2018年7月31日放送

黒酢作り職人、蔵元忠明さん。
鹿児島湾に面する鹿児島県福山町。ここで伝統的な壺(つぼ)で熟成する黒酢作りが行われています。
「一般のお酢というのは、どちらかというと刺激が強いお酢になりますけど、
黒酢は味、香りも非常にまろやかです。江戸後期からの製法で原料は3つだけ。
米麹と蒸したお米と地下水、あとは太陽のエネルギーだけで発酵をさせます。」
黒酢になるまでには1年半以上かかります。
しかし、味を決めるのは発酵管理の最初の2か月間です。
「子育てという表現をしていまして、顔色が毎日変わります。
発酵が遅れる子はそれなりに手当てをして、ここでしっかりと子育てをやっていけば、
必ずきちんとした味に仕上がっていきます。」
黒酢のまろやかさを生むのは、江戸時代から使っている壺に秘密があります。
「壺に酢酸菌というお酢を作る微生物がすみ着いていますので、
200年前の壺で作りますと〝いい子ばっかり″という表現をするんですけど、手が掛からないですね。」
毎日5万2000もの壺を子育てする蔵元さんが共感する言葉。

「成功とは 休みなしに続ける小さな努力の積み重ね」

アメリカの作家、ロバート・コリアー(1885~1950)の言葉です。

「非常に手間暇をかける作業ですから、やっぱり手間を惜しまないことが大事です。
これからも黒酢作りに携わっていきたいと思います。」