絶望からの復活 顔を失った美女
オーストラリアの西側にある第4の都市、パース。
この街に住む看護師の母を持つ4人兄弟の3女、ダナ・ブーリンは近所でも評判の美女。
仕事もプライベートも充実した日々を過ごしていた。
"あるパーティーでの会話が彼女の人生を狂わせる"
2011年の大晦日。
ダナは友人たちとカウントダウンパーティーに参加していた。
そしてこのパーティーである男性に声をかけられる。
男性の名前はエディン。彼は最近離婚したばかりだという。
ダナは誰でもするような雑談を彼としたのち、友人たちの元へ戻った。
この雑談が彼女の人生を大きく狂わせることになる。
年が明けたある日の事。
聞き覚えのない女性から電話がかかってきた。電話先の女はエディンの別居中の妻。
電話先で妻は怒り狂っていた。
ダナが夫であるエディンの交際相手だと勘違いをしているらしい。
ダナが何度違うと言っても妻は聞き入れない。
それから何度も何度もダナの家の電話に妻から脅迫の電話がかかってくるようになった。
そんな日々が続いた2012年の2月16日早朝。
自宅リビングのソファで寝ていたダナ。目を覚ますと見知らぬ女が部屋にいた。
エディンの妻だった。
エディンを返せと迫る妻。
ダナも抵抗するが、ヒステリックになっている妻は部屋にあった
可燃性の高い汚れ落とし用の化学薬品をダナにかけ火をつけた。
ダナは全身火につつまれ、みるみる内に体が焼け爛れてしまった。
息も絶え絶え廊下に出て助けを求めるダナ。
偶然通りがかった近所の人が救急車を呼び病院へ搬送される事に。
"全身の64%を熱傷。生きる力を失う"
ダナは病院に搬送される頃には意識を失っていた。
搬送されたのは母親が看護師として勤務していた病院。娘の状況を聞いた母は
急いでダナの元へ駆けつける。しかしそこにいたのは変わり果てた娘の姿だった。
ダナは全身の64%に、皮下組織まで失うⅢ度熱傷という大火傷を負っていた。
このまま放置しておくと皮膚が収縮してしまい肺などが締め付けられ
呼吸困難に陥ってしまう。
病院はやけどの治療に合わせ皮膚組織の切り離し手術も行う事になった。
手術は成功し、意識を取り戻したダナ。しかし彼女の苦悩はここからだった。
全身大やけどをおったダナの関節は曲げることが出来ず身動きが取れない。
やけどを隠すため顔はマスクをした状態となり、苦しいリハビリの日々が続いた。
ほんの少し前までは仕事もプライベートも充実していた。
それが今は全身やけどで以前の容姿も失われ、苦しいリハビリばかり。
なぜ自分だけがこんな目に合うのか?ダナは生きる気力を失っていた。
家族はそんなダナを応援し続けた。
ダナの治療費を少しでも稼げるよう母親は看護師の仕事を続け、
姉は治療費の援助を求めてフェイスブックを使ってダナの現状を発信した。
"世界中からの応援を受け、奇跡の復活"
ある日の事、自分にはもう生きる価値がないと思っていたダナに
姉がフェイスブックのページを見せた。
するとそこには世界中からダナを応援する温かいメッセージが投稿されていた。
こんな自分を世界中の人が励ましてくれる。
ダナは絶望していた自分を恥じ、復活をかけ前向きな治療と向き合う事を決心し、
リハビリや頭皮からの皮膚移植手術など様々なことに取り組んだ。
ダナの必死な姿はテレビでも取り上げられることに。
一方、2013年10月10日。ダナを絶望の淵に陥れたエディンの妻は逮捕され
傷害、殺害未遂の罪で懲役17年の実刑判決が言い渡された。
このニュースを知ったダナは思った。
自分も外に出なければ刑務所にいるのと同じ。あの犯人に負けたくない。
ダナはこの判決を機に公の場に積極的に姿を現し、励ましの言葉の大切さや
同じように怪我や病に苦しむ人達の力になれるように自分の言葉を発信した。
そして大やけどを負ってから2年8か月後の2014年9月9日
ダナはテレビの生放送でやけどを隠すために付けていたマスクを外した。
するとそこには自信に満ち溢れたダナの姿が。以前と同じ彼女の笑顔が戻ったのだ。
そして現在、治療生活にまだ終わりは見えない状態ではあるが
家族、そして世界中からのメッセージに勇気をもらったダナは
これからも前向きに力強く生きていく。