2015年3月31日放送

絹の糸を、春色(はるいろ)に染める…
染め物職人 大久保雅道さん。
栃木県小山市を代表する『結城紬(ゆうきつむぎ)』。
その材料の糸を、桜色に染め上げます。

「結城紬の中にどうしても小山市を表現したくて、出会ったのが小山市原産の思川桜だったんです。」

染めの原料となるのは、「桜の枝」。

「花が咲く前が濃い色素がとれるんですね。この桜は染めるために育てている桜なんです。」

枝を砕き、3週間かけて煮だした褐色の『染め液』…
しかし、糸をひたせば、絹は「桜のピンク」に染め上がります。

この道35年。
今でも、同じ色を出すのは、容易ではありません。

「きれいなピンクを出すってのは大変と言えば大変なんですが、その過程の中でいろいろな色が出てくるんですよ。それは失敗ではない。ある1つの結果で、プラスになっていると思いますね。」

そんな大久保さんが大切にしている言葉、それは…

『私は失敗していない。
1万通りのうまくいかない方法を発見しただけだ。』

発明家 トーマス・エジソンの言葉です。

「非常に優しい色だと、みなさん本当に喜んでくれますね。」

春の訪れを告げる絹糸です。