2012年5月1日放送

ひと筆、ひと筆に子供の成長を願う人がいます。
手描き鯉のぼり職人、橋本隆(はしもとたかし)さん。
鯉のぼりの生産量日本一、埼玉県でその伝統は守られてきました。
それは、下書きもせず、直接 木綿の生地に模様を描きあげる職人の技。

「手描きの鯉のぼりはですね。肉筆のもつ良さ、
色んな濃淡が出来ますので、これも魅力のひとつだと
思います」

しかし、手描きの注文は激減…。時代はナイロン製のプリントが主流に…

「印刷すると塗り絵みたいになって、
どうも面白くないんですね」

「手描きの良さは、いつか再び人々に受け入れられるはず」
そう信じ、時代の変化に流されず、
常に心に抱いてきたこと、それは・・・。

「もしも、目の前の目的が達成できないでいるなら、 試みよ。再び試みよ」

イギリスの教育者、ヒクソンの言葉で

目的を達成するまで諦めないという、橋本さんの強い気持ちを表しています。

「生まれ変われるものでしたら、もう一度生まれかわって、
また手描きの鯉のぼり屋になって、その続きをやって行きたいですね」

泳ぐ鯉のぼりは、子供が健やかに育つ姿。
橋本さんは、その思いを絵筆にこめ、今日も描き続けます。