2016年10月4日放送

真っ直ぐな竹が作る、風流な逸品。

駿河竹千筋細工の伝統工芸士 杉山貴英さん。

駿河の竹細工は江戸時代から献上品としても愛されてきました。

「枠を作ってしまって、穴をあけて丸ひごを刺して、
組み上げていくっていう竹細工になるもんですから。」

直径0.1mmの竹ひごを、多い時には2600本も使います。

「地味な作業ですけど、1万本とかあっても多分1日で十分。」

中でも職人技が光るのは、竹を熱で曲げる枠作り。

「1番楽な丸で3年。四角で7年て言われてますけど、
0.1~0.2mmのゆがみでもう ふたがしまらない。
3か所曲げて4か所目で失敗したら全てゴミなんで…。」

今ではインテリアなどにも竹細工の世界は広がっています。

「使ってもらっている時って手の脂、そういうものによって竹が飴色に変わっていったり、光沢がでていったりってのが、竹のいいとこなんで。」

真摯(しんし)に竹に向き合う杉山さんが心に思う言葉、それは…

「最上の証明とは経験である」

イギリスの哲学者 ベーコンの言葉です。

「竹ってどうしても1本1本質が違うものですから、1本をやって終わる時には
竹の質っていうのが自分で分かるようになる。
体が覚えてくれるまで繰り返すことがすべてになります。」