出張DASH村

桃の歴史

  • 原産は中国。雨が降らず、乾燥した気候の陝西省、甘粛省と言われ、3000年前にはすでに食べられていた。
  • 中国の伝説にでてくる、不老不死の薬を生み出す長寿の神様“西王母(せいおうぼ)"が大事に育てていた果物が桃「蟠桃(ばんとう)」と言われていることから、古くから桃は不老長寿の果物と考えられていた。
  • 『桃』はたくさんの毛に覆われていることから『毛毛』と書き、そこからモモになったといわれ、日本の古い文献(『本草和名』など)にも残っている。
    他にも、燃えるように赤く色づくことから『燃実(もえみ)』、また、1本の木からたくさん実が成ることから『百(もも)』となったなど、語源は諸説ある。
  • 日本には弥生時代の初めごろ伝わり、果物として食べる他には薬用にもしていたが、江戸時代の頃は、“水菓子"として町で売られていた。
    明治に入ってから品種改良が進み、現在の桃のような甘い果物として広まったとされている。

<桃の栄養価>

  • ナイアシン:特に肉、魚、レバーなどに多く含まれている栄養成分で、糖質、脂質、たんぱく質から、細胞でエネルギーを産生する際に酵素の働きを助けるという重要な役割をもつほか、皮膚や粘膜の健康を保つ効果も。
  • 鉄分・マグネシウム:貧血や冷え性の改善などの効能が。
    他の果物に比べ、カラダを温める作用があるため、冷え性対策には有効。
  • 食物繊維の中でも水溶性のペクチンを多く含み、冷え性を改善したり、血行をよくする効果も。
  • 他の果物同様、ビタミン各種も含まれる。

福島DASH村での桃作り

  • 2002年に果樹園スタート。城島が班長となって管理。
    さくらんぼ、梨とともに桃の木も植えた。
  • 初めの年は、ほとんどが病気や虫食いになってしまい、収穫できたのはわずか6個。
    しかも、かなり小振りのものばかりだった。
  • 翌年には、病気や虫、鳥などの被害と闘い、冷夏による日照不足に悩まされながらも赤い実の美味しさを味わうことができ、それ以降甘く美味しい桃を作っていた。

山梨県笛吹市(ふえふき)

  • 山梨県中央部に位置する逆三角形の盆地形状の“甲府盆地"の東寄りに位置する市。
  • 桃・ぶどうは栽培面積、収穫量、出荷量いずれも全国市町村の中で一位を誇ることから、『桃・ぶどう日本一の郷』である。
  • 市内には石和温泉や春日居温泉もあり、『温泉の郷』としても知られる。

お世話になった方

森田隆文さん

元々は地元の建築関係の会社で働きながら、奥様の実家の桃農園をずっと手伝っていたが、3年前に退職し、専業農家に。

森田広美さん

実家が桃農家で、父親と一緒に桃を作り続けてきた。マットの日本語の先生でもあり、その影響でマットは甲州弁も話すことができる。

森田絵美さん

森田家の長女。海外に出て、初めて日本の桃の美味しさや、技術に感動。
結婚後、オーストラリアに住んでいたが、祖父の体調が悪くなった時、『桃農園を残したい!』と思い、日本にUターンして就農した。

Brown Matthew(マット)さん

ニュージーランド出身。オーストラリアのホテルで副支配人として働いていた時、絵美さんと出会い、結婚。山梨の桃の美味しさに感動し、日本で桃農家になることを決意。
日本に来て一番驚いたことは、『日本人はみんな優しい』ということ。

桃のまち・ふえふき

  • 桃は、年間23,000トンが収穫され、市内にはたくさんの桃の木が植えられている。
    一斉に開花する春には、ピンクの絨毯が一面に広がったように美しく、大勢の観光客が集まる。
  • 土壌が肥沃で水はけがよく、日照時間が長いことに加え、夜の気温が低い。
    すると、昼間、たくさんの日光を受けて作り出した糖分を、涼しい夜に消費しないため、甘みと旨みがたっぷりつまった桃ができる。
  • 山梨で栽培されている桃は80種類以上あると言われているが、大きく3種類に分けられる。

【早生種:6月下~7月中旬】

  • 日川白鳳
    他の品種に比べ小ぶりだが、果肉は繊維質が少なくいため、柔らかで果汁も多い。
  • みさか白鳳
    大きく甘く、果肉のジューシーさが特徴の桃。

【中生種:7月中~8月上旬】

  • あかつき
    「白桃」と「白鳳」を交配させ、福島県で栽培に成功した品種。
    糖度が高く、果肉は緻密で溶質ながら歯ごたえがしっかりあるのが特徴。
  • 浅間白鳳
    緻密でやや弾力のある肉質と、濃厚な味を堪能できる大玉の桃。人気品種のひとつ。

【晩生種:8月下旬~】

  • 川中島白桃
    肉質は硬めで、酸味が少なく甘みが強い。実は大きく、重量感のある桃。

世界の桃と日本の桃 <形も様々!世界の桃>

  • ネクタリン
    桃の変種。毛がなく、実は黄色または赤で、酸味が強い。
  • 蟠桃(ばんとう)(Plattpfirsiche)
    中国が原産の、平たく真ん中がくぼんだ形の桃。「西遊記」で孫悟空が食べた桃と言われ、中国では古くから不老不死の「仙果」として扱われている。ヨーロッパでも沢山出回っている。
    ※日本の桃は、丸くて赤くて、甘いものがほとんどで、1つづつクッションに包まれて売られているが、海外の桃は、硬いので、大量に積まれて市場などに並んでいることが多い。

日本ならでは!美味しくする作業

<袋掛け作業>
まだ実が青く、小さい時に、専用の袋をひとつづつ手でかけていく。
これは果実を病害虫から果実を守り、実が割れたり傷が付いたりするのを防ぐ。
収穫の2週間前にまた袋を外し、日光に当て、糖分をためさせる。
※岡山の『清水白桃』など実が白い桃は、収穫まで袋をかけたまま。
そうすることで、色白で繊維質の少ない柔らかい食感が特徴の桃ができる。
※福島DASH村では、手作りの和紙で袋がけをした。

<反射シート>
袋を取った後、木の下にシルバーまたは白いシートを一面に敷くことで、太陽の光を反射させ、下からも実に光を当て、赤く色付けさせる。

<桃が赤くなる仕組み>

日光に当たることで、赤い色素のアントシアニンが分泌され、赤く色づく。
だからといって、袋掛けをせず初めから日光に当てていると、小さい実の時に含んでいる。
葉緑素『クロロフィル』の色の上に赤付いてしまうため、綺麗には色づかない。

<葉っぱとり>
太陽に当てる期間中、実にかかっている葉っぱを一枚一枚、手で取る作業。
葉でかげると、太陽に当たらない部分が出てくるので、甘味が落ちる。
しかし、桃も他の作物同様、葉で光合成をして糖分作り、実に送っているため、取りすぎにも注意しなくてはいけない、神経を使う作業である。

★ちなみに山梨県は日照時間日本一!
そのため、より多くの日光が当たるため、甘みをたっぷりと含み、色づきの良い桃ができる。
★他にも、冬から桃の木の剪定、摘蕾、摘果、授粉作業など、桃の栽培にはいくつもの作業が必要!

収穫~出荷作業

<収穫>

  • 全体が赤く色づいているかが、収穫の目安。
  • 手で優しく掴み、まっすぐひっぱって収穫し、クッションを敷いたカゴの中に入れていく。
  • 収穫のタイミングを逃すと、桃が木で完熟し、ぽとぽとと落ちてしまう。

<出荷>

  • 森田さん達は、サイズ別に分け、さらに『かため』『やわらかめ』に分け販売している。
  • クッション製のネットで包み、さらにクッションシートを上下に敷き、傷がつかないように丁寧に箱詰め。
  • 森田さんの桃は、ネット販売と、山梨県内を中心に出店している移動販売車で購入できる。

味には全く問題がないが、色付きがまだらだったり、割れてしまったりして出荷できない桃は…
→凍らして、スムージーに再利用!
マットさんのアイディアで、スムージーの移動販売を2年前から行っている。
ピンクのキッチンカーで河口湖駅前など山梨県内を中心に販売。
一番人気の『桃スムージー』の他にも、自家栽培のすももやベリー系、スイカなどのスムージーも販売。冬にはホットパイ、ホットスムージーなどもある。

調理

桃と2種チーズのピザ

  1. 桃を皮ごと、薄切りにする。
  2. ピザ生地の上に生クリームとオリーブオイルをぬる。
  3. (2)に薄切りにした桃を花のように並べた上にゴルゴンゾーラ、モッツァレラチーズ、バジルをちぎって載せ、バルサミコ酢を適量かける。
  4. ピザ窯に入れ、1分半で一気に焼き上げる。

桃の冷製パスタ

  1. 皮をむいた桃をぶつ切りにする。
  2. 熱したフライパンにオリーブオイルでにんにくを炒め、香りをひきだす。
    (1)を入れ、果肉を潰しながら5分ほど炒める。
  3. 多めのブラックペッパーと塩ふたつまみを入れ、さらに炒めて、氷水でよく冷やす。
  4. カッペリーニ(細めのパスタ)を少し長めに茹で、よく冷やしておく。
  5. (5)に(4)を入れ込み、よく和えたら、お皿に盛り付ける。
  6. 周りに、くし切りの桃と細切れにした桃、生ハムを交互に盛り付け、バジルをのせたら完成。

桃と大葉の肉巻き

  1. 皮をむいた桃をくし切りにする。
  2. 大葉と、塩コショウ・小麦粉で下味をつけた豚バラ肉を桃に巻く。
  3. 形が崩れないよう、肉が重なる部分を下にして、油をひいたフライパンへ。
  4. 肉に火が通り、色がついたら完成。