やめられない妻の依存
長崎県長崎市。
どこにでもいる普通の主婦。
だが、夫が家を出ると、すぐにある場所へ向かってしまう。
"パチンコ店へ入り浸る毎日"
それはパチンコ店。
朝からパチンコ台に向かい、財布が空になるまでやめる事はない。
彼女がパチンコに出会ったのは18歳の時。
実家の長崎を離れ、名古屋の印刷所に勤めていたころ、
父が訪ねてきて一緒にご飯でも食べようと歩いていると、パチンコ店の看板が。
本場名古屋でパチンコを打ちたいと言い出した父につき合う形で
初めてパチンコを打った。これが彼女の運命を大きく変えることに。
人生初のフィーバー。
後日、職場の先輩とパチンコ店へ行くとまた勝った。
とはいえこの時はこれ以上ハマる事はなかった。
"どんどんお金をつぎ込んでいく"
その後、印刷所の仕事を辞め故郷の長崎へ。
市内の飲食店で働いたが慣れない仕事に神経をすり減らすようになった。
そんな時ふとパチンコ店へ。
名古屋ではあんなに勝てたのに、ここでは全く勝てなかった。
この日は5万円も使ってしまった。
何てバカなことに使ってしまったんだ。
ひたすら落ち込んだが、負けたのではなくお金が続かなかった。
そう思うようになってしまう。
こうして翌日もパチンコ店へ。
元を取るどころか、昨日よりも多く使ってしまった。
次第に仕事をさぼり、パチンコ三昧。
気が付けば、これまでの貯金をすべて使ってしまっていた。
"パチンコのために借金"
ここでやめればよかったのだが、
パチンコで使った金を真面目に働いて返すのがどうしてもバカらしく思え、
お金を借りてしまった。
50万円が手に入った。
パチンコをしているときは、嫌な事もお金を借りている事も忘れられた。
だが、ずっと上手くはいかない。
結局借りた50万円を数日で使い果たし、また別のところでお金を借りた。
全ての時間をパチンコに使う日々。
そしてついに借金の事が妹にバレてしまう。
本当の事は言えなかったが、妹は今回だけと返済してくれた。
その後、パチンコをやめようと多忙な介護の仕事に就くことに。
真面目に働き、給料から月5万円を妹に返済した。
"結婚してもやめられない"
そして35歳になった時、友人の紹介で知り合った男性と3年の交際を経て結婚。
こうして新たな人生を歩み始めたかに見えたが、まだパチンコはやめていなかった。
介護の仕事について1か月くらいたった時の事。
明日は久しぶりの休日。するとまたあのパチンコ店の音が自分を誘う。
一回だけと店内に入ったが、それ以来再びパチンコ通いが始まってしまった。
借金は1年間におよそ200万円ずつ膨らんでいった。
こんな生活が続いたある日の事、ついに夫にバレた。
ボーナスのお金を全てパチンコに使ってしまっていたのだ。
彼女はこれまでの全てを夫に打ち明けた。
こうして妻は依存症の治療で実績のある長崎県の西脇病院で
診察を受ける事になった。
彼女は今、病院独自の依存症治療プログラムや患者やその家族が悩みを打ち明け合う
自助グループなどに参加し、治療に励んでいる。
ギャンブル依存症の怖い所は「自分が困らせたくない人を一番困らせる」という所。
妹や夫に多大な迷惑をかけたことを後悔し反省していると語る彼女は、
まもなく退院予定。介護士で再就職を目指すという。