2011年11月29日放送

8年先まで予約がいっぱいの、とびきり美味しいパンの作り手がいます。
パン職人・多以良泉己(たいら みずき)さん。
一日多くて五斤しか作れないパン。それでも、食べてくれるお客さん
一人一人の笑顔を思い浮かべながら、心を込めて丁寧にパンを作ります。
「元気を届けたい」という想いひとつで。
実は、多以良さんは6年前まで競輪選手でした。
しかし、レース中の事故で全身麻痺に。それからの、奥さんとの懸命のリハビリの中で
出合ったパン作りが、彼を再起させたのです。

「奥さんに食べさてあげたんですけど、すごく喜んでくれて。」

「パン作り」に、希望の灯りを見いだした多比良さん。
絶望の淵からパン職人として再び歩み出した時の自分の気持ちを、
一番言い現してくれた言葉。それは…

「涙と一緒にパンを食べなければ…本当の味がわからないと思うんです」

「涙とともにパンを食べたものでなければ人生の味はわからない」

ゲーテ

「涙とともにパンを食べたものでなければ人生の味はわからない」
「苦労の分だけ、喜びがわかる」というゲーテの言葉。

パンには、必ず奥さんが直筆で感謝の手紙を添えます。

「二人で一つみたいな感じでやってます。」

奥さんと、苦労や喜びを分かち合う多以良さん。幸せと笑顔を届けるため、
心をこめてパンを焼き続けます。