科学のプロの完全犯罪
イギリス・スコットランド地方の中心都市、エディンバラ。
大学で生物化学を教える准教授、ポール・アガターは教授になるのも間近。
エリートコースを歩んでいた。
幸せな家庭を持ち、誰もが羨む一家。
だがこの家庭で恐ろしい事件が起きる。
気が強く、自分を子ども扱いする妻にうんざりしていた夫。
実は冷めていた夫婦関係。一方ポールは妻に隠れ、教え子と不倫をしていた。
ポールは妻と別れるつもりでいたのだが、
離婚ともなれば多額の慰謝料で家も財産も失う可能性がある。
何より、気の強い妻が簡単に離婚に同意するとは思えない。
そこでポールは妻の好きなジントニックに薬物を混入させ殺害する計画を立てた。
妻は何も知らず毒入りのジントニックを飲むと急に苦しみだした。
病院に緊急搬送されると驚くべきことに、妻と同じ症状で運ばれた患者が
増えているという。ポールのターゲットは妻だけのはず。どういうことなのか?
実は、ポールは妻だけが毒物で倒れると自分に疑いがかかると考えた。
そこでスーパーで売られているトニックウォーターのボトルに
同じ薬物を混入し大量殺人に妻が巻き込まれたと
見せかけたのだ。
ポールが考えた完全犯罪だった。
ところがその騒ぎの翌日、妻は一命を取り留めた。
しかも、数日後ポールは殺人未遂であっさり逮捕されてしまう。
今回の事件で鑑識が調査した結果、ポールが妻に飲ませたジントニックだけ
異常に薬物の量が多いことが判明していたのだ。
実はポール、スーパーで普通に買って飲んだ一般の人々の命は助かるように、
毒物の量を少な目にしていたのだ。一方で、妻の飲んだグラスからは明らかな殺意が
見られた。警察はそれを見逃さなかったのだ。
教え子との不倫に狂った男の浅はかな妻殺害計画。
禁固12年の刑が言い渡された。