2017年6月20日放送

額帯反射鏡(がくたいはんしゃきょう)の職人 深井康雄さん

額帯反射鏡は耳や鼻の中を診察する時に使う医療器具。
凹面鏡で光を集め、覗き込めば、奥まではっきりと見ることができるこの器具。

「今は、私一人しか、作ってる人いません。」
最新技術が普及し、生産量は激減。
国内では深井さんが最後の職人になってしまいました。それでも…
「この鏡で照らしてみるっていうのがいいっていう先生が結構いらっしゃるんですよ
自然光に近い光をあてるってことによって患部がより、鮮明に見えるんですね」

深井さんがこの仕事を始めた38年前から、
20個程の小さな部品ひとつひとつほぼすべて手作りです。
「親父がやっているところ見ていて、金槌でただ叩いてるだけで簡単そうに見えたんですよ。
すごく難しかったですね。1つ1つの部品を金槌で叩くっていうのも、平らに叩かなきゃ
いけないだとか、一人前になるのには最低でも10年かかるよと言われましたね」

父から受け継いだ技術をひとり守り続ける深井さんが大切にしている言葉、
それは…

『志操堅固(しそうけんご)』

志や考えなどを堅く守って変えないことを意味する四字熟語です。

「治療するのは先生なんですけど、私の作った道具で人の役に立てているっていうことが、自分ではすごくうれしく思っています。」