出張DASH村

宮崎県宮崎市

  • 宮崎市は面積643.7平方キロメートル、人口は約40万人。(令和2年2月現在)
  • 南北に約36kmに渡る海岸線を有し、宮崎市が面している日向灘は、暖流である黒潮の通り道なため、年間を通して温暖な気候風土に恵まれている。
    また温暖な気候に加え、降水量も多く水資源の豊富な地域でもある。
    快晴日数:年53日(全国2位)
    日照時間:年2116時間(全国3位)
    年平均気温:17.4℃(全国3位)
  • 温暖な気候のため、宮崎は農業が盛んな地域。
    農産物では、ビニールハウスを利用したきゅうりを始め、きんかん・日向夏などが全国で1位の生産量を誇っている。
    畜産物では、宮崎牛を始めとする肉用牛や豚、ブロイラーが、全国でもトップクラスの生産量となっている。養豚飼育数は全国2位。
  • 豊かな自然に恵まれ、県外から年間約640万人の方々が宮崎を訪れる。
    さらに毎年2月には、読売ジャイアンツなどのプロ野球チーム3球団を始め、多くのプロスポーツチームや大学チームが宮崎へキャンプに訪れ、シーズンの開幕に向けて厳しい練習を行なっている。

お世話になった方

横山 洋一さん 42歳

元々(本職)はマンゴー農家。
アボカド農家になったきっかけは東京農業大学を卒業後、大手スーパーに就職。地元九州の店舗で青果売り場を担当した際、アボカドに初めて出会う。
当時認知度の低かったアボカドだが、横山さんはその美味しさに感動し、大好物になる。
そして、7年前に父親のマンゴー農家を継ぐと同時に、大好きなアボカドを育てようと、独学でアボカド栽培を開始した。
宮崎県でアボカドを栽培しているのは横山さん唯一人。

平原 静彦さん 42歳

横山さんの同級生。宮崎市内のカフェで料理長をしていて、今回は完熟のアボカドを贅沢に使った地元ならではの食べ方を教えてくれた。

アボカド

  • 最もカロリーの高い果実としてギネス世界記録®に認定されている。
    ちなみに以前井ノ原も畑を訪れたきゅうりは最もカロリーの低い果実として認定されている。
  • 栄養を豊富に含んでいる。
    1.むくみ解消効果のカリウムはバナナの2倍
    2.抗酸化作用のビタミンEはレモンの2倍
    3.脂肪を分解させる働きを持つビタミンB2はキウイの7倍
    4.整腸作用を持つ食物繊維はごぼう1本分
  • 「森のバター」と呼ばれるほど、油分をたっぷりと含んでいる。
    果肉の約20%が脂肪で、そのほとんどがオリーブオイルに含まれているのと同じ不飽和脂肪酸。悪玉コレステロールを下げる働きが期待できる。
    アボカドオイルは血液をサラサラにする効果が期待でき、さらにアボカドオイルを使って作られたアボカド石鹸は老化予防の効果が期待できる。
  • アボカドの輸入(消費)量は右肩上がりで、現在では20年前の約7倍となっている。
  • アボカドの木はクスノキ科で、放っておくと10m程にもなる。
    原産地(中南米)では、ハウスではなく、露地で栽培されている。

横山さんの場合、作業がしやすい様に枝を糸で引っ張り、横山さんの身長に合わせて、樹の高さを調整している。
また、冬に気温が下がりすぎない様にするためハウスで栽培している。

  • アボカドはバナナや洋ナシと同じく、収穫直後はまだ熟しきっていない。
    普通の果物は収穫直後実に蓄えられているデンプンが糖に変わることで美味しくなるが、アボカドはしばらく置くこと(追熟)で実に溜め込んだデンプンが良質な脂肪分に変化し、甘く美味しくなる。横山さんは、室温20度前後の部屋に約20日間追熟させている。
  • 保存方法は完熟前と後で異なる。
    完熟前→常温で追熟させる。
    完熟後→新聞紙で包み4℃位の冷蔵庫で保管。

また、半分に切ったアボカドを保存しておく場合は、種をそのままに残した方が空気に触れる面積が減るため、酸化による変色を防ぐことができる。

  • アボカドは実が成長しきるまで、他の一般的な作物に比べて時間がかかり、200日程かかる。
    横山さんのアボカドは実が大きくなりきってからさらに+100日以上、約1年間ならすことで、栄養を極限までたっぷり吸い込んだ美味しいアボカドになる。

横山さんが育てているアボカド

横山さんは現在、約60種類、年間5000個のアボカドを栽培している。
収穫したアボカドは自宅の作業場で追熟。

「ひなたプリンセス」と名付けられ、宮崎空港のお土産売り場や通信販売で売られている。

生のアボカドにピンク岩塩とごま油をかけて食べるのが横山さんオススメの食べ方。

栽培品種

リード、ピンカートン、フェルテ、ジャンボイス、スチュアート、ズタノ、エッティンガー、エドラノール、ポペーノ、ベーコン、モンロー、チョケテ、メキシコーラ、ロレッタ、メキシコーラグランデ、ズタノ、マラマ、ヤマガタ、ムラシゲ、グリーンゴールドなど。
今回収穫させて頂いた品種はピンカートン。
スーパーなどでよく見かける品種はハス。
大きさも形も品種によって様々。

ピンカートン

細長い洋ナシ形が特徴。
開花期が秋から春までと長いことから横山さんが一番多く生産しており、実がつきやすく、毎年安定した生産が出来る。収穫時期は12月~1月。
収穫後は3週間追熟しなければいけない。

モンロー

アボカドの中でも大玉の品種で横山さんオススメ品種の一つ。
横山さんが育てているモンローの中には、1個1万円を超えるサイズのものも。

ハス

ゴツゴツしてて皮が厚いのが特徴。
現在、日本で出回っているアボカドのほとんどはこのハスという品種。
皮が硬くて輸送に向いている点や、追熟した時に黒く変色して食べ頃が分かりやすい点が選ばれる理由になっている。
寒さに弱いため、日本では育ちにくい。
横山さんは栽培しやすく美味しい品種を見極めるため、多くの品種に挑戦している。

ハスの食べ頃(完熟)の見極め方
1.色がチョコレート色。
2.ツヤが減り、少しクスんでいる。
3.指で皮を押すと、指の跡が付く。
4.ヘタが浮いている。

土壌

横山さんがアボカドを栽培している辺り一帯は、約700万年前、砂と泥(粘土)の層が長い年月をかけて交互に積み重なってできた海底が隆起して地上に出てきた土地。
砂の層は、余計な水分が流れ落ちることで、酸素が多く入り込みアボカドの根がしっかりと呼吸する事ができる。さらに、保肥力のある粘土の層が栄養をしっかり吸収してくれるため、濃厚で美味しいアボカドに育つ。
昔海の底だったため、貝殻やサンゴの死骸が堆積してできており、アボカドに必要なミネラルも豊富に含んでいる。

収穫

茎の上の方で切り取った後、実に近いギリギリの部分でもう一度切る2度切りの方法で収穫。
アボカドはヘタが取れると商品価値が下がってしまうので、ヘタを落とさない様に切り取る。

調理

アボカド餃子

  1. アボカドは半分に切り、1口大に切る。
  2. ボウルに豚ひき肉を入れ、塩もみした白菜、塩胡椒、にんにく・生姜、オイスターソースを入れてもみこむ。
  3. 餃子の皮に(2)を入れ、そこに切ったアボカドをおき包む。
  4. 熱したフライパンに餃子を並べ、中火で2分焼いたら、お湯を入れて蓋をして10分程焼く。
  5. 最後にごま油をかけてさらに5分程焼き、焦げ目が付いたら、醤油に日向夏を絞って完成。

キムチ&チーズ入りアボカド鍋

  1. 鍋に鰹と昆布の出汁、キャベツ、しめじを入れ、一煮立ちしたら豚ばら肉とキムチ、醤油を加えて煮込む。
  2. アボカドを半分に切り、少し厚めに輪切りする。
  3. 一口大に切ったカマンベールチーズを入れ、その周りに(2)を置き、弱火で15分煮込めば完成。
  4. 皿に盛り付け、お好みでワカモレをのせる。

ワカモレ

  1. アボカドをマッシャーで潰し、ペースト状にする。
  2. (1)に玉ねぎ、すりおろしたにんにく、レモン、塩胡椒を加えて混ぜたら完成。

アボカドの肉巻き

  1. アボカドは半分に切り、縦6等分にする。
  2. 豚ばら肉を広げ、塩胡椒と片栗粉をふり、(1)に対して斜めに巻きつける。
  3. 熱したフライパンにオリーブオイルをひき、転がしながら中火で7分焼く。
  4. 火を止めて醤油で味付けし、ベビーリーフを盛り付けた皿にのせ完成。

カリフォルニアロール

アメリカ生まれの巻き寿司。生魚や海苔に馴染みのない外国人向けに、生魚の代わりにアボカドを使用し、米の内側に隠れるように海苔を巻いたのが始まり。
様々な具を使用する事で多くのアレンジが可能。

  1. アボカドを半分にし、1つは輪切りにし、もう半分は縦に2mm幅でスライス。
    マグロは1cm幅の棒状にカットする。
  2. 巻きすの上にラップを敷き、海苔にマグロ、輪切りにしたアボカド、納豆をのせて巻く。
  3. もう一度巻きすの上にラップを敷き、今度は薄くスライスしたアボカドを隙間なく広げたら、白ごまを周りにふりかけ、酢飯を薄く幅広くのせていく。
  4. (3)の真ん中に(2)をのせ、巻きすで巻く。
  5. ラップを巻いたまま、食べやすい大きさに切った後、ラップを外し、笹の葉と一緒に皿に盛り付け、わさび醤油を添えて完成。