DASH村 ~新男米~

2001年 ~TOKIOの米作り・スタート~

福島DASH村で、米作りを始める。

<男米>

2002年から育てている品種。「ひとめぼれ」と「タカネミノリ」の交雑種。いもち病に弱い。

<新男米>

毎年、いもち病に悩ませられていた「男米」といもち病に強い「ふくみらい」を配合し、病気に強いTOKIOオリジナルの品種「新男米」が誕生した。

<ふくおとこ>

さらなる美味しさを目指して、2016年から品種改良に挑戦。
掛け合わせたお米は、明雄さん自らが作っていた米「チヨニシキ」。

2020年の米づくり

20回目の米づくりは、緊急事態宣言の中、福島に向かうことはできない。
城島の提案で城島、太一、松岡、そしてともに福島に通ってきたスタッフが手分けをして、東京の自宅で種から苗まで育てることになった。
そして、東京都立園芸高校の元ジャガイモ畑をお借りして田んぼを作り、6月上旬に田植え、9月下旬には収穫を行い、福島との気候が違う東京の厳しい夏を乗り越えて自分たちの力で美味しいお米を作ることができた。

2021年の米づくり

今年はDASH村がある浪江町の隣に位置する葛尾村で21回目の米作り。
城島、太一、松岡に加え、後輩の岸とシンタローにも参加してもらい、この5人で。
震災後10年間手付かずだった元田んぼをお借りして、葛尾村の人々にも協力して頂きながら、まずは荒地を田んぼにするための作業から行うことに。

福島県葛尾村

  • 福島県双葉郡葛尾村はDASH村がある浪江町の隣にある村。
  • 2011年3月東日本大震災の影響で当時1567人いた村民が全員避難。
  • 2016年に葛尾村のほとんどの地域の除染が終わり、当時住んでいた人々が徐々に戻ってきている。(帰村者数は326人) 2021年 7月1日時点。
  • しかし、震災前田んぼや畑だった農地の中には、手をつけることができずに荒地になってしまっている場所がまだ多い。
  • 標高が450mと高く、夏も比較的涼しい。
  • 湧き水が豊富で、広大な土地が多いことから江戸時代から畜産業が盛えている。

お世話になった方

菅野好雄さん

田んぼ作り初日に松岡とシンタローが訪れた葛尾村の米農家さん。
今回は田んぼの稲の被害を見て、害虫対策の手伝いをしてくれた。

見つけた生き物

ムツボシオニグモ

黄色い胴体が特徴的で、稲の害虫を食べてくれるありがたいクモ。
黄色い胴体は、擬態・隠蔽・警戒など様々な意味があり、外敵から身を守っている。

イモリ

イモリの名は、井戸に棲みつきまるで井戸の守り神(井守)のようだという意味。
井の字は水田を象形するのではないかとの説があり、わざわざ紛らわしい井戸の井の字を用いたのは、井は農業(稲作)に欠かせない用水路を意味したからとも言われている。
→田んぼの守り神として知られるイモリは、稲の害虫を食べてくれる。
岸が捕まえた葛尾村のイモリは、都会のイモリと比べてお腹がぷっくりしている。

TOKIOの新たな田んぼ

  • 事前に城島とスタッフは、田んぼの土・水・草木、全て国の安全基準をクリアしていることを確認済み。
  • 田んぼの広さは約1反(約1000㎡)でテニスコート約3面分。
  • 除染から5年間手つかずのため、草木が生い茂り栄養が吸い取られている状態。

【6月28日 田植えから約1か月後】

背丈
植えた時は16センチだった稲が、43センチに生長。
このひと月で30センチも伸びた。

分けつ
植えた時1本だった茎が枝分かれして増えること。
東京で育てた去年はこの時期7本だったのに対し、今年は倍以上の15本に。

被害
一見順調そうに見えた稲だが、所々白く変色している葉っぱが…。
その原因は、ドロムシ(イネドロオイムシ・イネクビホソハムシ)だった。

ドロムシ
葉っぱに泥が跳ねたように見えることからドロムシ。
しかし、泥の様に見えていたのは実際はドロムシの糞。
ドロムシの肛門は背中にあり、糞が背中に溜まり、やがて全身を覆うことで泥のように見え、外敵から身を守っている。

ドロムシのエサは葉っぱの緑色の元となる葉緑体。
光合成をして養分を作り出す大事な部分である葉緑体が、吸い取られてしまうとその部分は白く変色し、養分を作れなくなってしまう。
→このままでは葉緑体を吸い尽くされ、生長が止まってしまう恐れが。
そこで、DASH村で21年前から行ってきた方法で対策をすることに。

対策

21年前に明雄さんに教えて頂いた“無農薬農薬"。
田んぼ全体に満遍なく振りかけることで、強い刺激臭で虫を寄せ付けなくする。

【材料調達】

石井食堂
葛尾村唯一の食堂。
→捨てちゃう予定だったニラと唐辛子を頂き、牛乳、ニンニク、生姜、酢を調達。

嵐が丘
石井食堂さんに紹介して頂いた葛尾村のカフェ。
長年神奈川で暮らしていた堀江さん夫婦は自然豊かで水が美味しい葛尾村に惚れ込み、定年後移住。
震災で避難を余儀なくされたが、それでも葛尾村への想いは強く、避難指示解除後、念願の自宅兼カフェをオープンした。
→廃棄する前に天日干しで水分を飛ばし軽くしていたコーヒー殼を頂いた。

  • ニラ → 特有の匂いの元であるアリシンが殺菌作用を持つ。
  • 唐辛子 → 辛味成分であるカプサイシン、サポニンに殺菌作用がある。
  • 牛乳 → 牛乳の膜が乾燥したときに収縮する性質を利用して、害虫を退治。
  • ニンニク → 特有の匂いの元であるアリシンが殺菌作用を持つ。
  • 生姜 → ジンセノール、ジテルペノイドが抗菌に作用する。
  • 酢 → リンゴ酸、クエン酸、酢酸に殺菌能力がある。
  • コーヒー殼 → ポリフェノールの一種であるタンニンが抗菌に作用する。

さらに、田んぼ脇の草むらに生えていたドクダミとヨモギ。

  • ドクダミ → その匂いに防虫作用があると言われる上、強い殺菌効果のある成分も。
  • ヨモギ → ヨモギに含まれるタンニン、クロロゲン酸が抗菌に作用。

植物の葉には無数の酵母菌が生きている上、根には有用な微生物がたくさんいるため、摘んだら洗わないで入れるとなお有効。
※今回使用している無農薬農薬は虫を駆除する目的ではなく、あくまで寄せ付けない為の予防対策として行っております。

【7月18日 田植えから約1か月半後】

生長具合
背丈70センチ。分けつ28本。
茎の数は半月前に比べて2倍近くに増えたが、城島は少なく感じていた。
→この時期の理想的な生長具合は、茎の数35本、背丈は60cmほど。
分けつが少なく、上に伸びてしまったため、細長い稲に。
細長い稲は、やがて米となる穂が出ると、台風などの強い風で倒れやすく、穂が泥に浸かると腐ってしまう恐れが。

対策
稲は適度な刺激を与えると、ストレスを感じ、生き延びようとして、丈夫に育つ。
そこで、あえて稲にストレスを与え、稲自身を強くさせる事に。
→3人で作った縄を一本にして長い縄を作り、稲の上を這わせることで刺激を与える。

縄作り
ワラを手のひらでもじって縄にする技術。
これも21年前に明雄さんから教えて頂いた。