悲劇の花嫁の夢がかなった
2010年。アメリカ・ノースカロライナ州ローリー
レイチェル・フリードマンは理科の教師をしているクリスと結婚間近だった。
幸せなレイチェルを祝福しようと友人たちは独身最後のパーティーを開くことに。
"楽しいパーティーが悲劇を呼ぶ"
そしてパーティーの夜。
レイチェルは友人たちと独身最後の大はしゃぎ。
お酒によったレイチェルたちはプールのある親友宅で泳ぐことになった。
その時、親友がプール際にいたレイチェルの背中をふざけてポンと押した。
プールに突き落とされたレイチェルと盛り上がる友人たち。
パーティーの楽しいノリのつもりだったが、レイチェルの様子がおかしい。
レイチェルがいつまでたってもプールから上がってこない。
異変に気付いた友人たちは急いでレイチェルをプールから引きあげた。
レイチェルによると体が動かなくなったという。
急いで病院に連れて行くと驚愕の事態が判明する。
レイチェルはプールに突き落とされた際に頭を強く打ち、脳と体をつなぐ脊髄を損傷。
突然の出来事が原因でレイチェルは一生歩けない身体となってしまったのだ。
絶望したレイチェルはフィアンセだったクリスとの結婚は諦め婚約を解消した。
"一度は諦めた結婚。再びプロポーズ"
事故後、リハビリに励むレイチェル。
動く可能性のある腕を中心に動かす練習をするがなかなか思うようにはいかない。
そんな時、あの夜パーティーに参加した友人たちがレイチェルに会いに来た。
その中で一人、レイチェルの今の状況に責任を感じていたのは、レイチェルの背中を押しプールに落としてしまったレイチェルの親友だった。
泣きながらレイチェルに謝罪する親友。
そんな様子を見てレイチェルは笑顔で運が悪かっただけで誰も悪くないと答えた。
こういったレイチェルの優しさと強さが彼女の状況を変えていくことになる。
ある日、元フィアンセのクリスが彼女の元を訪れた。
自分が結婚するのはレイチェルしかいないともう一度プロポーズを申し込んだのだ。
驚くレイチェル。
しかし今の自分を受け入れようとしてくれるクリスの気持ちが嬉しかった。
2人は改めて結婚をすることに。
食事もトイレも寝起きすることも、レイチェル1人では出来ない。
その体と心をクリスが必死に支えた。
"子どもを産む事が新たな夢に"
レイチェルは大きな夢があった。
それは赤ちゃんを産みたいということ。
レイチェルは脊髄を損傷していたが、
妊娠、出産に必要な卵巣や子宮、ホルモンの機能は壊れていなかった。
出産は可能。しかし大きな問題があった。
レイチェルは脊髄損傷による自律神経の異常が原因で激しい低血圧になっており
そのため血圧を上げるための薬を服用していた。
もし妊娠をすると、この薬が胎児に悪影響を及ぼす可能性があった。
だからと言って薬を服用しなければ自身の命にかかわることになる。
レイチェルはその状況を知った上で子どもを産みたいと思っていた。
事故後、両親や友人そしてクリスに心配ばかりかけていた自分。
もし子どもを産んで少しでも普通の人と同じ幸せをつかめばどれだけ周りの人の
気持ちが晴れるだろう。何より自分のために頑張ってくれているクリスを父親にしたい。
そして自分自身母親になりたい。その決意は日に日に大きくなっていった。
"待望のわが子が誕生"
子どもを諦められないレイチェルはクリスに代理母での出産を希望した。
代理母とは自分と夫の卵子と精子を体外受精させ、代理となる女性の子宮で成長させ
出産するという方法。クリスも迷うことなく賛成した。
代理母となる女性もすぐに見つかった。応じてくれたのはクリスの大学時代の先輩夫婦。
周りの支えでレイチェルは大きな夢に一歩近づいた。
日に日に代理母の胎内で大きくなるわが子。
そして無事出産に成功。レイチェルは待望の女の子の母となることが出来た。
2人の遺伝子をしっかり継ぐケイリーの誕生は全米でも大きなニュースとなった。
いまだに自由に腕が動くわけではないが、オムツやミルクなど母親として
出来る限りの事はしたいと育児に奮闘するレイチェル。
悲劇の花嫁は諦めない気持ちで強い母へとなっていた。