2021年9月28日放送

ルートセッター 岡野寛さん
東京オリンピックで2つのメダルを獲得した“スポーツクライミング”
岡野さんは、日本人でただひとりのルートセッターとして参加。
選手がつかむホールドを壁に配置し、コースを作る仕事です。
「設計図っていうのは無くてですね、1回1回ルートセッターが
“こういう風に登ると面白いんじゃないか”とか考えながらコースを作っていく」
元々は選手として活躍していた岡野さん
作ったルートを実際に登りながら、難易度を調整します。
「ホールドの場所を数ミリ動かすだけで、難しさが変わったりとかする。
ただ実際にそれをやったとしても、選手が登ってみないと答えがわからないんです」
東京オリンピックでは、女子の「リード」を担当。
たったひとつのホールドを登れるかどうかが、勝負の分かれ目に。
「試合前日の夜までずっと調整をしていたんですけど、少しだけホールドの角度を
変えたんですよね。ほんともう3度とか。その角度を変えることによって
1位の選手と2位の選手と3位の選手の成績がちょうどきれいに分かれたので
その判断っていうのが間違ってなかったのかなって思います。」
選手が輝けるルートを、探究し続ける岡野さんが共感する言葉…

「できるだけ多くの人に できるだけ多くの幸福を与えるように行動するのが吾人(ごじん)の義務である」

実業家 渋沢栄一(1840-1931)の言葉

「登る人のやる気だったり、パフォーマンスだったり
そういうのを引き出していけるようなセッティングが今後もできたらなって思います。」