2013年2月5日放送

「木の実」や「花」に 新しい息吹を与える…。
炭焼き職人、熊木仁(ひとし)さん。
茶の湯の世界で、古くから、花に見立てて活ける飾り物として親しまれてきた
「花炭(はなずみ)」。

「炭というのはね、モロいものですよ。
だけど、そのままにしておくと無くなってしまうものが、
炭に焼くことで形がそのまま残ると…。
例えばハスならばハスのまま、クリだったらクリのまま焼ける。
それを飾るというところがすごい面白いところなんです。」

熊木さんは、元サラリーマン。
12年前にクモ膜化出血で倒れ仕事を辞めることに…。
自分を見つめ直す時に出会ったのが、「花炭」でした。

「最初はもう全然…くずれたりとか、まだ生だったりとか、ひとつずつやって覚えました。
始めて12年ですが、花炭を渡したお客さんは、みんな笑顔になるんですね。」

大きな病気をして見つけた生きがい…。
そんな熊木さんが出会った言葉。それは…

『感謝の念とは、心に書きとどめた記憶である』

フランスの教育者 マッシュウの言葉です

「生きていること自体に感謝をするというありがたさを、
この花炭にも吹き込むっていう気持ちがあります。」

熊木さんの花炭に込められているのは、
心から“ありがとう”の気持ちです。