2020年6月9日放送

老舗煎餅店 店主 鈴木 敬さん
明治17年創業の「淡平」。今も昔ながらの方法で煎餅を作っています。
「おせんべい屋ってのは、分業しているんですが、ウチは一貫生産で、伝統的なもの
というのはしっかり守りながら、その一方で激辛おせんべい作ったりしています。」
この激辛煎餅は、鈴木さんの遊び心から生まれました。
「私が小学4年生の時に、先生が辛い煎餅をくれたんですよ。
帰って親父に『もっといっぱい辛子を付けてくれって。最初は遊びだったんです」
激辛煎餅の生地は、お米3に対して唐辛子7の割合。成形し1か月ほど乾燥させてから、
焼き上げ、最後に“これでもか!”と、さらに唐辛子をまぶします。
「私のおふくろがすごい辛党の人で、売った方がいいよと言われた。
そこで父が“激”という字を入れて「激辛」という風に命名しました。」
その名前が、“新語・流行語大賞”に選ばれ、「激辛ブーム」の生みの親になりました。
「日本の食文化に一石を投じているかなって、ちょっと誇らしく感じております」
父との味を守る鈴木さんが大切にしている言葉…。

「我より古を作す(われより いにしえをなす)」

先例にとらわれず、自らが後の規範となるものを作るという意味。

中国の歴史書『宋史』

「辛さ的にはもっとハードルを上げる事ができるのですが、辛いもの屋さんじゃ
ないんですよね。元祖の激辛の味ってのを、やっぱり守りたいんですよ。」