2015年12月15日放送

時間をガラスに残します。

湿板写真家 和田高広さん

「湿板(しっぱん)」とは、明治時代に伝わった写真の技術
(和田さんが現代に蘇らせました)

「デジタルは誰が撮ってもキレイに写ってしまう。
それにちょっと違和感を感じていて、明治時代の昔の写真館を復元しようと始めた」

被写体を焼きつけるのは「ガラス板」。
感光する薬品を塗り、乾くまでに撮影。
数々の手間と時間がかかります。

「首を押さえさせてもらって、今は平均6秒前後。
その6秒の間のドラマ。その6秒じゃなきゃ出来ない表情が出てくる」

撮影後、像が浮かび上がるまでに、また1分間。

「予測不可能な世界に1枚の一点もの。僕自身もワクワクするし、
撮られる方も、このムラは二度と出ないんだよねと喜んでくれる」

写真を心から愛する和田さんが大切にしている言葉…(それは)

「覆水盆に返らず」

失敗したものは取り返しがつかないという、中国のことわざです。

「(写真は)失敗したら失敗したまま残ってしまう。
やれることで最高のものをあげろということ。
ずっとその写真が残ってしまうぞというのが僕の中ではあります」

戻らないからこそ残す、愛おしい時。