面に畑を作ることで日当たりがよく、たくさん光合成ができるため、野菜は養分を多く溜め込む。
    2.風通しが良いため病気や害虫が付きにくい。
  • 平らな土地が少ないため、畑が細かく区切られたことから多種少量の生産へと変化した。
    →その見た目から、鎌倉野菜の畑は別名「七色畑」と呼ばれている。

調理

ナス麺の冷やし中華

  1. 色とりどりの縦長のナス(味しらかわ、緑美、味むらさき、など)を皮がついたまま麺状に細切りにし、水を張ったボウルにさらしてアクを取る。
  2. 水を抜いたら、片栗粉をたっぷりまぶし、沸騰した湯で3分ほど茹でる。
  3. ナスが透き通ってきたら、氷水で麺をしっかりと冷やす。
  4. ナス麺を皿に盛り付け、盛り付け用にピーマン(浜ニュークリーム、浜クロピー、バナナピーマン、カラーピーマン、など)を細切りにする。
  5. 神奈川県のブランド豚である「高座豚」をボイルし、氷水でしめる。
  6. ナス麺に細切りにしたピーマンと豚しゃぶをトッピングする。
  7. めんつゆにごま油を加えたタレをかけて完成。

マボ特製 マー坊ナスの麻婆ナス

  1. マー坊ナスを乱切りする。
  2. フライパンでゴマ油、生姜、ニンニク、豚ひき肉を炒め、切ったマー坊ナスを加え更に炒める。
  3. ナスに火が通り始めたら、豆板醤、甜麺醤、醤油、酒を加え炒める。
  4. 最後にネギを加え、水溶き片栗粉でとろみをつけたら完成。

マー坊ナスは油との相性がとてもよく、油による加熱調理をすると皮や肉質がトロッとする独特のおいしさを持つ。

焼きナス(ホワイトベル、緑美、パープルクララ、味しらかわ、千両二号)

  1. 様々な種類のナスを一つずつアルミホイルに巻いて、炭火で20分ほど焼けば完成。
  2. 味付けは、めんつゆや塩などお好みで。

夏野菜たっぷりピザ

  1. フライパンに7種のミニトマト(トスカーナバイオレット、キャンドルライト、ピンキー、きら~ず、グリーンチェリートマト、ピッコラカナリア、イエローピコ、など)をオリーブオイル、ニンニク、みじん切りにした玉ねぎ、アンチョビなどと一緒に炒める。
  2. スライスしたナス(下町美人、千両二号、など)を180度の油で素揚げし、油を切っておく。
  3. ピザ生地にトマトソースをたっぷりとぬり、ナスの素揚げとベル型(UFO)ピーマンの輪切りを生地に乗せる。
  4. 最後にピザ用チーズをパラパラとかけ240度のオーブンで10分間焼けば完成。