恐怖のビューティー中毒
イギリス・バーミンガム。
1991年にこの町に生まれたジョーダン・パークは幼いころに両親が離婚。
母親のリサに引き取られることになった。
"美しくなる喜びを知った子ども時代"
ジョーダンは男の子にもかかわらず
一人でお人形遊びをするのが大好きな子どもだった。
美人でスマートな女性に憧れるようになったジョーダン。
そんなある日、母親には秘密で口紅を塗った。何とも言えぬ高揚感。
綺麗になるという喜びを知ってしまったジョーダンは
その後も母親の留守中に化粧をするようになる。
母も最初は戸惑ったがこれも個性のひとつと快く公認した。
"はじまりは眉だった"
2009年。高校卒業後、ジョーダンは親元を離れ
イギリスのマンチェスターで夢だったメイクアップアーティストの修業を始めた。
そんなある日の事、職場の先輩が眉毛にタトゥーを入れた。
同僚たちにも好評だった眉。ジョーダンはその眉を見てすぐに気付いた。
「キム・カーダシアンの眉」だと。
キム・カーダシアンとはアメリカでモデル、女優、レポーターとして活躍するスターのこと。
ジョーダンはキムの凛々しい眉毛に惹かれていた。
先輩があの眉を手に入れられるなら私だって...!ジョーダンは決意する。
翌日、美容サロンにジョーダンの姿があった。
自分の要望を伝え、1時間ほどの施術を行った結果、
キリリとしたタトゥーの眉を手に入れた。
"どんどん膨らんでいく唇"
気を良くしたジョーダンは、憧れのキム・カーダシアンに近づくため
次は唇にヒアルロン酸を注入し、ぷっくり唇を手に入れた。
眉も唇も職場で大好評だった。
しかも初めてのお客さんや、バーの店員も自分の事を綺麗と言ってくれる。
自分が話題の中心となることに喜びを感じていた。
しかし、ジョーダンの美しさは作り物。メンテナンスは欠かせない。
唇に入れたヒアルロン酸は数か月で徐々に体に吸収され元に戻ってしまう。
継続的に注射しなければふくらみを維持できなかった。
そのためジョーダンは唇に注入するヒアルロン酸の量を増やした。
しぼみかけたら注入、また注入と短い間隔でヒアルロン酸を注入し
顔にアクセントをつけるため眉のタトゥーも濃く、太くした。
それを4年続けた結果、
ジョーダンの唇は異様なまでに膨らみ、眉はくっきりと太く濃い違和感のある仕上がりに。
さらに小じわも許せないと1本1本ヒアルロン酸などで消していった。
かかった費用は計5万ポンド。日本円で約1000万円となっていた。
"ついに自らヒアルロン酸を注射。そして..."
それでもまだ唇を大きくする手術を続けようとするジョーダンだったが、
医師からはこれ以上続けると広がった角質から菌が入り込み
感染症にかかる危険性があると忠告された。
しかしジョーダンは、
どの病院も応じてくれないならと、なんと自分でヒアルロン酸を唇に注射し始めた。
誰がなんと言おうと今の自分は美しいとSNSに自撮り画像をアップするジョーダン。
そんなジョーダンに、整形に失敗した人を特集するテレビ番組からのオファーが舞い込んだ。
番組の企画で、2人の有名整形外科医の診断を受けるもいつもの調子で話すジョーダン。
すると医師たちは唇の圧迫によって失明の危険性もあるという宣告をした。
そして現在、多少は医師の忠告を聞き唇のヒアルロン酸の量は減らしたものの
人生は一度しかないからと、美容整形をやめることは今後もないという。
彼なりの信念があるようだが、大事に至らない事を祈るばかりである。