2年前、突如としてシンガポールに現れた天才外科医『Dr.チョコレート』。どんなに難しい手術でも、相手が誰であれ必ず成功させる。ただし、メスを執る条件は3つ。現金1億円と秘密保持契約書へのサイン、そして相応のチョコレートを用意すること。故にその正体を誰も語ろうとはしないが、うわさでは、Dr.チョコレートの右手は義手であるらしい…。
同じ機内に居合わせた東都新聞の記者・
野田がコックピットに入ると、副操縦士の横で機長がぐったりしていた。さっそく瞳孔や脈の測定を始めたのは――なんと野田ではなく、後から入って来た唯だ!慌てふためく副操縦士に、「子ども扱いしないで。年齢なんてただの数字」と言い放つ唯は、あり合わせの道具で完璧な処置を施し、機長の命を救ってみせる。そう、彼女こそがDr.チョコレート。ある目的のために帰国した、天才的なオペスキルを持つ10歳の少女だ―。
帰国早々、Dr.チョコレートの代理人で“Teacher”の元に依頼が舞い込む。クライアントは議員秘書の
患者である大物政治家の登戸龍男(長谷川公彦)は、脳幹部海綿状血管腫の破裂による脳内出血で倒れていた。超高難度のオペだ。そんなオペができるドクターなど日本にいるはずがないと懐疑的なカンパニーは、目の前に現れたDr.チョコレートの正体を知ってさらに驚く。こんな少女が?あっけにとられるカンパニーを尻目に、唯は1億円が入ったジュラルミンケースを踏み台にして手術台の脇に立つと、「命はひとつ。誰にも平等にね」と早速オペを開始。その執刀レベルの高さを目の当たりにしたカンパニーは驚きつつもオペに集中し、唯の指示出しに完璧に対応する。
唯の高度なオペスキルは、心臓外科医だった父・寺島光一(山本耕史)の影響だった。幼い頃から外科手術のシミュレーションにハマっていた唯は、小学校に入る頃には医師の国家資格を得られるほどの腕になっていた。しかし2年前、自宅でのホームパーティー中に両親はガス爆発の事故に見せかけて殺された…。爆発の直前に犯人の顔と手首の特徴的なタトゥーを目撃していた唯は、当時研修医で寺島の愛弟子だったTeacherに抱えられ、炎上する家から脱出。その時にTeacherは右腕にひどいやけどを負ったのだった。
登戸のオペの最中、Teacherは奥泉から衝撃の事実を聞かされる。……2年前、奥泉の連載が打ち切られたのは、奥泉が事件の黒幕にたどり着いたからだった。奥泉の調べでは、寺島光一はある薬品会社と政治家の癒着を告発しようとして、口封じのために殺された。その政治家は…手術台の上の登戸龍男だ!Teacherの報告を聞いた唯はピタリと手を止め、「死んだっていいじゃん!こんな悪い人!パパとママを返してよ!」と泣き叫ぶ。そんな唯に、Teacherはもう一度あの言葉を思い出させる…「命はひとつ。誰にも平等に」…それは寺島に教わった言葉だ。相手が誰であれ、父は目の前の命を全力で救ったはず…唯は再びメスを握る。
手術は無事成功し、カンパニーは報酬を受け取ってホッと一息…も束の間、警察に嗅ぎつけられ、すぐにその場を退却。アジトに戻り、Teacherからこれまでの経緯を打ち明けられたカンパニーは改めてチームとして結束し、さっそく次の依頼に取りかかるが…何食わぬ顔で輪に加わる出川(古川雄大)の手首には、事件の犯人と同じタトゥーが…!
その頃、カンパニーに命を救われた登戸龍男は自宅で首をつり、息子の龍彦(駿河太郎)は行方不明となっていた…。そうとは知らないTeacherは、奥泉に“ギブアンドテイク”を持ちかける――「復讐の手伝いをしてくれるなら教えます。Dr.チョコレートの正体」と――。