鶴岡市は、全国有数の稲作地帯である庄内平野の南部に位置し、西側は日本海側に面する人口約13万人の都市。海水浴場が点在する沿岸部では、加茂水族館や、海を眺める湯野浜温泉が人気。
さらに東部には、出羽三山神社が立つ羽黒山、弥陀ケ原の湿原が美しい日本百名山にも登録されている月山、奥宮である湯殿山がある。他にも、砂丘メロンやだだちゃ豆などが有名。
250年ほど続く農家の11代目。19歳の時に、奥さんと結婚をし、3人のお子さんがいる。
高校卒業後、車が好きだったため、車の整備士として働いていたが、奥さんの『農家をやるんだったら、私も手伝う』との言葉をきっかけに、家を継ぐことを決意した。
父母と一緒に農業を行っており、ねぎ専門部会の若手ホープ。夏はメロン栽培もしている。
地元の料理自慢のお母さん。
鶴岡での軟白ねぎ栽培を発案した、ねぎ専門前部長(齋藤和則さん)の奥さん。
軟白ねぎの可能性をより広げるため、様々な料理を作っている。
政子さんが一番オススメするのは、生のネギサラダ。毎年最初に出来たネギを、生サラダにして食べ今年の出来をみるという。
一般的には軟白栽培されたネギを『軟白ねぎ』と言う。軟白栽培とは、土の代わりに被覆資材で葉の部分を覆い、日光を遮断して軟白部分をつくる方法。土を寄せるネギのように、幅を広くとる必要もないため、単位面積あたりの栽植本数を多くすることができる。
さらに、土寄せによる長ネギよりも軟白部分が長いので、高単価で取引される傾向にある。
辛み成分のアリシンは、ネギを切った際、空気中から鼻に入り血管が拡張させ、身体の抵抗力を高める働きを持っている。非常に強力な抗菌・殺菌作用があり、病気への抵抗力を高める働きをする。
一般的にネギは水にさらすと、辛みが抜けると思う人が多いが、アリシン自体も水に溶け出してなくなってしまい、糖分、栄養素も水溶性のため水に溶け出してしまうのでもったいない。
そのかわり、数時間空気にさらすと、アリシンの性質で空気に分解され辛み成分が抜けるので、とても甘く感じる。
ネギの青い葉の部分を切ってでてくる、ねばねばした成分は"フルクタン"という成分。
複合多糖類の食物繊維の1つで、長ネギの甘み成分の素。しかも凍結しないため、気温が氷点下になってもネギが凍ることはない。インフルエンザウィルスの侵入や増加を抑える働きをし、免疫力を高める作用を持っている。
ネギは、生長すると地面から出て陽に当たった部分が青くなってしまう。そこで、白い部分を長く増やすため、一般的なネギは、ネギの生長に合わせて土を被せる『土寄せ』をし、日光に当てないように栽培している。雪中軟白ねぎは土寄せはせず、黒いシートを使って遮光することで、陽のあたらない土の中と同じ状態にし、育てる方法。
さらに、一般的にネギは、収穫まで7回ほど土寄せを行いやっと40センチほど遮光出来るが、黒い遮光シートは一回巻くだけで、幅50センチすっぽり覆い隠せることができる。そのため、他のネギよりも約10センチほど白い部分ができる。
山形県鶴岡市の12~1月は平均気温が約2度と低く、雪が降り積もることが多い。
そのため、雪に囲まれたハウスの中で育つネギは、凍って枯れてしまわないよう、自らの身を守るため、糖分を作り出し溜め込むため、より甘みを感じることのできるネギができる。
収穫は一列ごとに遮光シートを外しながら、手で収穫。土寄せしてない分、引き抜いても、泥がネギ全体に付着しておらず、汚れることが少ないのが利点。
ただ、軟らかい上に土寄せをしていないので、遮光シートを外すと倒れやすく、収穫する際は、葉が折れたり傷つけないよう繊細に扱わなければならない。
和利さんのハウスには、1ハウス約7000本植わっているため、収穫もなかなか大変である。
収穫したネギを作業所に運び終わったら、出荷時の長さの72センチに合わせて、根っこや葉を切り落とす。手である程度いらない葉っぱを落としたら、エアー(高圧の空気)で、いらない外側の皮をも剥いでいく。これは爪でネギを引っ掛けない為。
サイズごとに分けたら、塩ビパイプを改良した筒にネギを入れ、専用の袋に詰める。
こうする事で、折れずに袋に詰められる。