STORY

第4話
2024.08.03 OA

茨城県の山中でバイクの単独事故が発生。運転していた若い男性は搬送先の病院で死亡が確認された。身元が特定できなかったため、さくら(小芝風花)たち『警視庁身元不明人相談室』が行方不明者リストと照合した結果、男性は両親から行方不明者届が出されていた大学生の葉山聡(濱田龍臣)であることがわかった。バイクが盗難車だったことから犯罪の匂いも漂うだけに、ご遺族に報告するのは気が引けるが……桜とまこと(大島優子)は重い足取りで聡の両親の元へ向かう。

聡の父・義彦(桜井聖)と母・晶子(中島ひろ子)は、1年前から聡と連絡が取れなくなっていたが、10日ほど前に聡から突然、『お守り』の入った封筒が送られてきたという。そのお守りを見せられた真は驚き尋ねる、「葉山さん、福島に住んでいたことは?」。真の予想通り、葉山家は13年前まで福島県に住んでいたという。お守りは福島の神社のもので、聡が子どもの頃に誰かからもらったものらしい。桜は、お守りを見て動揺する真のことが気になって……。

「私も福島で買ったの。慎一さんと一緒に」――その夜、桜は真から初めて過去を打ち明けられる。真には慎一(福田悠太)という婚約者がいたこと、出版社を辞めて故郷の福島に帰った慎一が東日本大震災の日から行方不明になっていること――。「あの時から、私は止まったまま。彼が生きてるのか死んでるのかもわからない」と前に進めないでいる真に、桜は「もしかしたら、お守りは聡くんが慎一さんにもらったものかも」と言う。だとしたら、聡のことを調べれば慎一の手掛かりがつかめるかもしれない……。真は「やめて! 傷つきたくない」と真実と向き合うことを拒絶するが、桜は居ても立ってもいられずに走り出し……!!

聡はなぜ行方不明になっていたのか!?お守りに隠された真相は!?慎一の消息は!?真の止まっていた時間がついに動き出す!!

以下、ネタバレを含みます。

お守りの真相を突き止めたい桜は、聡の身辺を探り始める。聡はまとまったお金が必要だったのか、お酒も飲めないのにホストクラブで働いたり、大学のキャンパスで誰かとスマホで話しながら「すみません」と何度も謝る姿を友人たちに目撃されていた。何らかのトラブルに巻き込まれていたことは明白で、大学の同級生で幼なじみの横田大地(荒木飛羽)も携帯がつながらなくて心配していたという……。

そんな中、聡が特殊詐欺グループのメンバーで、集団で強盗を行っていたことが発覚。聡の遺留品からも、大量のスマホやSIMカード、闇名簿、バーナー、冷却スプレー、手袋、ホテルのアメニティーグッズの歯ブラシなどが見つかった。聡の両親は肩を落とし、「聡のことを知るのが怖くなってしまった」と、これ以上の調査は望まない姿勢をみせるが、桜は「何かよほどの事情があったのかもしれません。もう少し調べさせてください」と食い下がる。とはいえ、強盗事件として捜査一課が動き出した今、桜たちに出る幕はなし。真も「これ以上は、あんたの独り善がりなんじゃない?」と桜をたしなめる。
気が収まらない桜は一人でジムへ行き、トレーナーを相手にスパーリングで汗を流す。「もう1本!」「まだまだ!!」。何度倒されても諦めずに立ち上がる桜は、リングの外から真があきれ顔で見守っているとも知らず、がむしゃらにトレーナーに立ち向かっていく。「まだまだ!! 頑張れ……負けんな……負けるな真ちゃん――!!」。聡のためだけじゃない、桜がお守りにこだわるのは、真のためでもあったのだ……。

桜の思いに突き動かされた真は、翌日、利根川(吉田鋼太郎)に行方不明者届を提出する。「行旅死亡人リストとの照合をお願いします。氏名は小田切慎一。私の婚約者です。葉山聡さんと何らかの関係があったのかもしれません。なのでこの相談室に、正式に調査を依頼します。どうか、皆さんの力を貸してください!」――。利根川がゴーサインを出すよりも早く、堀口(戸次重幸)と武藤(半海一晃)は真のために動き出し、聡の遺留品にあったアメニティーグッズの歯ブラシから、聡が事故直前に利用していたホテルを特定。ホテルの防犯カメラ映像には、ホテルのスタッフに郵便物を預ける聡の姿が映っていた。それは両親に送ったお守り入りの封筒だ。さらに、聡と一緒に、幼なじみの大地も映っていて――。

聡を強盗グループに誘ったのは大地だった。SNSで闇バイトに手を出してしまった大地は、幹部連中に仲間を誘えと脅され、聡を誘うしかなかったのだ。逃げようとしても強盗グループから暴行を受ける……。それでも聡は諦めず、強盗グループのリストが入ったマイクロSDカードをお守りに入れて両親の元に送った。しかし、それがバレて命を狙われた聡は、目に留まったバイクにまたがり、「俺はバイクであいつらを引き付けるから、大地は逆方向に走って逃げろ」と大地を促し――その直後に事故を起こしたのだった。
聡が両親の元に送ったグループのリストに、大地の名前はなかった。大地が捕まることがないよう、聡が消していたのだ。友達を守るため、命懸けで強盗グループを告発しようとした息子の雄姿に、義彦と晶子は目を細める……「聡は、自慢の息子です」。

聡の死の真相はわかったものの、慎一のことは結局わからずじまい。それでも真は、少しだけ何かが吹っ切れたように、桜に震災直後のことを話し始める。震災の後、慎一を捜して被災地を毎日歩き回ったこと。そんな時に、自分と同じように大切な人を捜している家族に出会ったこと。その家族が捜していたご遺体を真が見つけたこと……。「大切な人の死を目の当たりにして、とてもつらかったと思う。それでもそのご家族は、私にありがとうって言ってくれて……見つかってよかった、お帰りって……みんな優しい顔になってた。だから私、この仕事をしてるの。今の私があるのは、慎一さんのおかげ」――。
真の話に、桜は黙って耳を傾ける……と、その時、捜査一課の手嶋(阿部亮平)から思いがけない知らせが届く。聡のパソコンのファイルの中から震災直後の動画が見つかり、一人の男性が被災者を助ける様子が映っているというのだ――。
それが何を意味するのかを察した真は、震える気持ちを抑え、「見せてください」と画面を凝視する。……映像には、今にも津波が押し寄せようとする中、逃げ遅れた老人を必死に避難させようとする慎一が映っていた。慎一は老人を高台に誘導すると、また別の人を助けるために住宅街へと戻っていくが、その後、二度と姿を現さないまま、とうとう津波が押し寄せ……。思わず画面から目を背ける真……。
当時、聡と一緒にその場にいた大地の証言によれば、慎一は、動けずに泣いていた聡にお守りを渡して励ましていたという。「俺の一番大切なお守りだ。後でちゃんと返してもらうからな。それまで頑張れ!」と。自分の書いた記事で人を傷つけ、「もう誰の力にもなれない。誰も幸せにできない」とふさぎ込んでいた慎一が、あの日あの時、確かに生きようとしていたのだ。全てを知った真は、込み上げるものをこらえきれず、13年間の思いが一気にあふれ出す……。そんな真の肩を、優しく抱く桜――。

「月本さん、大丈夫ですかね」――翌朝、利根川と堀口と武藤は、真が落ち込んでやしないかと心配するが、出勤してきた真はいつもと全く変わらず桜と舌戦を繰り広げ……。どうやら、前に進み始めたようだ。
桜は聡の報告書を開き、そこに『葉山聡』と名前を書き込む。その時、カバンの中に入れていたスマホに、母親から着信があり……。