愛する猫で命の危機
今や空前の猫ブーム!!その可愛さにみんなメロメロ!
ネット上でもたくさんの猫の動画が投稿され、世界中で再生されている。
しかし、その猫で赤ちゃんが命の危機にさらされた。
"突然、高熱に苦しむ娘"
2010年、イギリス・サマセット州。
シングルマザーのチェルシー・アン・ドッドと、生後2週間の長女スパークル。
彼女の家には、子猫の頃から飼っている2歳のオス猫チェスニーがいた。
猫の多くは赤ちゃんに対して攻撃的にはならない。
ご主人が大切にしている空気を感じとるという。
しかし異変が起きたのは、ある晩のことだった...
娘のスパークルは突然40度を越える熱を出し、泣く事すらできない状態だった。
精密検査の結果、ある病名が告げられた。それは細菌性髄膜炎。
脳脊髄液(のうせきずいえき)に細菌が侵入し、髄膜が炎症を起こしている状態。
細菌が脳に達すると脳の機能にも影響を及ぼし、放っておくと確実に死に至る
恐ろしい感染症。
致死率は成人でおよそ20%。
さらに、生存してもその30%は後遺症があると言われている。
発熱後1日で亡くなるケースもあり、一刻を争う状態。
娘には、抗生物質が投与された。一方で原因の特定が急がれた。
原因の菌がわかれば、抗菌薬で治療ができる。
そして、ある事実が浮かび上がった...
生後2週間の娘、スパークルが髄膜炎を起こした原因。
それは猫が持つ、ある菌だった。
"猫のほぼ100%が持つパスツレラ菌"
パスツレラ菌。それは猫のほぼ100%、犬のおよそ75%が、口に持っている菌。
空気感染はしないが、なめられたり、引っかかれたりすることで人間にも感染する。
肺炎や、蓄膿症など、様々な症状を引き起こす。
傷口に入ると、化膿し壊死することも。
髄膜炎は稀だが、パスツレラ菌による感染症は
日本国内で年間およそ700件の症例が確認されている。
娘の場合、直接猫と接することはなかったが...
母が目を離したすきに、猫が哺乳瓶など娘に触れる何かを舐めたのか...
それとも、猫がなめた手で触れてしまったり、
なんでもなめてしまう赤ちゃんが、猫になめられた布や手を口にいれてしまった可能性も。
一方でパスツレラ菌は、人体に大きな影響を及ぼすことは少ない。
感染しても、体内の免疫細胞の力で、菌は死んでしまう。
しかし、乳幼児や高齢者、持病のある人など、抵抗力が弱い人は注意が必要だ。
キスなどの過剰な接触を避ける、触れた後の手洗い、乳幼児とペットがいるときには
目を離さないようにするなどを心がければ、感染は防げる。
その後スパークルは、パスツレラ菌に有効な抗生物質が投与され、一命を取り留めた。
あれから5年半。現在スパークルちゃんと猫のチェスニーはどうしているのか。
仰天スタッフはイギリス・サマセット州にある自宅を訪ねた。
猫が持つ菌により命の危機にひんしたスパークルは、すくすくと育っていた。
猫のチェスニーはあの出来事以来、離れて暮らすことになってしまったが、
頻繁に会いに行っているという。
スパークルもトラウマになる事もなく、会いに行った際は抱っこしている。
愛するペットを「危険生物」にしないために、私達の心がけも必要だ。