放送内容

2016年6月29日 ON AIR

なぜかサーファーに多い危険なアレルギー

長い時間、海にいる人にとって実は危険な食べ物がある。


横浜市に住む宏幸さん、
この春、大学を卒業して、実家に戻った彼は学生時代にはサーフィンサークルに所属。
週に3回は海へ...まさに海を愛する男だった。
そんな彼の身にいったい何がおきたのか?


"いつも通りの食事で蕁麻疹が"


それは2014年3月のこと。
この日は、近所で一人暮らしをする姉の引越しを手伝う日だった。
9時過ぎに朝食を終え、姉の新居に荷物を運びこんでいた午後2時過ぎ...
腹のあたりに妙なかゆみを感じた。


何の気になしに見てみると、そこにはびっしりと蕁麻疹が!
体全体が異様にだるくなってきて立っているのも辛いほどに。息苦しさも感じ始めた。
あの発疹は腹だけでなく全身に広がっていた。にわかに不安に襲われる宏幸。


両親に連れられ、近くの個人クリニックへ。
だが、専門ではない医師にはこの原因がわからない。


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そんな中で意識レベルや血圧が急低下!
アレルギーによるアナフィラキシーショックだった。
応急処置を受け、大きな病院へ搬送された。そのころには幸い症状は、ほぼ治まっていた。


医師からその日に何を食べたか尋ねられた。
その日の昼は、母の準備した五目御飯のおにぎりを。
朝食は、同じ五目御飯にキムチ、それと納豆といつも食べているものばかりだった。


その日はアレルゲンを特定するため血液を採取。
ところがその検査では原因は特定できずさらに詳しく調べるためにある医師を紹介された。


それは横浜市立大学附属病院の猪又直子医師。
彼女がすぐに宏幸が食べた食材のプリックテスト行った結果、原因の食材が判明した。
彼はなんと納豆アレルギーだった!


"サーフィンと納豆アレルギーの関係とは"


健康的で体に良いと思われている納豆。しかし、それでアレルギーを発症する人もいる。
納豆アレルギーの原因は、ネバネバ部分の主成分ポリガンマグルタミン酸という物質。
さらに猪又医師によると、宏幸の趣味であるサーフィンが関係しているという。


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納豆アレルギーとサーフィンに一体どういう関係があるのか?
それまでにも猪又医師のもとには、納豆アレルギーの患者が多くやって来ていた。
そして患者の多くに共通点が...なぜかみんな日焼けしている。


そこで生活環境を聞いてみると...
サーフィンをする人が約7割でそれ以外のスキューバーダイバーや潜水士の方も含め
海に長い時間浸かっている方が約8割もいた。
それでも何の関係があるのか分からなかったが...その疑問はあることがキッカケで解けた。


猪又医師のもとに通っていた納豆アレルギーをもつ患者の1人がある日、
中華料理店で食事をしたあと、アナフィラキシ―ショックを起こした。
幸い、患者はアドレナリンの注射を処方されていたので、事なきを得た。


患者が食べていた物のは、中華料理の定番食材、クラゲ。
クラゲは毒針を刺すときに、納豆のネバネバ成分と同じポリガンマグルタミン酸を
体内でつくる。


食材のクラゲにもそれが含まれており、アナフィラキシ―ショックを起こしたと考えられた。
長い時間、海にいることでサーファーは何度もクラゲに刺される。
そして皮膚からポリガンマグルタミン酸が入りアレルギーに。


猪又医師によると、これがやがて納豆のポリガンマグルタミン酸にも
アレルギーを起こす原因になったのではないかという。


さらにポリガンマグルタミン酸は食品添加物としてさまざまな食品に使われ、
化粧品や石鹸、ヘアケア用品には保湿剤として添加されていることもある。
納豆アレルギーの人は納豆だけではなくそういったポリガンマグルタミン酸が
含まれている製品も、注意して避けていく必要があるという。


海を愛する人は気をつけてください。

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