震災後、全国の農家さんを通して勉強し続けていた明雄さんが、一等米を作りたいという思いから、株間を30cmにして植えることを提案。
そこで、30cmの株間になるように田んぼに線を引く道具・ガチ棒を作った。
苗が枝分かれして、幾つもの茎ができる分けつは、生長の良さを示す証でもあるが、豊作だった去年の分けつ数、45本をも余裕で超える、53本にまで達した。
農業のベテランたちも驚く結果に、株間を30cmにした効果が早速、見受けられた。
稲は黄金色に輝き、稲穂にはびっしりと米がなり、その重さから、頭が地面につきそうなくらい垂れ下がっていた。明雄さんが30cmの株間にしたいと言う思いの意味をこの時、実感した。
株間を広くすることによって、一株一株が吸収できる栄養分が増えて、充実した米ができた。
そして、刈り入れをしてみると、さらに、その生長具合が体感できた。
その分けつ数の多さから、株が太く、なかなかうまく刈れなかった。しかし、福島DASH村でお世話になっていた高子さんの最新の鎌を借りると、サクサク切れるようになった。
その鎌は、一つ一つの刃の尖りをなくし、その部分も刃に変えた『ダブル刃』という最新モデルだった。
天日干しで十分に乾燥した籾を、今年もハーベスタを利用して脱穀し、難波さんの籾取り機をお借りして玄米にした。
その玄米は、真珠のようにキラキラと輝いた米粒で、米づくり農家さんの難波さんも絶賛の出来だった。
等級検査
無作為に20gのお米を取り出し、粒の具合を確認し、その良い米粒の量によって定める等級検査をお願いした。同じ検査を行った2年前は、20gのうち12gしか良い米がなく、二等米だったが、今年は、良い米が15.6gと一等米の基準14gを余裕に越し、悲願の一等米を達成した。
そして、今年も村でお世話になった方々が集結し、その実りの喜びをみんなで味わった。
一等米は獲得できたが、明雄さんの口癖だった「まだまだ」の精神を受け継ぎ、満足せずに、また来年の新男米づくりに繋げようと誓い合った。