2021年8月17日放送

江戸扇子職人 松井 宏さん
徳川の世から夏に涼をもたらしてきた江戸扇子。
実用第一、15本の骨組みで作られています。
「噺家(はなしか)の方が使う高座扇というのが元の形になっているんです。
高座扇は白線が基本なんですけど、そこに柄をつけたということです。」
3枚の紙を張り合わせた扇面に型紙を当て、折り目をつけます。
ここに職人の技がありました。
「折り終わるまで息を止めて折ってるわけですね。
途中でやめちゃいますと力加減が狂います。」
扇面に骨を通すための穴あけは、指先の神経を研ぎ澄ませます。
「折り目の中心にこないと仕上がった時に、どっちかに寄っちゃいますよね。
人差し指で、左に寄っちゃえばちょっと押すような感じで
右に寄っちゃえばちょっと引くような感じで、かじ取りしているんです。」
涼をとるだけでなく、こんな粋な使い方も…
「よく将棋で間を取るのに、パチパチやっていますよね。
閉じる時に音が出やすい、これも特徴ですかね。」
たった1人で年間 3000本以上もの江戸扇子を作り続ける松井さんが共感する言葉…

「世間が必要としているものと あなたの才能が交わっているところに天職がある。」

古代ギリシャの哲学者 アリストテレス(紀元前384-紀元前322)の言葉です。

「作り始めたのが20歳です。
54年、勉強することがたくさんあります。死ぬまで修行でしょうかね。」