2018年1月16日放送

経木職人、阿部初雄さん。
昔から様々な食品の包装に使われてきた“経木(きょうぎ)”。
それは歴史を重ねた機械が並ぶ、群馬県の町工場で生まれます。
「材料はアカマツなんです。昔、カンナで削っていたのを自動化していって今の形になりました。」
厚さは0.15~0.18mmの間で削っています。
「経木には抗菌効果があるみたいだし、捨てる時も土にかえるから環境にもいいんじゃないかな、と。」
加工から乾燥まで、1枚作るのに3日間。
その品質は見た目で決まります。
「大きいサイズで、木目の山が7つくらいあるものが一番きれいでしっかりした経木。
木目の数はノコギリを入れるときに決まる。自然のものですから、木のクセを見抜くのが大変な部分です。」
高い機能性から近年、再び注目されている経木。
阿部さんは、ある思いを大切にして作り続けています。
「人と人とのつながり。経木を必要としてくれる人がいるので、ずっと続けていきたいなと思っています。
息子もそういうつもりで、今やっています。」
信念を持って、親子で経木作りに励む阿部さんが心に想う言葉、それは…

「山は山を必要としない。しかし、人は人を必要とする。」

人の絆の大切さを意味する、スペインのことわざです。

「経木は使っていただいて初めて良さがわかるものかもしれません。
長く世の中に残って欲しいなって思います。」